どんな職業に就いていても、ある程度の時間が経つと、「仕事に行きたくない」と思う日が出てきます。その後、そういう日がまたやってきて、しばらく経つとまた一日...。自分の好きだった仕事が、急にただの労働に、それもつまらない労働に思えてくる。こんなはずじゃなかったのに。これは誰もが味わう経験でしょう。

問題点

不愉快な上司や、少ない給料などの問題はよくありますが、だからといって、簡単に辞めて次の仕事を探すわけにもいきません。どんな仕事であっても、いいことばかりというわけにはいきませんよね。仕事は修行(ワーク)の面があるのです。運良く自分の好きな仕事に就けたとしても、うまく行かない日はあるでしょうし、イヤになってしまう日もあります。さらに、威張りくさった上司や知ったかぶりの同僚とつきあい、イライラするような忙しさを切りぬけなければなりません。

そうは言っても、多くの人が何度も転職を繰り返します。時間の早い遅いはあるかもしれませんが、いずれにせよそのうち、「もうこんな仕事は辞めてやる!」と次の仕事を探し始めるのです。

辞めたいという感情が沸き上がってくるのを抑えるにはどうすればいいのでしょうか? たしかに、仕事を辞めることが正しい選択だと言える状況もあります。もし、本当に仕事を辞めるべき時期が来たのであればそうすべきです。

この記事は、その時期をまだ迎えていない人たちのために書いています。ここでは、仕事(特に、最初は魅力的と思えた仕事)に対して集中力を保ち、明るく楽しい気持ちを持ち続けるためのヒントを紹介しましょう。

ステップ1:へこたれる前に自分の行動を見直す


いちばん手っ取り早くて有効なのは、考え方を変えることです。その方法はたくさんありますが、何よりも、どう感じるかを決めるのは自分だ、ということを理解してください。

エレノア・ルーズベルトは、「あなたが劣等感を覚えるとしたら、それはあなたがその感情を受け入れたからです」と言いましたが、それは劣等感だけにあてはまるものではありません。職場で必ず起こる厄介事を防ぐことはできませんが、そのせいで自分の一日が台無しになってしまうことは防げるのです。以下のポイントに気をつけてみてください。

・うわさ話や給湯室でのおしゃべりは避けましょう

集団心理が及ぼす影響(英文)については以前にも紹介しましたが、オフィスでは特に影響が大きいのです。もし、あなたの部署にいる人たち全員が「この職場はひどい」と思っていたら、たとえあなたには不満がなかったとしても、同じような気分になりがちです。職場の問題や社内の人間関係について同僚と話をする時には、客観的な態度を保つようにし、うわさ話には耳を貸さないことです。自分の仕事と、仕事で最高の成果を出すことに集中してください。

・良い面に焦点をあてましょう

うわさ話を避けるのは第一歩ですが、あなた自身がより積極的に問題を解決しようとすることもできます。職場のいいところを探し、同僚にもそのことを伝えてください。自分の仕事で好ましい点をリストアップして、それを目立つところに掲示しておきましょう。大好きな業務に取り組めるとか、無料で何かの研修が受けられるとか、あるいはコーヒーが飲み放題だとか。職場で気に入っていることなら何でもいいのです。それらを毎日目にして、さらに活用しましょう。

・社員特典を利用しましょう

社員特典をどれくらい利用していますか? フレックスタイム制であれ、カジュアルな職場環境であれ、積極的に特典を探して、できる限り利用しましょう。職場を、ただ毎日通うだけの場所から、貰える給料の額以上に自分を幸福にしてくれる「生活の一部」へと変えましょう。

・ストレスへの対処法を身につけましょう

ストレスはどんな所にもあります。ストレスのない職場なんて聞いたことがありません。大切なのは、ストレスが自分にどんな影響を及ぼすか(英文)を知り、対処法を身につけることです。

何かの趣味を始めるとか、瞑想してみるとか、あるいは職場の誰かの相談に乗るとか、何でもいいからやってみてください。ストレスにうまく対処できるようになれば、職場に対して文句を言いたい気持ちも薄れてくるでしょう。ストレスには積極的に立ち向かってください。何か厄介な問題が持ち上がったときは、すぐさま、どうすればそのストレスに対処できるかを考えましょう。問題そのものに対応できなくてもです。

ステップ2:視点を変えてみる~その「イヤなこと」は仕事の一部?

