Google PlayiTune App Store には、アプリのレビューがたくさん投稿されていますが、ほとんど当てにならないと言っても過言ではありません。

参考にはなるものの、ハイテク通の長広舌や、機種固有の問題点に関する苦情、意味不明のコメントを選り分けないことには、本当に役立つ情報は見つからないのです。

でも大丈夫。アプリの良し悪しを見分ける方法は、ほかにもあります。

アプリストアの星の数は信用できない

こういうユーザーレビューは信用できない

カスタマーレビューの星の数だけでアプリを判断していませんか。確かに、星の数はそのアプリを実際に使ってみた人の評価を客観的に示した指標であるべきなのですが、困ったことに、常にそうだとは限らないのです。「Google Play で酷評されている」というだけでは、アプリを公正に評価したことになりません。アプリを実際に使った人のレビューに比べたら、なおさら不公平だと言えるでしょう。

星ひとつの評価を下しておもしろがっている人は確かにいますが、アプリのレビューが抱える問題はそれだけではありません。事態はもっと深刻です。

アプリストアの評価には、レビュー投稿者はそもそも評価を下すことに積極的であるという「自己選択バイアス」がかかっています

これは、アプリストアに限らずインターネット上では頻繁に見受けられる状況です。レビューを投稿するユーザーというのはたいてい、自分の意見を熱心に主張するタイプ(苦情を言う人に特に多い)や、意見を素直に発信するタイプ(高評価を与えることが多い)です。

いずれにしても、そういった人々が下す評価からは、レビューを投稿するほどのこだわりを持たないごく普通の人が、実際にアプリを使った場合にどのような感想を抱くのかが、はっきりと見えてきません。

大半のレビューは、文章が稚拙か、あまり役に立たない基準に基づいているか、極めて個人的か、機種固有の問題に関するものです

わけのわからないレビューはひと目でわかります。それに、「Xperia Z で使えるようになるまでは星ひとつ」とか「プルリフレッシュ(画面を下にスワイプして情報を更新する操作)ができれば星4つ」といったコメントを目にしたことがあるなら、くだらないレビューが全体の評価をいかに大きく左右するか、おわかりですよね。

つまり、その人個人にしか当てはまらない内容が極めて多く、他人にとってはどうでもいいことや、利便性のない一部の機能について、ほめたりけなしたりしているだけなのです。

開発者や PR 会社は、アプリが正式にリリースされる前に、サクラレビューを大量に投稿しています

これは、レビューに関する深刻な問題といえるでしょう。新しいアプリの場合は特にそうです。リリースされてある程度時間が経ってからアプリを大絶賛する5つ星レビューが投稿されるケースもありますが、アプリがストアに登録されてから、正式リリースされるまでの間(英文記事)に投稿される場合もあります。

その空白期間は数時間から数日までとまちまちですが、その間に5つ星がついた高評価のレビューがいくつか投稿されていれば、リリース日にアプリの評判が上がることは間違いありません。やっているほうは、見つかるわけがない(英文記事)と高をくくっているのでしょうね。

競合するアプリの開発者同士が、ユーザーや友人に頼んで競合相手のアプリに1つ星をつけてもらい、評判を落とそうとします

「家族や友人」を利用した競合アプリへの妨害行為は、さほど多くはないものの、そういう話は確かに耳にすることがあり、実際に行われています。最悪の場合、開発者がライバルの足を引っ張るために特別チームを結成するかもしれません。自分が開発したアプリの評価を上げようとする場合もあります。ライバルの足を引っ張るのとは逆に、アプリを使い続けたいなら良いレビューを投稿するよう、アプリ開発者がユーザーにうるさく頼むことも珍しくありません。あまりのしつこさに、うんざりしているユーザーもいる(英文記事)ようです。

アプリストア自体のバージョンアップで、評価が暴落することもあります

2013年12月、Google Play のバージョンアップで、インストール済みのアプリに基いて別のアプリを紹介する「あなたへのおすすめ」機能が追加されました(英文記事)。でも、それだけではありません。ユーザーはおすすめの内容に対して星をつけられるというのです。つまり、そのアプリに興味を持ったかどうかでおすすめ情報を評価できるというわけです。

とはいえ実際は、アプリそのものを評価していることにつながり、多くの開発者が目にしたように、アプリの評価が一気に大暴落する事態となりました。すべては、正しい理解を得ないまま、新機能を軽率に導入した Google Play のせいです。この問題に関しては、Hacker Newsで議論が交わされており、アプリストアのレビュー評価の信頼性が大きくダメージを受けたことがわかります。

