Windowsには良いところもたくさんありますが、コンピューターを利用する上でもっともわずらわしい問題のひとつ、「クラップ(ごみ)ウェア」を抱えているのも事実です。この記事では、あなたのパソコンから不要なソフトウェアを見つけ出して削除し、さらにはこれ以上勝手にインストールされるのを防ぐために必要な知識をすべてお伝えしましょう。

そもそもクラップウェアって何?

簡単に言うと、クラップウェアとはユーザーが必要としていないのに、何らかの理由で、本人の意向に反してパソコンにインストールされるソフトウェアです。これには市販ソフトのプリインストール版(『Netflix』や『McAfee Antivirus』のお試し版など)から、ブラウザのツールバー、起動時に勝手に立ち上がるアプリ、あるいはデフォルトの検索エンジンを変えてしまうソフトまで、実にさまざまなタイプが含まれます。

最初のカテゴリー、すなわち市販ソフトのプリインストール版は、「ブロート(膨れ上がる)ウェア」と呼ばれることも多いですね。プリインストールされているアプリがすべてダメというわけではないですが、たいていの場合、こうしたソフトウェアのうち9割はいずれ削除したくなるはずです。今回の記事では、不要なソフトウェアを一掃するのが目的なので、ブロートウェアもそのほかのクラップウェアと同様に取り上げます。

プリインストールされている不要なソフトを削除するには

まず、新しいコンピューターを買うとついてくるブロートウェアの対策から始めましょう。マシンを自作した(あるいはあらかじめ不要なソフトが削除されている「Microsoft Signature PC」を購入した)場合は別として、こうした不要なソフトは新品のマシンにつきものです。メーカーのマシンでは、特に多くのプリインストールソフトがついてきます。

幸い、これらのソフトの削除手順はそれほど難しくありません。これにはいくつかの方法がありますので以下に解説しましょう。

その1:『Revo Uninstaller』を使って不要なアプリを手動削除

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もちろん、Windowsの標準アンインストーラーを使って不要なプログラムを削除することも可能ですが、米LHはその方法はおすすめしません。デフォルトのアンインストーラーを使っても、レジストリに設定が残ったり、不要になったファイルがあちこちのフォルダに置き去りにされたりするからです。しかも不要なプリインストールソフトに限って、こうした傾向が特に顕著です。ですから、『Revo Uninstaller』のようなもっと強力なアンインストーラーを使うようお勧めします。

  • まず、Revo Uninstallerをダウンロードしてインストールします。またソフトが増えるのか、と思うかもしれませんが、この作業を終えたあとも手元に置いておいて損はないソフトなので、心配は無用です。
  • インストールしたRevoを起動すると、あなたのコンピューターに入っているソフトの一覧を作ってくれるので、少し待ちます。
  • 削除したいプログラムを選び、「Uninstall」(アンインストール)ボタンをクリックします。
  • すべての不要なソフトウェアが削除されるまで、3の操作を繰り返します。

ただし、見慣れないソフトは全部アンインストールするような行きすぎた行為は控えてください。McAfeeのお試し版はいらない、というように自分で判断できるプログラムはどんどん削除してかまわないのですが、何なのかよくわからないプログラムの場合は、マシンから削除する前にいったん調べましょう。実は非常に重要なプログラムだった、ということもあり得るからです。

その2:『Decrap』で不要なアプリを自動消去

その1で紹介したプログラムを1つずつ削除する方法は、確かにちょっと面倒です。特に、不要なブロートウェアが大量に入っているコンピューターを使っているなら、もっと手間をかけずに済む解決法を選びたくなるかもしれませんね。そこでご紹介するのが『Decrap』です。これは優秀なプログラムで、まずはシステムをスキャンし、インストールされているソフトを種類ごとに一覧表示してくれます。あとは削除したいソフトのチェックマークをオンにすれば、Decrapが一網打尽に片づけてくれます。その手順を説明しましょう。

