人生に変化を起こすには、自分の身体で「実験」することです。新しいアイデアを試してみるとビジネスで成功したり、それを人とシェアすると作家や芸術家としての道が開けたりするかもしれません。今までと違う食生活や運動を始めると、あなたに合った健康法も見つかるでしょう。

自己実験をする人はめったにいません。他人が決めてくれた方法に沿って行動する方が楽だからです。また、他人がおかしなアイデアを持ちかけてきたら、6カ月かけてそれを試してみるよりも、ほとんどの人はそんなアイデアを無視するでしょう。

私も過去に、トライすることなくいろいろなアイデアを却下してきました。だけど、これから説明する「一時的な断食」に関しては、自己実験を行い、自分に合っているかを試してきました。ここ2年以上、それを続けてきた経験から学んだことをお話ししましょう。

一時的な断食とは? その方法は?

一時的な断食とは、普段の量と同じ食事を、短い時間帯で食べることです。ダイエットではなく、食事をする時間を8時間に減らすのです。たとえば、私は毎日初めの食事をお昼の12時か1時に摂ります。次に食事は夜20時までに終えます。こうすれば、1日のうち8時間だけ食事を口にし、16時間は断食している状態になります。これを毎日続けます(おそらく1年365日のうち、350日は一時的な断食をしているでしょう)。

一時的な断食は私にとって、ただ単に朝ごはんを食べないことと同義です。「専門家」は朝ごはんを抜かないことを勧めていますが、このことをしらずに一時的な断食を何年も続けてきました。

一時的な断食の細かい点まで、この記事で語るつもりはありません。以前3000文字ほどの一時的な断食についてビギナーズガイドFAQを書いたことがあります。どういうメカニズムなのか、科学的根拠はどんなものかを知りたければ、そちらを読んでください。Fat Burning ManのポッドキャストやJimmy Mooreのライブショーでも、もっと細かな情報を手に入れられます。

シンプルなのが良い

Vanity Fairのインタビューで、オバマ大統領は自身の生活をシンプルにするための興味深い方法を語っていました。「灰色とブルーのスーツしか着ません。選択肢を減らすのです。食べ物や服について、いちいち決められません。他に決めなければいけないことがたくさんありますから」

オバマ大統領が意図するところは「判断することの疲れ」です。これはあなたが1日に判断する能力に大きな影響を与えます(この記事でも説明しています)。大統領にとって、身につける衣服を単純化することは、判断力を向上させる秘訣なのです。

私にとって一時的な断食は同じ効果があります。朝食をやめると、12時まで食べ物のことを考えなくてすみます。午前中に決めなければいけないことが減ります。結果的に「判断の疲れ」を減らし、その日の判断力を最大化できます。もっと大切なことにエネルギーを費やせます。不必要なことを避け、大切なことに集中するのが、人生の成功と幸せの秘訣です

一時的な断食によって、体力も増しています。体脂肪も減り、1日の食事の時間を減らすことで健康的な生活を保っています。1日2回食事をするだけで人生をシンプルにできるなら、なぜ3、4、5回も食事をして、生活を複雑にする必要があるのでしょう?

一時的な断食は、旅にもいい

空港で健康に良い食事と出合えないことに不満を抱いていました。私は身体が大きい方で、たくさん食べる必要があるからです。空港で健康的な食べ物をたくさん探すのは至難の業です。そこで、飛行機に乗る日は断食し、次の日に2回食事をすることにしました。

例を挙げましょう。去年、感謝祭の日に家族と飛行機に乗りました。その日は32時間何も食べなかったのです。それまでで最も長い断食でした。だけどその断食はうまくいき、空港で不健康な食べ物を口にせずに済みました。

今までのところ、健康へのは影響ありません

長期的に健康を害してしまうなら、短期的な健康を手にいれるために一時的な断食をしようとは思いません。そのため、自分の感情、身体の反応、全体的な健康状態に注意を払っています。幸い、2年前より体の状態は良好です。ジムで体力が向上していることがわかっているからです。

もっと大切なことは、健康診断で血液やコレステロール、ホルモンの状態が良いという結果が出たことです。2年間の一時的な断食のおかげでしょう(興味があれば、こちらで私の血液状態を知れます)。

ただ、私の経験からしか語れないことを強調しておきましょう。あなたの身体が一時的な断食にどう反応するかは、わかりません。女性が、一時的な断食によってホルモンバランスが崩れると信じているのを知っています。ただ、これに関するデータは持っていないし、私の経験しか皆さんにシェアできません。ほかと同じように、あなたの身体の状態は私のものとは違うでしょう。

一時的な断食は魔法ではありません

最初、一時的な断食は健康を手に入れ、脂肪を減らす秘訣だと願っていました。多くの専門家は、食べる時間帯を変えると脂肪と筋肉がすぐに減ると口をそろえていました。現実はもちろん違いました。自然食品などの健康的な食事で一時的な断食を行い、継続的に筋肉トレーニングをしたときのみ、理想的な結果が得られたのです。

一時的な断食は、健康になるためのひとつの方法です。自然食品もしかり。定期的に運動もしましょう。ストレスを減らすために瞑想したり、ヨガをしたりしましょう。毎日8時間以上睡眠をとることも大事です。

他では不健康な生活を送り、1つ健康に良いことをするだけですべてを解決できると考えてはいけません。少しずつ生活を見直し、自己実験を行い、あなたの目的やライフスタイルに合った健康法を見つけてください。

実際、一時的な断食だけが健康への近道ではありません(あなたがきちんとした食事や運動を行っているのなら)。だけど、これまでに述べたように、食事の量を減らして生活をシンプルにしても以前と同じような結果を得られるなら、どうして食事回数を増やして人生を複雑にする必要があるでしょう? より健康的な食事をシンプルに手にする方法を知りたければ、こちらもチェックしてみてください。

一時的な断食があなたに合っているかは保証できません

私が言えることは、私が行なっているすべてを一時的な断食と組み合わせると、良い結果が得られているということです。私の生活スタイルに合っているから、いいのです。考えることが少なくなるので、それに費やすエネルギーを減らせます。私の食事(ほとんどが自然のもの)とトレーニング方法(筋肉トレーニングとそのほか)に合っているからです。

あなたの食事が健康的でない、トライアスロン選手のような運動をしている、あるいは8時間のうちで食事をできない仕事のスタイルなら、一時的な断食は、あなたに合わないでしょう。それでもいいのです。あなたの目標を達成できるようなほかの方法を探してみてください。

これから何をするか、何が大切か

一時的な断食であれ、そのほかのことであれ、あなたとまったく同じ経験を持つ人はいません。だから自分の身体で試してみるのです。ある研究の通りに行動したり、食事のエキスパートのアドバイスに従ったりする方が簡単かもしれません。だけど、結果を得るには、自分で試して、調整し、継続することです。ほかの研究を自分の学術論文で言及するように、科学的な考えは大事だと思っています。良い情報源になるでしょう。でも、自分の目標に向かって前進し、変化を起こすには、新しい選択をして行動し、結果に従って調整することが大事です。

一時的な断食であれ、まったく違う方法であれ、自分で実験し、あなたに合ったものを見つけてください。

The Good & Bad of Intermittent Fasting: Lessons Learned From 2 Years of Experiments | James ClearP

James Clear(原文/訳:駒場咲)