ちょっとどころじゃないくらいに便利で面白くなりそうな予感も。

「ソーシャルグラフ=FacebookやTwitterなどをはじめとしたウェブ上の人間関係やつながりを、ちょっと便利に面白くして!」という呼びかけのもと、GMOアドパートナーズによるソーシャルメディア研究機関「サノウラボ byGMO」主催の「グラフハックアワード2013」が開催されました。アワードには39のウェブサービスやアプリ、ガジェットが寄せられ、予選を勝ち抜いた5作品がノミネート。本日の最終審査会を見てきました。

賞金100万円を目指し、審査員11人を前に、代表者が5分間ずつの生プレゼンと質疑応答。審査員は開発・技術力、企画アイデア性、利便性、クリエイティブ性、コミュニケーション性の5点から発表を評価、グランプリを決定しました。

以下に、グランプリをはじめ、ノミネート5作品を紹介します。どれも「おー!」と気になるポイントのあるものでした。

ソーシャルカラオケマッチングサービス「ohaco」

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「初音ミクやアニソン、アイドルなど、昨今のカラオケ人気曲は一昔前よりだいぶ様変わりした」と運営をするザワットの原田さんはまず言いました。音楽の好みの細分化は、実はカラオケ業界にも影響を与えている...そこで考えだされたのが、ソーシャルカラオケマッチングサービス「ohaco」。

趣味が合う人と一緒にカラオケができる」というのが特長。ユーザーは、FacebookかTwitterでサービスにソーシャルログインし、好きな歌手などを登録します。「VOCALOIDの曲に限って渋谷でカラオケ」など、幹事が呼びかけをしているオフ会に参加表明すれば、好きな曲やアーティストでつながった人たちとカラオケを楽しめるのです。

ohacoは現在、カラオケボックス「カラオケの鉄人」と提携しており、ohacoを通じて店舗の予約までをワンストップで行えるのだとか。「参加者は、最初こそおずおずしていても、1曲誰かが歌いだせばとても盛り上がって、たいていは延長をする」と原田さん。その気持ち、わかります。

今回のグラフハックアワード2013でohacoは最優秀賞を獲得。賞金の100万円で「ユーザーたちと超ソーシャルカラオケ大会をする!」と宣言していましたよ。

世界中のGrowth Hackerに自分のサイトのUI改善を依頼できる「planBCD」

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ボタンの色や言葉を変えるだけでユーザー獲得数やコンバージョン率が大きく変わる、という話があります。ユーザーにとって最適な見え方などをテストしたり改善したりしながら探っていく...最近では「Growth Hack」と呼び、これを強みとする「Growth Hacker」たちの活躍も話題に上ります。

しかし、自分のサイトですらデザイン改修を繰り返して効果測定をするのは、リソースやコストの問題もあってなかなか難しい。そこで登場したのが「planBCD」です。世界中にいるplanBCDと協力するUIやデザインに造詣の深いGrowth Hackerたちが、あなたのサイトの目標に合わせてデザインを提案(自分で提案して見てもらうことも可能)してくれ、気に入ったものを試せます。目標は「試すコストの削減」。価格も他より安く、なおかつ半自動的にサイト改善が行えるサービスなのだとか。

発表者であるKAIZEN platform Inc.の須藤さんは「スタートアップの人には特に使ってほしい」と言います。審査員からも「確実にモデルとなれるサービスだ」と、その堅実性と有用性が評価されていました。

人生の経験を投稿/共有するサービス「STORYS.JP」

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営業目標を達成した、大学に合格した、旅行先で衝撃的な光景を見た...生きているとさまざまな経験をします。それらの人生の経験を投稿し、共有するサービスが「STORYS.JP」。

人の心を動かせる物語は、誰かの人生にとって踏み出す一歩になる」と発表者の大塚さん。Facebookログインで実名制をとることにより「誰が書いたのか」をはっきりさせ、物語に厚みを持たせます。

誰かが誰かに語り継ぐという「物語」を原点に近い行いを、ウェブ上に集め、人の心を動かそうとするSTORYS.JP。さまざまな課題はあるものの、ブログやTwitterなど「書く」ことが好きな日本人にはマッチするかもしれません。

掘り出し物件を不動産屋が直接レコメンドしてくれる「ietty」

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「最近の賢い借り手は、ウェブの不動産サイトで希望物件の相場や流通量を調べ、地域密着型の不動産屋で掘り出し物件を見つけている」と、発表者の小川さんは言います。そこで登場したのが「Facebook連動型お部屋探されサイト」と銘打つ「ietty」。

Facebookの情報を含めたプロフィールと、住みたい物件の条件を登録しておくと、iettyと提携する不動産仲介業者がオススメの物件を紹介してくれるサービスです。仲介業者にとっては、店舗でお客を「待つ時間」を活用して借り手に直接アプローチができ、なおかつバーチャルな空間でのやりとりなので「掘り出し物件」も薦めやすいというメリットがあります。

住みたい家をバッチリと勧めてくれて、不動産屋さんともすぐにやりとりができるのは魅力ですね。今後は不動産仲介業者だけでなく大家が物件を登録し、直接交渉できるようなシステムにもなっていくのだとか。審査員からも「不動産業界が抱える課題を解決する可能性があり、投資的にもスケールしそうだという予感がある」と評価を受けていました。

誰でも講師になれるスキル共有サイト「ストリートアカデミー」

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「きれいな写真が撮りたい...けど、写真教室に行くほどではない」など、「小さく学びたい」という思いをもったことは誰しもあるはず。友人に詳しい人がいれば別ですが、「誰かが誰かに教える」ことをもっと簡単にできないか...そんな時は「ストリートアカデミー」を見てみましょう。

自分が教えられるスキルを登録し、講座内容や料金を設定。授業を受けたい人が集まったらリアルに講義を行います。マッチングはウェブで、学びはリアルでというのが特長。いわば、たくさんの「市民講師」たちが、さまざまなジャンルで講座を持っている学校...といったところでしょうか。

「カーシェアリングやシェアハウスと同じように、スキルをシェアするという文化を創る」と発表者の藤本さん。宿泊先検索サイト「Airbnb」などと同じように、個人間での経済を産めるという点でも、とても楽しみなサービスでしょう。

実名制の時代がもっとくるのかもしれない

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今回はソーシャルグラフをテーマにしているとはいえ、ほとんどのサービスで「実名制」の良さや強みを活かそうとする試みが印象的でした。前出のAirbnbや、ライフハッカーでも以前に取り上げたQ&Aサービス「Qixil」など、同じように「誰であるか」を重視するサービスが増えてきたように思います。

ほんの少し前までは実名をネットで表明することは、どちらかといえばマイナーなやり方でした。今回挙げたサービスたちがどこまで大きく、メジャーになるかは未知数ながら、

この「ネットにおける実名制の波」のうねりは、ますます広がりを見せるのではないかと感じました。

気になったサービスがあれば、ぜひのぞいてみてください。Graph hackアワードは来年も開催されるようですが、個人的にはウェブサービスだけでなく、ガジェットなど「モノ系」も見られたら、さらに面白そうです。

Graph hackアワード2013 byGMO

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ietty | イエッティ[お部屋探されサイト]

スキル共有のコミュニティサイト「ストリートアカデミー」

(長谷川賢人)

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