  • Decrapをダウンロードし、インストールする。ポータブル版をダウンロードし、解凍先をデスクトップ上のフォルダにするのがお勧めです。これなら、あとでアンインストールする手間が省けますからね!
  • Decrapを起動します。初期設定が終わると、自動モードで実行するかどうかを尋ねられます。ここは自動モードを選ばないほうが良いでしょう。
  • その後、Decrapがあなたのコンピューターをスキャンし、現在インストールされているソフトを確認してくれます。
  • プログラムの一覧が表示されるので、これに目を通し、削除したいプログラムのチェックマークをオンにしましょう。おそらく、削除したくなるのは「Automatically Starting Software」(起動時に自動で立ち上がるソフト)や「Third Party Software」(サードパーティのソフト)というカテゴリーに入っているものが多いでしょう。一方、「Drivers」(ドライバー)や「Windows Related Software」(Windows関連ソフト)といった項目はそのままにしておきたいはずです。
  • 「Next」(次)をクリックしたら、「System Restore Point」(バックアップ)を作るかどうか確認されます。作っておきましょう。
  • 続いてDecrapは、チェックしたものすべてを自動でアンインストールするか、個々のアンインストーラーを手動で操作するか尋ねてきます。これは好きなほうを選んでください。ステップ4で正しい選択をしていれば、すべて自動でアンインストールし、レジストリをクリーンアップしても問題ないはずです。
  • あとはDecrapがアンインストール作業を進めるのを待ちましょう。すべて終わった時には、PCはすっかりクリーンになっているはずです! ただし、スタートメニューをチェックし、Revo Uninstallerも使用して、自動アンインストールから漏れたソフトがないか、確認を取るのは忘れずに。

繰り返しになりますが、この場合もよくわからないソフトが見つかった場合は、削除する前にGoogleなどで検索しましょう。システムにとって重要なソフトかもしれませんし、プリインストールされているソフトにも優秀なものもありますからね!

その3:いっそWindowsをクリーンインストールする

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人によっては、これまでご紹介した方法ではなく、Windowsを一からインストールし直して、ブロートウェアを一掃する道を選ぶかもしれません。まずはマイクロソフトから出ているWindowsのインストールディスクを入手しましょう。コンピューターに同梱されていたディスクには、たいていブロートウェアも含まれているので、これは使えません。加えて、有効なライセンスキーが必要です。多くの場合、使っているマシン本体にステッカーが貼ってあって、そこに記されています。

ただし、この方法はいつもうまく行くとは限りませんし、ライセンス形態によっては、同梱されていたのと別のディスクを使うとサービス利用資格に抵触する場合もあるので、この点には留意してください。

ライフハッカーでは、Windowsの再インストール方法を以前にも記事にしていますので、具体的な操作方法はこちらを参照してください。Windowsのインストール自体は簡単ですが、一部のドライバーやそのほかのソフトウェアを追加で再インストールする必要はあるでしょう。ブロートウェアを自分の手で削除するよりこちらのほうが時間はかかりますが、自分のシステムに何が入っているかを正確に把握できますし、まっさらな状態からマシンを使えます。時間と労力をかけるだけの価値があるかどうかは、あなた自身が判断してください。

ツールバーなど、抱き合わせの不要ソフトを削除するには

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クラップウェアの第1のタイプは『Microsoft Office』の無料お試し版といったものでしたが、第2のタイプはもう少し悪質です。新しいプログラムをダウンロードしてインストールすると、気がついたらそのほかに、ブラウザに勝手にツールバーがインストールされていたり、デフォルトの検索エンジンが変更されていたりする、といったものです。また、無料プログラムと抱き合わせで、ツールバーや不要なソフトがついてくるケースも多々あります。プログラムを提供する企業は、こうした方法で、プログラムを無料で提供しつつ、収入を得ているわけです。

こうした抱き合わせソフトのインストールを避ける方法については次のセクションで触れますが、まずは既に入っている不要物を片づけるところから始めましょう。

これには2つの方法があります。先ほどのセクションの「その1」で紹介したRevo Uninstallerを使って手動でクラップウェアを削除するか、あるいは『AdwCleaner』のような自動プログラムを使うか、どちらかです。後者の場合も、手順はとても簡単です。

  • AdwCleanerをダウンロードし、アイコンをダブルクリックしてプログラムを立ち上げます。インストールは不要です。
  • 「Scan」(スキャン)ボタンをクリックしてコンピューター内をスキャンします。
  • スキャン作業が終わったら、「サービス」「フォルダ」「ファイル」などと名づけられた各タブに目を通し、クリーンアップしたいものにはチェックマークをつけましょう。AdwCleanerが検出したものがすべてクラップウェアというわけではありません。削除して良いのか自信がない時は、検出リストからソフトの名前を特定し、「Should I Remove It」のウェブページで検索してみてください。
  • 削除したいものをすべて選んだと確認できたら、「Clean」(クリーン)ボタンをクリックしてください。そのあとはAdwCleanerがチェックされたソフトをクリーンアップし、コンピューターを再起動して、削除されたものに関する詳細なレポートを表示してくれます。

