人は生涯、成人になってから、約25000回目覚め、朝を迎えます。

WHO(世界保健機構)のある報告によれば、アメリカ人の平均寿命は79歳です(裕福な国のほとんどの人は平均寿命が80歳前後で、うち日本の女性が86歳と、最も長い)。この数字を元に、成人としての人生が18歳で始まると推定すると、約68年(86−18=68)、運が良ければプラス数年、成人としての人生を過ごすことになります。

(成人としての68年)×(1年365日)=24820日で、約25000回の朝、となります。

それが、成人が生涯与えられた時間です。25000回目を開け、一日と向き合い、その日に何をするか決められます。読者の方はどうかわかりませんが、私自身、朝時間を無駄にしてしまったことが何度もあります。その気付きから、どうすればより良い朝の習慣を作れるかについて、考え始めました。まだまだ学ぶことはたくさんありますが、25000回の朝を有意義に過ごすための方法をいくつか並べてみました。

時間ではなく、エネルギーを管理しよう

考えてみると、何かをする時、その行動に適した時間帯があると気付きます。例えば、私のクリエイティブなエネルギーは朝が一番高いので、私は午前中に執筆をします。

一方、午後は打ち合わせ、電話、そしてメールに割くための時間を割り当てます。これらの作業にはクリエイティブなエネルギーは不要なので、一番適した時間帯です。また、私は夕方が一番運動の調子が良いので、その時間にジムに向かいます。

あなたのエネルギーは、朝はどのような状態ですか? そのエネルギーが最も適している作業はなんですか?

前の晩に準備をする

これは私自身あまりできていないのですが、毎晩、翌日やるべきことの 「ToDoリスト」を書きましょう。例えば私の場合、翌日に書く記事の概要を前夜に書き出し、翌日達成したい一番大事なことを短いリストにします。夜に10分かけてリストを作ることで、翌日の3時間を無駄にせずに済みます。

メールは正午までチェックしない

これは簡単に聞こえます。でも、誰もやっていないことです。私自身、受信トレイを開きたい衝動を抑えるのに時間がかかりましたが、実はなんでも、数時間待ってもらえるということに気付きました。本当に緊急のこと(例:家族の死など)をメールで連絡する人なんていませんので、一日の最初の数時間は、メールを放置しましょう。朝の時間は緊急なことに対応するのではなく、大事なことをするのに使いましょう。

携帯の電源は切り、別の部屋に置く

または、同僚の机の上に置いても良いです。少なくとも、目につかないところに置きましょう。これは携帯メール、Facebook、ツイッターなどをチェックしたいという衝動を抑えてくれます。この方法は「ハーフワーク」と呼ばれる、無意味な作業に集中力を散乱させ、時間を無駄にする状態に陥ることを、防いでくれます。

涼しい場所で仕事をする

暑い部屋にいると、ぼんやりし、だらだらしてしまうことに気付きませんか? 室温を下げたり、涼しい場所に移動することは精神と身体を集中させるのに良い、簡単な方法です(このアドバイスはマイケル・ハイアット氏に感謝)。

まっすぐ座る、または立つ

脳がしっかり機能するには酸素が必要です。身体を酸素で満たすには、肺が伸縮できるようにしないといけません。シンプルなことに聞こえますが、問題があります。多くの人は画面を見つめキーボードを打ちながら、猫背になっているのです。猫背の姿勢で座ると、胸部はつぶれた形になり、横隔膜は肺の下部に押し付けられます。これでは呼吸を深く、楽にしづらくなります。

まっすぐに座るか立ち上がれば、呼吸が楽にしっかりとできることに気付きます。結果的に酸素が脳により行き渡り、集中力がアップします(私は座っている時、腰のくぼみに枕を置きます。こうすることで背中が丸くなるのを防ぎ、まっすぐの姿勢を保てます。小さなコツです)。

ごほうびに食べよう

私は断続的に絶食をしていて、一日で最初に何かを食べるのは正午頃です。この2年間そうしています(健康上の利点はいくつもあり、ここここここで説明しています)。

健康の為に断続的絶食をするのは、一日をより有効に使うためにも役立ちます。人は一日のうち、食べ物について考え、予定を立て、消費するのに、どれだけ時間をかけているか考えてみましょう。断続的に絶食することで、朝ごはんの中身を考え、食べ、後片付けをするためにかかる1時間を無駄にしなくなります。代わりに朝の時間を自分にとって大事なことに費やします。そして、頑張ったご褒美として美味しいものとごちそうをいただきます。

一日を始めるために「朝の習慣」をつくろう

私の朝の習慣は、コップに冷たいお水を注ぐことから始まります。朝一番に10分間の瞑想をして、一日のギアを入れる人もいます。同じように、一日を始めるための朝の習慣に順序があると良いでしょう。この小さな習慣が、仕事モードや運動モード、または作業を達成するためのモードの時間だと信号を脳に送ります。

さらに、この朝の習慣でモチベーションの欠落を乗り越えることができ、気分が乗らない時でもやるべきことをやりきれます。モチベーションを得るための良い方法なのです。

朝の習慣の持つパワー

成功を一晩で得るのは稀なことです。同じように、人生が一瞬にして泡になるようなことも稀です。生産性のない、不健康な行動のほとんどは実は長い時間をかけて徐々にとった行動が、どんどん習慣化したものです。ただ、嬉しいことに、特別な結果は一貫した毎日の行動の選択から始まります。朝の習慣に関してはなおさらそう言えます。ほとんどの場合、その日一日の始め方が、その日の終わり方と同じです。

ジャック・ラランさんの習慣の例を見てみましょう。彼は毎朝四時に起床し、最初の90分をウエイトリフティングに費やしました。その後の30分間は泳ぐか走るかのどちらかをしました。彼は60年以上、毎朝この日課を続けました。その結果、彼はこの100年でフィットネスの世界で最も影響力のある人の一人になっただけでなく、96歳という年齢まで生きました。

これは偶然ではありません。朝にとる行動は、その一日をどうするかの指標になります。私たちが日々繰り返しとる行動が、人生の生き方、健康の喜び、創造する仕事を決定づけます。25000回の朝。あなたは一つひとつ、どう過ごしますか?

25,000 Mornings: 8 Ways to Improve Your Morning Routine | James Clear

James Clear(原文/訳:山縣美礼)