Inc.:私はこれまでに編集者として、ビル・ゲイツ、イーロン・マスク、スティーブ・ジョブズ、ウォーレン・バフェット、ジェフ・ベゾス、マーク・ザッカーバーグ、シェリル・サンドバーグ、サー・リチャード・ブランソンの推薦図書(ほとんどがノンフィクションです)に関する記事を書きました。
記事を見直すと、少数ではありますがサイエンス・フィクションの題名が出てきました。そこで、億万長者の起業家たちを魅了してきたSF小説7選をご紹介することにしましょう。
1.アイン・ランド著『肩をすくめるアトラス』(原題:Atlas Shrugged)
要約:私たちの現実とそっくりなもうひとつの別の世界では、生産産業に関わる実業家たちが世界から脱するが、世界は滅亡へと向かう。 億万長者に好まれる理由:ほとんどのSFでは、起業家は世界を破壊しようとしている悪者です。この小説では設定が逆で、悪の世界に狙われるヒーローとして企業のCEOを描いています。 おもしろ情報:スティーブ・ジョブスが亡くなる前に観た最後の映画は、酷評された『肩をすくめるアトラス パート1』でした。 書き出し:「ジョン・ガルトとは何者だ?」肩をすくめるアトラス[Amazon]
2.マデリーン・ラングル著『五次元世界の冒険』(原題:A Wrinkle in Time)
要約:オタク少女が、個人の人格を認めない、人々の心が支配された世界から父親と兄を救出するために異次元に旅へ出る。 億万長者に好まれる理由:集産主義社会での「集団思考」への防御としての個人性を賛美する物語です。 おもしろ情報:『五次元世界の冒険』はオペラの題材となった数少ないSF本の1つです。 書き出し:「暗い嵐の夜だった。」3.フランク・ハーバート著『デューン/砂の惑星』(原題:Dune)
要約:砂漠の世界に辿りついた若い貴族が狂信的群集に働きかけて退廃的な帝国を生まれ変わらせる。 億万長者に好まれる理由:億万長者は自分が世界を良い方向に変えていると思うのが好きです。全世界のために尽力するヒーローに自然に傾倒します。 おもしろ情報:『デューン/砂の惑星』の続編である『デューン/砂漠の救世主』は、世界一読者の失望を招いた続編の1つとして有名です。 書き出し:「アラキスに旅立つ前の週、最後の奔走をしていた全員が耐え難い熱狂に達した頃、しわくちゃの老婆がポール少年の母を訪ねてやってきた。」デューン/砂の惑星[Amazon]
4.オースン・スコット・カード著『エンダーのゲーム』(原題:Ender's Game)
要約:コンピューター・シミュレーションで特異な才能に恵まれたプレーヤーが、地球外生物の侵略に似たバグから世界を救う。 億万長者に好まれる理由:億万長者の多くはハイテクの分野で富を築いたので、ハイテクを駆使し世界を救うヒーローは当然魅力的です。 おもしろ情報:SF作家は一般的に右寄りの傾向があるものですが、この作者は自身の保守的な政治信条を自虐しています。 書き出し:「私は彼の目を通して見て、彼の耳を通して聞いた。そして彼こそがその人物だとわかった。あるいは私たちが手にいれるものに近かった。」エンダーのゲーム [Kindle]
5.アイザック・アシモフ著『ファウンデーション3部作』(原題:The Foundation Trilogy)
要約:優秀な数学者が銀河帝国の滅亡を予言して、それに代わる新しい帝国を打ち建てる。 億万長者に好まれる理由:人類の進歩、文明の成長とテクノロジーのイノベーションは一体となっています。なのでテクノロジーは世界を良くするために必要です。 おもしろ情報:「アシモフのロボット法」(例:「ロボットは人間に危害を加えてはならない、あるいは、人間に攻撃されても何も行動しない」という一節は、今でも人口知能(AI)の開発のための倫理的なガイドラインとなっています。 書き出し:「彼の名前はガール・ド―ニックで、今までに惑星トランターを見たこともないような田舎の少年だった。」ファウンデーション3部作[Kindle]
6.ロバート・A.・ハインライン著『異星の客』(原題:Stranger in a Strange Land)
要約:火星で生まれた男が地球に戻り、ヒッピーのように死体をむさぼるセックスカルトの創始者となる。 億万長者に好まれる理由:ベビーブーマーを扱った話です。 おもしろ情報:イギリスのヘビーメタルバンド、アイアン・メイデンのお気に入り本でもあります。これもまた、ベビーブーマー世代向きです。 書き出し:「昔々あるところにバレンティン・マイケル・スミスという名の火星人がいました。」異星の客[Amazon]
7.ダグラス・アダムス著『銀河ヒッチハイク・ガイド』(原題:The Hitchhiker's Guide to the Galaxy)
要約:不運なイギリス人男性が、超自然的で滑稽な冒険を繰り広げる。 億万長者に好まれる理由:億万長者といえども、時には笑いが必要です。 おもしろ情報:この本はもともとはBBCラジオ放送(英国放送協会)で放送されていました。 書き出し:「その家は村の端にあるわずかに登り坂になっているところに立っていた。」銀河ヒッチハイク・ガイド[Kindle]
7 Classic Sci-fi Books That Billionaire Entrepreneurs Love |Inc.com
GEOFFREY JAMES(原文/訳:春野ユリ)
Photo by Shutterstock.