研究によると、光をどれだけ浴びるかは、体のリズムを整えるうえで大事な要素のひとつなのだとか。この知見を踏まえて、数学者のチームが『Entrain』というiPhoneアプリを開発しました。時差ぼけに苦しむ時間が短くなり、移動先の時間帯に速やかに適応できるのだそうです。ミシガン大学の研究者チームが開発したEntrainは、ユーザーの入力した情報に基づいて時差ぼけを短時間で克服するためのスケジュールを割り出してくれる、ガイドライン的なアプリです。光センサーなどを使って勝手に情報を収集するわけではないので、ユーザーが自分で情報を入力する必要があります。「魔法のように」とはいきませんね。
このアプリは「体の概日リズム(約24時間の生体リズム)に影響する最大の要素は光である」という考え方を前提としており、光の刺激を利用して、体内時計をある時間帯から別の時間帯にうまく移行させる方法を指南してくれます。ユーザーが「いつどのくらいの強さの光を浴びたか」をアプリに記録していけば、「その先の日程でいつどのくらいの光を浴びれば良いか」を割り出してくれるというわけです。詳しい理屈は、学術雑誌『PLOS Computational Biology』に掲載された論文(英文)をお読みください。
算出されるスケジュールは、移動先の時間帯にできるだけ早く適応するためのもので、数学的な裏づけがあります。概日リズムに影響する最大の要素は光であり、(いつどれだけの)光を浴びたかをユーザーが記録すれば、体内時計を刺激する行動の指針が提示されるのです。
というわけで、このアプリの使い方は次のとおりです。まず、今いる場所の時間帯を設定し、旅行の目的地および到着日時を入力します。肝心なのはその次のステップです。「旅行中に浴びる光は、一番明るい時でどの程度か」を、選択肢の中から回答しましょう。あとは、実際に浴びた光の強さをアプリに記録していきます。入力のたびにお勧めの行動が更新されるので、それに従って行動してください。
優れたアプリではありますが、短期間の旅行の場合は、時差ぼけ調整をしないほうが時間のムダが出ないかもしれません。また、Android用アプリは現在開発中なので、現状ではiPhoneユーザーでない限り、別の方法で時差ぼけを克服するしかなさそうです。よく知られた方法に、飛行機に乗った時から目的地の時間帯に合わせて行動する、というものがありますね。
Entrainのオフィシャルサイトへは、以下のリンクから進んでください。アプリの使い方や仕組みについての詳しい説明があります。でも、難しいことが嫌いな人は、とにかくアプリをダウンロードして使ってみてくださいね。
Entrain(無料) | iTunes App Store via Entrain
Mihir Patkar(原文/訳:江藤千夏/ガリレオ)