AdwCleanerの実行後は、最終チェックとしてRevo Uninstallerを起動し、システムに余計なモノが残っていないかを確認するようお勧めします。うまくいけば、あなたのパソコンはすっかりきれいになっているはずです。少なくともツールバーやアドウェアなどの不要物は取り除かれているでしょう。

不要なソフトをこれ以上インストールさせないための対策

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さて、こうしてクリーンなパソコンを手に入れたら、今度はこのまま保つことが肝心です。先ほども触れたように、不要なプログラムのほとんどは、あなたが自分の意志でダウンロードしたソフトと抱き合わせでこっそり忍び込んできます。

こうしたプログラムのインストール自体を完全に拒否し、本当の意味で無料のソフトやオープンソースのものだけをダウンロードするという人もたくさんいます。これも確かにひとつの解決法ですが、これだと、「クラップウェアの問題にさえ目をつぶればインストールする価値のある、質の高いソフト」多数を使えなくなってしまいます。お目当てのプログラムに、抱き合わせでクラップウェアをインストールするか否かについて選択肢があるのなら(たいていはあります)、完全に拒否する必要はないでしょう。

クラップウェアを潜り込まようとするインストーラーの手口を知れば、避けるのはとても簡単です。新しいプログラムをダウンロードしてインストールする時は、以下のようなことに気をつけましょう。

  • 可能であれば、必ずプログラムの公式ページからダウンロードする。多くのダウンロードサイト(「Download.com」など)は、自前のインストーラーを作成しますが、これにはクラップウェアが含まれています。公式ページのオリジナルファイルには入っていない場合でも、新たに追加されてしまうのです。
  • ダウンロードページのチェックボックスに気をつける。クラップウェアのインストールを拒否するオプションが、インストーラーではなく、アプリのダウンロードページ自体に設けられているケースもあります。例えばAdobeの場合は、McAfeeのインストールを拒否するかどうかはダウンロードページで選ぶ仕組みです。また、インストーラーにクラップウェアがついてくるアプリでも、ポータブル版を選べば回避できる場合もあります。
  • 内容を読まずに「次へ」ボタンを連続クリックしない! 自分が何をインストールしているのかに注意を怠ると、うっかりクラップウェアをインストールされていた、ということになりがちです。「次へ」ボタンをクリックする前に、インストールウィザードのページの内容はすべてしっかり読みましょう。
  • インストールでは常に「カスタム」オプションを選ぶ。決して「自動」を選んではいけません。カスタムイントールなら、ほぼどんな場合でもクラップウェアを拒否する選択肢が用意されているはずです。
  • チェックボックスの説明はすべて読む。時には、インストーラーのまったく関係がなさそうなページに、こっそりチェックボックスが置かれている場合もあります。すべてのチェックボックスの説明を読み、頼んでいないものをインストールさせようとする項目はすべてオフにしましょう。
  • 「同意」ボタンをむやみにクリックしない。インストーラーによっては、クラップウェアの使用許諾契約を、もともとインストールしたかったソフトのサービス利用規約に見せかけたりもします。「同意」ボタンを押さないとインストールが進まないと思い込みがちですが、よく読んでください。その「利用規約」が、あなたがダウンロードしたプログラム以外に関するものだったら、「拒否」を選んでも、インストール作業そのものは続けられるはずです。
  • 波状攻撃に注意。クラップウェアを一度拒否したからといって、それで終わりとは限りません。さらに多くの抱き合わせアプリがあなたを待ち受けているかもしれません。また、同じインストーラーが繰り返し、さっき断ったはずのツールバーを勧めてくることだってあり得ます!

あまりに複雑なので、ここまで手間をかけてやるほどの価値はないのでは、と思われたかもしれませんが、一度コツをつかめばあとは簡単です。どんなズルい手を使うインストーラーも出し抜けるようになるでしょう。また、『Unchecky』(英文記事)を使うと、あなたに代わって自動でチェックボックスをオフにしてくれます。それでも、ユーザー自らが注意を払うことに勝る武器はありません。ではお互い、気をつけて安全なダウンロードを楽しみましょう!

Whitson Gordon(原文/訳:長谷 睦/ガリレオ)

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