読者の方々のなかにも、お子さんをお持ちの「働くパパ」は多いと思います。しかし現実的に、仕事、育児、自己投資を両立させるのは難しいもの。

だからこそ、時間の活用術に悩む方に読んでいただきたいのが『仕事も家事も育児もうまくいく! 「働くパパ」の時間術』(栗田正行著、日本実業出版社)。2人の子どもを持つ高校の教員だという著者が、仕事と家庭と自己投資、すべてをがんばるための「時間術」について書いた書籍。第1章「パパのための時間術 5つの基本ルール」を見てみましょう。12〜28ページで展開されているのは、以下の5つの「ルール」。

  1. 「時間のボーダーレス化」でストレスフリーになろう
  2. 確実に物事をこなすために時間を「天引き」しよう
  3. 日々の効率化のためにいろいろ「仕組み化」しよう
  4. 「二毛作」をキーワードにして時間を有効に使おう
  5. 全部自分でやらずに人に頼むことを覚えよう

以下、1つずつ紹介していきます。

1.「時間のボーダーレス化」でストレスフリーになろう

著者は以前勤めていた職場で、平日・休日を問わずバリバリ働き結果を出している上司に「辛くないですか?」と聞いてみたことがあるそうです。すると返ってきたのは、「平日・休日と分けて考えるから辛くなる。いつでも仕事はできるし、いつでも休める」という答え。

つまり、時間枠を決めているのは自分自身であり、「仕事」「家族」「自分」の時間にとらわれず、「時間のボーダレス化」(=時間にとらわれない考え方)をすることがストレスから解放されるための第一歩だというわけです。

2.確実に物事をこなすために時間を「天引き」しよう

「時間の天引き」が、確実に仕事をこなすためのポイント。すなわち「時間が余ったら◯◯する」ではなく、「この時間で◯◯をする」というように、「あらかじめ作業に必要な時間を設ける」ということ。その日の時間割を立てると考えてもいいかもしれません。たとえば著者は毎朝、ToDoリストをつくり、それを推敲しているのだとか。また、次のように「やりたいこと」を曜日ごとにまとめているそうです。

月曜日/読書

火曜日/ジョギングなどの健康増進

水曜日/ブログを中心にアウトプット

木曜日/フリー(やれなかったことをカバー)

金曜日/仕事関係・翌週の準備

土曜日/ジョギングなどの健康増進

日曜日/書籍の企画諸立案・原稿の執筆など

こうした取り組みを継続させることが、数年後には大きな差となるといいます。

3.日々の効率化のためにいろいろ「仕組み化」しよう

物事を「仕組み化」することは、働くパパにとって大切なルール。たとえば、「明日持っていくものは1か所にまとめる」などがそれにあたるといいます。当たり前のことのようですが、小さな面倒を惜しまず、あらかじめ準備しておくことこそが「仕組み化」の根本となるべき考え方。

  • 月末にやるべきことをリスト化し、少しずつ準備をしておく
  • メールは用途別に文面のフォーマットを作っておく
  • 退勤直後に「これから帰るよ」と一言メールを習慣にする
  • 自分や妻、家族のスケジュールをグーグルカレンダーで一括管理する
  • 休日には、パパと子どもたちだけで遊びに行く時間を作り、妻がひとりになれる時間を作る

たとえば上記のような試みを、著者は実践しているそうです。

4.「二毛作」をキーワードにして時間を有効に使おう

何かをしながら同時進行で物事を進める、「時間の二毛作」も、働くパパが知ってきたい時間のルールだとか。たとえば、こんな感じです。

  • 二毛作(1)/子どもを背負い、寝かしつけながら自分の読書をする
  • 二毛作(2)/通勤しながら、オーディオブックで勉強する
  • 二毛作(3)/お風呂に入りながら、イメージトレーニングをする
  • 二毛作(4)/煮物を作りながら、洗濯物を干す
  • 二毛作(5)/食器を洗いながら、夫婦で会話をする

猛スピードで処理することを考えるよりも、「同時並行してなんとかできないか」と考えた方が時間を2倍、3倍有効に使えるというわけです。ちなみに集中力が下がることを避けるために重要なのは、【単純な行動】+【複雑な行動】の組み合わせ。上記の二毛作(1)でいえば、子どもを背負うことが単純な行動、読書をすることが複雑な行動になります。

5.全部自分でやらずに人に頼むことを覚えよう

仕事も子育てもチームプレイなので、時間術を考えるうえで「人に頼る」ことは重要。苦手なことやできないことを得意な人に代わってもらうことで、自分の得意分野に時間を費やすことができるようになるからです。それぞれの不得意分野を補いつつ、さまざまな状況を乗り切ってこそ、夫婦の、家族の絆は深まるもの。「困ったときには助け合える」と考え、がんばりすぎない気持ちで過ごすこともまた「時間のルール」のひとつだといいます。

以後も「なるべく定時で帰れるようになる『仕事』の時間術」「適材適所で協力し合う『家事・育児』の時間術」「家庭の時間を充実させるママとの『コミュニケーション』術」「働くパパでも無理なくできる将来への『自己投資術』と、活用しやすいアイデアが並んでいます。新たなライフスタイルを見つけるためのヒントを、ここから見つけられるかもしれません。

(印南敦史)

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