「自分はもっと高い給料がもらえるはずだ」と思ったとしても、上司がそれに同意するとは限りません。ただ景気が悪いからでしょうか。
しばらく給料が上がらず壁にぶつかっている感じなら、たいていの場合その原因はあなた自身にあります。ここでは、望んでいるのに昇給できない9つの理由と、その対処法を紹介しましょう。
1.非現実的な期待をしている
はたして自分は昇給に値するだけ評価されているのでしょうか。見極めるためには、日常的に上司とコミュニケーションをとり、業績に対する評価を上司と一致させることが大切です。あなただけでなく、上司も、あなたが平均以上の仕事をしていると考えていますか? 苦手だと評価されている分野はありませんか?
また、あなたの会社は、毎年決まった時期(年次業績評価など)に昇給していますか? それとも、とくに時期を決めず業績にもとづいて上げていますか? 前者なら、最善の結果が得られる時期を見計らって要望を出す必要があるでしょう。
最後にもうひとつ、会社の財務状況について考えるのも忘れずに。会社の経営が苦しいときに大幅な昇給を願い出ると、現状を把握できない人という印象を与えてしまうかもしれません。
2.下調べをしていない
自分にふさわしい昇給額を決める前に、自分と同じような役職の人がもらっている業界の平均的な給与を調べてみましょう。交渉の際の参考基準になるはずです。
ただし、平均額を引き合いに出すだけでは充分ではありません。あなた自身の業績を挙げて、論理的に主張しなければいけません。さらに、与えられた職務以上の仕事をしていると訴える必要もあるでしょう。そこで関係してくるのが、次のポイントです。
3.期待されている仕事「しか」していない
給料とは、あなたのしている仕事に対して支払われるものです。それに対して昇給は、上司があなたを採用時の見込み以上に会社に貢献していると評価しているサインです。
経験則から言って、上司の仕事を楽にする人は昇給します。追加になったプロジェクトを進んで引き受け、自分が何をすれば上司の仕事量を減らせるかを考えてみましょう。あるいは、上司が不満を言っていることに気を配り、部署内の問題を解決する方法を探してみるのもいいでしょう。問題を解決してみせれば、上司はのちのち、あなたの要望に喜んで応えてくれるようになるはずです。
4.自分の業績をアピールしていない、あるいは、昇給して当然のようにふるまっている
たしかに、自分をうまく売り込む技をマスターするのは簡単ではありません。まずは、自分の引き受けた仕事を残らず上司に気づいてもらえるようにしましょう。また、自分の成功を遠慮せずに伝えましょう。あなたが有能で優秀だという証なのですから。
ただしその際には、さりげなく伝えるようにしてください。たとえば、自分の取り組んでいるプロジェクトについて話し合う場を設けて、あなたが収めた成功に触れ、さらに業績を上げるためにはどうすればいいのかフィードバックを求めてみるといいでしょう。
もうひとつの有効な作戦は、第三者からの賞賛を利用することです。うまくいったプロジェクトに触れたEメールのコピーを上司に送ったり、「ひときわ感動的なクライアントからの賛辞」を転送したりするといいでしょう。
5.時流に乗り遅れている
自分の持っているスキルを評価してみてください。仕事を始めたときと比べて、あなたのスキルはどれくらい進歩していますか? ある種の職業では、高い技能や、最新状況を把握する能力がないと、足をすくわれてしまうかもしれません。それが給料の足踏みにつながります。
これはとくに、年配の人にあてはまります。残念ながら、年配の人は職場での年齢差別に直面することがあります。米国で50歳以上を対象にした調査では、3分の1以上の人が、自分や知人が職場で年齢差別を経験したと回答しています。
だからといって、スキルのなさに足を引っ張られていいわけがありません。業界関連ブログをブックマークして定期的に目を通し、業界の最新情報を教えてくれるワークショップや講座への参加を検討してみてください。そうした講座について上司に相談し、継続的な研修の費用を会社が出してくれるかどうか、たしかめてみてもいいでしょう。そうすれば、スキルを磨く努力をしていることをアピールできるという利点もあります。
6.問題を解決できない、または愚痴をこぼしてばかりいる
正直に答えてみてください。問題が生じるたびに、そのまま上司に伝えていますか? それとも、自分で解決しようと努力していますか?
本当に上に報告する必要がある問題なら、もちろんそうするべきです。ですが、例えばプリンターの故障などという問題は、会社の屋台骨を揺るがすものではありません。さらに、愚痴っぽい人にならないように気をつけましょう。会社に関する不満でも、我慢のならない同僚に対する愚痴でも同じです。結局のところ、給料の上がる人というのは、自分の仕事は問題を起こすことではなく、問題を解決することだと理解している人なのです。
7.細かいことに気を配っていない
何度も同じようなまちがいを正すよう上司に言われていませんか? 大切なことをしょっちゅう忘れていませんか? いつも同じ質問を2回していませんか? ひとつでもあてはまるのなら、あなたが近い将来に昇給することは十中八九ないでしょう。
上司の指示を聞くときにはメモをとり、質問をする前に、自分で答えを見つけられないか、考えてみてください。また、ミスをしたときには、その内容や原因、再発防止策を書きとめておくようにしましょう。
8.昇給を個人的な問題と結びつけている
自分が昇給にふさわしい理由を説明する際には、労働倫理、業績、会社にとっての価値に焦点をあてましょう。主張すべきは、その3点だけです。
逆に、昇給を申し出るときに言ってはいけないことは、学生ローンや家賃や医療費、「この給料では生計を立てられない」というセリフです。要するに、昇給は業績に対して行われるものであり、お涙ちょうだい的な話に対して与えられるものではないのです。
9.そもそも昇給を願い出ていない
ここまでに挙げた8点がひとつもあてはまらない場合は、昇給を願い出てみましょう。上司のほうから持ち出してくれると期待してはいけません。
Alyssa Goldman(原文/訳:梅田智世/ガリレオ)
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