というわけで、アプリの評価もレビューのコメントも、時間をかけて価値あるものとそうでないものを選別しない限り、役に立たないことがわかりました。アプリストアそのものの問題ではないとしても、レビュー自体はせいぜい、ごく一部のユーザーや状況にしか当てはまらず、役にも立たない内容と言えるでしょう。もしくは、迷惑なサクラレビューか、ユーザーを取り込むための販売キャンペーンという最悪のケースもありえます。もちろん、負けじと個々のレビューを吟味し、本当に役立つレビューを探し出そうとするのは自由です。

あるいは、そういった風潮に抗って、本当に役立つレビューを自ら投稿してもいい(英文記事)でしょう。自分の手でインターネットをより良い世界にしてみませんか。とはいうものの、アプリをインストールすべきか否かを見極めるだけなら、レビューに目を通したり、Google Play の星3.4という評価に悩んだりするよりも良い方法があります。

何を参考にすべきか

代わりになるのは

アプリストアがあまり当てにならないのなら、何を信じればいいのでしょうか。ダウンロードする前にアプリの情報を手に入れられる便利な方法をいくつかご紹介しましょう。

信頼性が高く選び抜かれた第三者レビューを読む

持っているスマートフォンの機種に関係なく、アプリのレビューや評価を専門とするブログは数多く存在します。生産性を専門とする我がサイトはもちろんのこと、iOS ユーザーなら Apple 社関連のニュースサイト「TUAW」、Androidをお使いなら「Android Police」もおすすめです(いずれも海外メディア)。

大切なのは、ちゃんとしたアプリの評価を数多く手がけていて、耳を傾ける価値のある意見が載っていそうなサイトで、探しているアプリのレビューを見つけ出すことです。知りたい情報を得るのに役立つかかどうか、レビューによく目を通してみましょう。記事が最新のものであれば、レビュー投稿者との議論に直接参加できるかもしれません。

YouTubeのレビューや動画デモを見る

ダウンロードしようとしているアプリがあって、使えるかどうか迷ったら、YouTube を開いてアプリ名で検索してみましょう。YouTube 利用者やブロガーの自分のサイトに投稿したレビュー動画が高い確率で見つかるはずです。レビューの内容が参考になるのはもちろんのこと、アプリの使い方やインタフェース、使い勝手やスピード、どういうオプションがあるのかまで知るのに役立ちます。詳細な動画レビューなら、アプリを実際にインストールしたような感覚が味わえますし、アプリを購入すべきか否かの判材料になります。

同じ開発者が作ったほかのアプリを確認したり、質の高い製品を作っている開発者のアプリを使う

iTune App Store でも Google Play でも、アプリの詳細ページを見れば同じ開発者が作成した別のアプリが確認できます。そういったアプリに対する評価をチェックしてみましょう。コメントを読めばだいたいの印象がつかめるはずですが、開発者とその製品に関する第三者の評価や意見を探せば、もっと参考になるはずです。信頼できるアプリを作っている開発者なら、そのアプリも期待できます。同様に、高品質のアプリを生み出している開発者を知っているのなら、その動向に注目し、新作アプリが発表される時期をチェックしておきましょう。

開発者自身についてあまり知らなくとも、ウェブサイトを開設していたり、簡単に接触できる手段があったりするはずです。まじめな開発者はアドレスを公開しているでしょうし、Android アプリなら、誰でも入れる Google+ グループがあるかもしれません。開発者もしくはアプリの Twitter アカウントや Facebook アカウントがあるかどうかも確認してくださいね。

「アプリ発見ツール」という選択肢

新しいアプリをお探しなら、アプリ発見ツールを使ってみてはどうでしょう。米 Lifehacker おすすめの iPhone アプリ発見ツールや、類似アプリを紹介してくれる Google Play のおすすめ機能(英文記事)を使ってみるといいかもしれません。けれども、アプリ発見ツールは、サービスを提供している開発者やチームが、注目してほしいアプリにユーザーを誘導しているケースも多く、必ずしもすべてのアプリを網羅しているとは限りません。アプリを見つけるひとつの手段として活用してください。

無料アプリや、カレンダーアプリ、メールクライアント、Twitter クライアント、メモアプリのような日常生活に欠かせないアプリは特にそうですが、実際にしばらく使ってみるまでは、それが本当に自分の必要としているものなのか、なかなかわかりません。そういった場合は、躊躇せずに使ってみて、感触を自分で確かめてみてください。一方、有料アプリ(もしくは、便利な機能を手に入れるにはアプリ内課金が必要な無料アプリ)は、仮に払い戻しが可能だとしても期間が設定されていますし、それまでに使い心地を確認するのは難しいものです。ですから、これまでにお話ししたヒントを念頭に置いた上で、みなさんが額に汗して手にした大切なお金を注ぎ込むべきか否かを、慎重に判断してください。

Alan Henry(原文/訳:遠藤康子、吉武稔夫/ガリレオ)