パートナーとの関係がどんなにうまくいっていても、誤解やコミュニケーションの失敗を避けることはできません。2人の関係を壊しかねない、よくある5つのコミュニケーション・ミスとその防ぎ方を紹介します。
ここでは、極端な避難、保身、軽蔑、閉め出しなど、あからさまに関係を壊すタイプのコミュニケーションについては触れません。もっと微妙な、気付かないうちにあなたもやっているかもしれないことをお伝えしたいのです。
1. コミュニケーションは多い方がいいという勘違い
ハッピーな関係には良好なコミュニケーションが不可欠と思っている人は多いかもしれません。それはある意味正しいのですが、その幸せを生み出しているのは、必ずしもコミュニケーションだけではありません。むしろ、話し過ぎは逆効果になることだってあるのです。結婚・家族セラピストのエリカ・カーティスさんはこう言っています。
コミュニケーションがつながりを生むと思ったら大間違いです。女性は会話によって他者とのつながりを感じることが多いかもしれませんが、多くの男性(と一部の女性)にとってはそうではないのです。ですから、コミュニケーションの前に、まずはつながりを作ることが大事。その順序を間違えると、むしろ断絶をもたらしかねません。つながりは、相手と同じ活動をしたり、相手の努力を認めることで構築できます。場合によっては、物理的に近くにいるだけでもOK。先につながりを構築することで、オープンかつ効果的なコミュニケーションができるようになるでしょう。
パートナーのコミュニケーションスタイルを知っておくと便利です。以前結婚に関する記事でも書いたように、「愛のことば」は人によって異なります。それは、ポジティブな声掛け、ボディタッチ、充実した時間など、実にさまざま。例えば、「言葉よりも行動で示してほしい」タイプの人にとって、パートナーが文句ばっかり言って家事をまったく手伝わなければ、それは大いなる断絶です。2人でいつも徹底的に話し合っているのに、なぜか関係にハードルを感じてしまうのは、つながるための別の手段、すなわち言葉以外の方法に集中した方がいいのかもしれません。
もちろん、よく話すことは生産的であり、必要なことでもあります。ハッピーな夫婦は週に5時間以上話しているというデータもあります。ただし、離婚に関する過去の記事にもあるように、本当に同じ波長で話せていかを確認した方がいいでしょう。さらに、ケンカをするときには、生産的なケンカを心がけてください。
2. 察してほしいという期待
恋人に何かをやってほしいと思っていたのに、うまく伝わっていなかった。そんな経験がきっとあなたにもあるでしょう。そう、人間はそれほど、他人の気持ちを察することが得意ではないようです(お互い十分に伝えた内容でさえ、きちんと理解することは難しいのですから)。
「Mom It Forward」というブログで、メリッサ・ドーン・リーバーマンさんが素敵なことを書いています。
私はかつて、「夫にもう少し常識があったなら、私の思ってることをわかってもらえるのに」と考えていました。例えば、12時間の仕事を終えて帰宅した夫が、お腹の風邪で苦しむベビーと私を目にしながら、「ちょっとサイクリングに行ってきてもいい?」なんて聞くことはないだろうと。きっと彼は、私が「行かないで」と言わなかったら、嘔吐しながらベビーのオムツを換える私を置いて、サイクリングに出かけていたことでしょう。
でも、気付いたんです。パートナーが自分の気持ちや希望を理解してくれているなんてことは、絶対にありえません。どんなに仲のいい2人でも、同じ気持ち、世界観、考えを共有しているわけではないのです。流しに洗い物がたまっていることも、子どもたちがまだ宿題を終えていないことも、知っているのはあなただけかもしれない。疑わしいときには、口に出して言わなければ、相手には伝わらないのです。
3. あきらめて本当の気持ちを言わない
どちらか一方、または双方が衝突を嫌う場合、"相手のため"という大義名分のもと、感情は闇に葬り去られます。筆者も衝突が嫌いな性分なので、短期的な平和を望む気持ちはわかります。ただ、その行為は幸せを徐々に奪い、いずれ2人の関係をむしばんでいきます。サイト「Power to Change」に、こんな記事がありました。
「理想的な結婚とは、対面通行の道路である」と言う人がいます。議論がまったくなかったり、交通が一方向だけだったら、2人はコミュニケーションのない一方通行の道路にいることを意味します。これは、喜ぶべき状況ではありません。
4. どうにもならない問題をくどくどと繰り返す
2人とも頑固者で、妥協を許さないという場合もあるでしょう。それは、1車線の道路でチキンレースを繰り広げているようなものです。その例として、Psychology Todayから、「ウッドペッカー症候群」に関する記事を抜粋します。ウッドペッカー症候群とは、片方が頑として譲らず、相手が身を守るために撤退しているにもかかわらず、ずっと同じことをやり続けることを指します。
2人のうち片方がまったく譲らず、有害な会話を続けながら、くどくどと講釈を垂れています。
これでは建設的な会話は望めません。それでも、ウッドペッカー症候群に侵された人は、まるで「止まるな」という標識でも見えているかのように、いつまでもその行為をやめません。その人は勤勉で無神経な講師になり、身を守るために沈黙している相手を無視して、強制的な一人芝居を続けます。これでは何も解決しないばかりか、関係は悪化します。2人とも疲れ果てているのに、油断を見せることもできません。
このようなコミュニケーションを続けていると、得るものがどんどん少なくなっていきます。やがて、一方が「話をしよう」と言っただけで、相手は逃げたくなってしまうでしょう。一度生じた亀裂は、どんどん広がっていきます。もはや、単調で厳しく中断のない一人芝居や箇条書きの提案リストとして伝えられたものは、どんなに思いやりのある内容であっても関係ありません。けっきょく最後に残るのは沈黙であり、何の目的も果たされないのです。
Psychology Todayでは、ウッドペッカーに対するアドバイスを提供しています。それは、黙ること。ひと呼吸おいて、自分を取り戻して、違うアプローチを試みましょう。もしかしたらこの話題はあなたの思い通りにならないのかもしれませんし、後で何とかなるにしても、相手のあら捜しをしていては何も改善しません。
5. 相手の視点に立って考えない
良好なコミュニケーションの中心となるのは、はっきりモノを言うことだったり、相手とのうまいコミュニケーションのためのベストな方法を知ることだったりします。それと同じくらい大事なのに忘れてしまいがちなのが、相手の視点に立つ努力をすること。共感力は、仕事でもプライベートでも非常に重要なスキルであり、訓練によって鍛えることもできます。必ずしも相手と同意見である必要はありませんが、少なくとも、関係性に対する考え方は、同じである必要があるのです。
Melanie Pinola(原文/訳:堀込泰三)
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