敏腕クリエイターやビジネスパーソンに学ぶ仕事術「HOW I WORK」シリーズ第67回。デジタルを駆使してペーパーレスに執筆するSF作家、ジェイミー・トッド・ルービン(Jamie Todd Rubin)氏に続く今回は、「The Muse」のCEOを務めるキャスリン・ミンシュー(Kathryn Minshew)さんにインタビュー。
キャスリン・ミンシューさんは、28歳の若さで、キャリアアドバイスおよび仕事検索ツール「The Muse」を、ワープのようなスピードで成長させています。2011年に資本金3,000ドル以下で立ち上げ、わずか数人のライターと編集者だけでスタートした同社でしたが、今や月間ユーザー数は100万人を超えるほど。The Museを立ち上げる前のミンシューさんは、「The Clinton Health Initiative」で、アフリカにおけるワクチンの普及に努めていたそうです。
今回は、働き詰めの起業家、ミンシューさんの時間を少しだけいただき、その仕事術を聞いてきました。
氏名:キャスリン・ミンシュー(Kathryn Minshew)
居住地:ニューヨーク州ニューヨーク市
現在の職業:The Museの共同創設者兼CEO
現在のモバイル端末:iPhone 5S
現在のコンピュータ:MacBook Air。なぜなら、ほぼ外出しているから
仕事スタイル: 大胆に!
── 「これがないと生きられない」というアプリ・ソフト・ツールは?
Gmailのプラグイン「Boomerang」を使っています。既読メールを一定時間後に未読に戻してくれるツールで、スタートアップというカオスにいくらかの秩序をもたらしてくれる稀有な存在です。あとで読みたい記事を保存しておける「Pocket」もお気に入りです。ブレインストーミングのアイデアやパートナーシップ計画をまとめたり、それらをチーム内でシェアするには「Hackpad」(Google Docsの競合)が便利ですね。
──仕事場はどんな感じですか?
私のデスクはすぐに散らかってしまいます。たいてい、デスクの上か引き出しの中には、小さなスナックを何個かキープしています。なので、職場では「スナッキー」と噂されてるみたい。それから、読書中の本が1、2冊と、チーム内でシェアするための雑貨がいくつか置いてあることもあります。
私、作業環境をあれこれ変えるのが大好きなんです。そうすることでクリエイティブになれるから。壁にぶつかったときには、窓際のアームチェアに座ったり、居心地のよいカウチに移動することで、確実にエネルギーをチャージできます。
──愛用中のToDoリストマネジャーは何ですか?
私の場合、受信箱がToDoを兼ねていて、下書きメールをプレーンテキストアプリのように使っています(かつてMacでTextEditを使っていましたが、あれとよく似ています)。必要なときにどこからでもアクセスできる価値は計り知れません。
それに、「3×3」と呼ばれるシステムにもトライしています。「3×3」は、毎日その日のMust項目を3つ付箋に書き出してそれを実行するというやり方です。まあ、まだ始めてからそんなに日が経っていないので、今後も続けるかどうかはわかりません。でも、Mustをやり終えて線で消す瞬間の感覚が大好きです!
──お気に入りの時間節約術は何ですか?
正直に言えば、私の最大のライフハックは共同創設者のアレックスです。彼女の生産性は、何においても素晴らしくて。彼女との友情と仕事上の関係のおかげで、私は効率向上の方法をたくさん学びました。だから、私が言える最高のヒントは、素晴らしい共同創設者を見つけるってことかな。
特に役に立ったのが、1日の中でいちばん生産性が高まる時間帯(と条件)を知り、集中力を要する仕事のためにその時間帯を何としてでも確保するというハック。逆に、会議の時間は、その状態に入りにくい午後または午前の遅めの時間帯に設定しています。
── 携帯電話と PC 以外で「これは必須」のガジェットはありますか?
難しい質問ですね。前々から「Fitbit」を試してみたいとは思っているのですが、まだ入手できていません。実際のところ、会社のMiFi(モバイルWi-Fiルータ)以外に「ガジェット」と呼ばれるものは何も持っていないのです。
とはいえ、私は旅が好きです。冒険的な旅が好き。だから、その点で欠かせないと思うものはいくつかありますね。電気のないところに備えて、小型のポータブルLEDヘッドランプ。がっつり系の旅にはバックパック、出張にはTUMIのキャリーオン。スタンプがたくさん押されたパスポート。それから、ガイドブックから破った数ページも欠かせません。
──日常のことで「これは他の人よりうまい」のは何ですか?
ひそかに得意なのが、なまった英語の真似です。大げさにして笑いを取ることも、ものすごくリアルに再現することもできます。その証拠に、イギリス人にイギリス人だと思せたことも、フランス人にフランス人だと思わせたこともあります。これが本当かどうかは、実際私に会ってみないとわからないと思いますが...。とにかく、他人からはそう言われています。
どうやら私は、物々交換も得意なようです。お互いの得になるようにモノとモノを交換することで、お金のやり取りがなくても皆がハッピーになれます。この特技は、The Muse初期の頃にずいぶん役立ちました。
──仕事中、どんな音楽を聴いていますか?
職場では、環境雑音がある方が好きです。家で夜に仕事するときは、PandoraかSpotifyでテイラー・スウィフトをかけて、陳腐なポップを思いっきり堪能します。ちょっと恥ずかしいけど、本当の話です。
──現在、どんな本を読んでいますか?
私はいつも、いろいろな記事を読んでいます。世界のニュース、テック系メディア、それに、くだらないネタも。それらのすべてを、Pocketを使って記録しています。紙の本としては、トム・ストッパードの『The Inventon of Love』を読んでいます。『Arcadia』で彼の魅力に取りつかれてしまい、ゆっくりながら、ほかの作品を読み進めているところです。
──あなたは外向的ですか、内向的ですか?
ほとんどの場合において外向的です。魅力的な人を見つけると、その人がいま何に夢中で、どうやって今の場所に至ったのかを知りたくなります。そんな私ですが、狭い空間に引きこもっていたい衝動には逆らえません。ですから、ときには内向的な日もあります。
──睡眠習慣はどのようなものですか?
12時に寝て8時に起きる8時間睡眠が理想ですが、それができた試しはほとんどありません。それでも7時間半は何とか確保しようとしていて、それができない日は翌日に影響が出ます。睡眠時間と質の記録には「SleepBot」というフリーのアプリを使っているのですが、徐々に音が大きくなるアラーム機能が付いていて、耳障りなiPhoneデフォルトのアラームよりもずっと気に入っています。
──あなたが受けたものと同じ質問をしてみたい相手はいますか?
「HealthTap」のCCOであるNan Forte、「Fueled」の創設者兼CEOであるRameet Chawla、コメディアンのStephen Colbertです。
──これまでにもらったアドバイスの中でベストなものを教えてください
「"No"とは否定ではなく、"あとでまた試してみる"という意味だ」と言われたことがあります。起業家には、このような思考が重要なのではないでしょうか。なぜなら、創業当初は、何百回も「No」を聞くことになるはずだからです。でも、最終的にはそれが最大のチャンスになります。The Museを熱心に支援してくれている人たちの多くは、かつて何らかの方法でNoと言ったけれど、のちに戻ってきてくれた人たちなのです。
──その他に読者に伝えたいことがあればどうぞ
私が2004年以降に訪れた国は、何と48カ国! 特に気に入ったのは、オマーン、中国、フランスでした。
Tessa Miller(原文/訳:堀込泰三)