Inc.:米誌『ニューヨーカー』の最新刊に、脳が記憶を取り出す仕組みについて調べている脳科学者についての記事が載っていました。今回科学者が発見したことは、成功を目指すすべての人が聞くべき重要なブレークスルーかもしれません。

記憶を思い出すとは?

多くの人が、記憶とはビデオテープやコンピューターのメモリのようなものだと考えています。また、記憶を思い出すとは、テープのように記憶を再生することであり、記憶をありのままに思い出せるかどうかは、思い出す能力にかかっているのだと信じられています。

しかし、人間の記憶とはそういうものではありません。あなたが何かを思い出す時、脳は神経細胞間の結合を「再配線」しているのです。文字通り、脳の構造を書き換えています。人間の記憶は、ビデオの再生というよりは、ビデオの編集に似ています。何かを思い出す時、あなたは再現し、書き換え、再記憶しているのです。おそらく、記憶は思い出すたびに新たに書き換えられています。

最新の研究によると、悪い記憶を意図的に編集して、その記憶に結びついている悪い感情を取り除くことが可能なのだとか。この新しい記憶セラピーは、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療に使われています。

記憶は「編集」できる

あなたの態度と行動(あなたを成功に導く2つのこと)は、記憶から大きな影響を受けています。例えば、過去に大きな痛みを伴う経験をすると、よりリスクをとることを避けるようになります。たとえ、失敗する可能性が少ないとわかっていてもです。

同じように、過去に成功体験があり、それを肯定的な記憶として鮮明に覚えていれば、同じ成功体験を繰り返すべく行動をとるようになります。

この研究は、次のことが可能であるのを明らかにした点で、とても重要です。

  1. 悪い記憶を編集して、行動への恐怖心を取り除く。
  2. 良い記憶を編集して、さらに前進する力を得る。

言い換えれば、成功するために脳を再配線できるということです。

悪い記憶を弱める方法

今回紹介する方法は、作家でモチベーショナル・スピーカーのアンソニー・ロビン氏が過去20年間教えてきた方法とほとんど同じです。

悪い記憶から毒の牙を引き抜くには、その記憶を意識の中に置いて、それが小さく、薄くなっていくところをイメージします。小さな白黒TVを見ているかのようにです。

記憶を和らげるディテールも加えます。例えば、プレゼンをしくじった時の記憶なら、聴衆全員(小さな画面に映る、小さな聴衆たち)に、ピエロの服を着せてしまいます。

これを5~10回行えば、悪い記憶で心を乱されなくなります。むしろ、プレゼンのことを思い出すと、おかしくて笑いがこみ上げてきます。あなたは文字通り、脳の配線を書き換えたのです。

良い記憶を強化する方法

良い記憶をさらにパワフルに、やる気がみなぎるものにするには、逆のことを行います。良い記憶をできるだけイキイキと鮮明に思い出してください。巨大なIMAXシアターで、最高のサウンドシステムで映画を見ているように。

その状況であなたが経験した素晴らしい感覚を、臨場感をもって再現し、増幅してください。これを5~10回行えば、ただの幸福な記憶が、強力なモチベーションになったことがわかります。記憶を再体験するほど、同じことを現実でも再体験したくなります。

私自身、このメソッドを何年間も使ってきました。なぜそれが効果があるのかは知らないままにです。今や、この方法は脳科学の裏付けを得ました。これからも、記憶を編集し、改善して、日頃の行動を変えていこうと思います。

How to Rewire Your Brain for Success|Inc.

Geoffrey James(訳:伊藤貴之)

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