金融関連の本、雑誌、ウェブサイト、テレビが巷にあふれています。それらを見ると、お金の管理って複雑な気がしてしまいますよね。お金の扱いに関連する問題はとても幅広くて、専門知識が必要で、普通の人間には解決できない...そう思っていませんか?
アメリカ人の多くが、裕福になるには、自分たちが達成できない特別な知識が必要だと思っています。富を築くことは複雑で、自分には手が届かないことだと考えているのです。だから、やってみようとも思わない。その結果、財政難に陥ってしまうことが多いのです。
Jean Chatzky氏の著書『The Difference: How Anyone Can Prosper in Even The Toughest Times』に、興味深い調査結果が載っています。5000人のアメリカ人を対象に調査を行った結果、54%が給料ぎりぎりの生活をしていること、15%が毎月負債を増やしていることがわかりました。この両グループを合わせると、実に70%近くものアメリカ人が、金銭的に苦しんでいるか、後退しているのです。
今回は「富を築く2つの方程式」を引きながら、お金について考えてみましょう。
大前提:お金の管理はそれほど複雑ではない
お金を上手に管理するための原則は、非常にシンプル。金銭的な成功を収めるには、天才である必要はないのです。並の知能と少しばかりの自制心があれば、誰にだって成功の可能性があります。
「80/20ルール」をご存じですか? パレートの法則とも呼ばれるこのルールは、「多くの事象において、その効果の80%は、20%の原因から生じる」というものです。金融では、20%のアドバイスやヒントから80%の結果を生み出すことがこれに該当するのではないでしょうか。でも、お金の管理に関していえば、このルールは90/10、95/5の法則といった方がいいかもしれません。ほんの少しの重要なステップを踏むだけで、裕福になれるのですから。
そう、ほんの少し、たったの2つです。
富を築く2つの方程式
個人の金銭的な成功は、2つの基本的な金融の方程式に帰結します。この2つの方程式をマスターするだけで、確実に富を築けるのです。
- (収入)-(支出)=(黒字)
- (黒字)×(期間)=(富)
非常にシンプルに見えるかもしれませんが、これだけです。「そんなの常識じゃない?」という人もいるでしょう。でも、先に述べた7割のアメリカ人は、この2つの方程式を正しく理解していないのです。
これらの式から分かるように、財政の改善は、「収入を増やす」ことと「支出を減らす」ことの2つに帰結します。これらの2つを実行するほど、経済状況はよくなります。とはいえ、もう少し詳細を見る必要があるでしょう。まずは、2つの方程式の各項について、基本的な定義を理解する必要があります。その上で、各領域での成功を確実なものにしていけばいいのです。
収入
生きていくためには最低限の稼ぎが必要です。逆にいうと、その最低額を少しでも超える収入があれば、富を築くことができるはず。アメリカ人の平均世帯年収を考慮すると、ほぼ全員がその資格を満たすといえるでしょう。
収入の大半は、仕事から得ていることと思います。仕事による収入を増やすためには、どのようにキャリアを管理し、成長させていけばいいかを知る必要があります。結論から言うと、小さな改善だけで、生涯賃金を数十万ドル増やすこともできるのです。
最近では、仕事以外でも収入を得られる手段が増えてきました。勤勉な人は、それらの方法で収入を増やすのも効果的でしょう。
支出
どれだけ稼いでいても、支出が収入を超えてはいけません。さもないと、負債が増えていくだけです。
次の2人について考えてみましょう。
- Jenny:年収3万ドル、年間2万5000ドルを使う
- Jim:年収100万ドル、年間110万ドルを使う
JennyとJim、どちらが富を築けると思いますか? もちろん、Jennyです。Jennnyが毎年5000ドルを貯金できるのに対し、Jimは毎年10万ドルを借りなければなりません。そう、JimはJennyよりも裕福になる可能性を持ちながら、自らの行為でそれを無駄にしてしまっているのです。
これを40年間続けたらどうなるでしょう。Jennyの年収が仮に変わらなかったとしても、40年後には20万ドルの貯金ができているはずです。年収3万ドルで20万ドルの貯金は、決して悪くない金額です。
Jimはどうでしょう。何年間も10万ドルを失い続けた結果、裁判沙汰になっているかもしれません。収入が多いことは富を築く上で重要な資質ではあるものの、保証にはなりません。多くのアメリカ人が給料ギリギリの生活をしているのは、収入よりも支出が多いからなのです。
どうして人は、たった2つの方程式をうまく操ることができないのでしょうか。多くの人は「収入が低いせいだ」と言うでしょう。でも、それが事実なのは、ほんの一握りだけ。実際は、支出が多すぎる人がほとんどなのです。自制心を保てずにお金を使いすぎてしまうから、日銭暮らしかそれ以下に陥ってしまうのです。
収入より支出を低く抑えるコツは、自分にとってやりやすい分野で節約すること。これについては、また後日お話ししましょう。
黒字
収入と支出の差が黒字です。これが、富を構築するエンジンを回すための燃料になります。
黒字が多ければ多いほど良いことは明らかです。だからといって、週に80時間働いたり、1セントをけちって黒字を増やす必要はありません。健康的に収入を増やし、合理的に支出を減らしていくことが大切です。それさえ気を付けていれば、いつのまにか自己資本が増えているはずです。
期間
期間は、次の2つの意味を持ちます。
毎年、自己資本に黒字を積み重ねていくことができます。期間が長ければ長いほど、たくさんの貯蓄が可能になります。
毎年、お金が勝手に増えます。たとえば、年利が10%(計算が簡単なので)とすると、1000ドルの黒字は、2年目には1100ドル、3年前には1210ドル、4年目には1331ドルと増えていきます。
期間が大きな影響を持つことがおわかりいただけたでしょうか。40年後には、当初の1000ドルは何倍にも膨れ上がります。自己資本を増やすうえで、期間は非常に重要な役割を果たすのです。
現状を改善する3つのポイント
上記をまとめると、こうなります。支出を収入より低くし、期間をかけて黒字を積み重ねていくと、富を築くことができる。そう、こんなにシンプルなことなのです。現在の自己資本がどうであれ、次の手順に従うことで状況が改善するはずです。
- 収入を増やす
- 支出を減らす、またはコントロールする
- できるだけ早く始めることで、期間をかけて黒字を積み重ねる
ひとことで言うなら、「できるだけ多くの金額を、できるだけ長く貯める」ということになるでしょう。
Money 101: How to Become Wealthy | Free Money Finance
Free Money Finance(原文/訳:堀込泰三)