仕事でイヤな思いをした時は、視点を変えてみるといいでしょう。思い通りにいかないこともありますが、どんな仕事でも理想どおりというわけにはいきません。大事なのは、「イヤなこと」と「良いこと」を分けて考えることです。どんな職場だって、やりたくもない時間つぶしのような仕事がありますし、訳のわからないメールを送ってくる同僚や、休憩室の電子レンジで魚を温める人はいるものです。

そこで、こう自問してみてください。

「このムカつく事態は自分の仕事の一部なのか? 自分の仕事に関連しているのか? それとも、単に仕事を取り巻く環境に過ぎないのか?」

それが本当に仕事の一部であれば、何が問題なのかを上司に伝えましょう。もし、仕事で使っているプラットフォームが古くて毎週ダウンしてしまい、それで仕事に支障をきたしているのであれば、上司はそろそろ買い替え時だと認めてくれるかもしれません。あなたの仕事がシステムサポートだったらなおのことです。

怒りのタネが仕事そのものでなく単なる周りの環境ならば、やはり解決策を探るべきではありますが、仕事そのものではないということを忘れないでください。仕事が基本的に楽しいのなら、ささいな問題で悩むのはやめましょう。仕事に集中し、つまらない問題は「ついでに」対処しましょう。

ステップ3:働くために生きるのではなく、生きるために働こう

かつては好きだった仕事を嫌いになる人が多いのは、自分がその仕事に支配されてしまうからです。難しいかもしれませんが、生きるために働くのであって、働くために生きるのではないことを忘れないようにしましょう。個人的な時間や休暇、家族や友人と過ごす時間、さらには病気休暇も、大事にして楽しんでください。次のことを覚えておくといいでしょう。

・休暇を取りましょう

以前にも、有給休暇の取り残しをしないよう忠告しました(英文)が、それでもほとんどの人は有休を消化しきれていません。休暇を取るのは、元気を取り戻すのにいちばんいい方法です。そもそも、あなたはそういう時間のために働いているのです。あなたには有休を取る資格があります。

・病気の時の最優先は「体を治すこと」

最近は、家にいてもスマートフォンでネットに接続できるようになりましたが、本当に体調が悪い時は、「自宅から仕事に参加したい」という衝動を抑えてください。病気の時は体を治すことがあなたの仕事です。熱でふらふらしながら、かすむ目で働くことではありません。

・仕事をするときは、生産的にこなしましょう

このアドバイスは大切です。なぜなら、自分は必要なほど生産的になれていないような気がして働き過ぎてしまうことが往々にしてあるためです。自分に合った生産性向上メソッドを見つけて、それを貫きましょう。自分の仕事を見直す時間を定期的に作り、「自分は何のために何をしているのか」を常に把握し、仕事を自分の制御下に置きましょう。仕事を「週に5日与えられる作業」にはせず、自ら積極的に取り組んでください。

・休息が必要な時を知りましょう

仕事に対するやる気がなくなってきたと感じ始めたら、燃え尽き症候群か、さもなければ過労かもしれません。そのことを自覚して、燃え尽きて倒れる前に休息しましょう。

・小さな変化を楽しみましょう

オフィス環境をちょっと変えるだけでも大きな違いが生まれます。大幅な変化よりも有効(英文)なこともあるのです。できれば、処理速度の速い新型コンピューターや観葉植物、一緒に昼食を取りながらおしゃべりを楽しめる友人、気持ちのよい作業スペースといった変化を取り入れてください。そういったものが厄介事を取り除いてくれるわけではありませんが、気分を盛り上げるのに役立ち、それがリラックスやストレス解消につながって、物事の良い面が見えてくるのです。

・好きな物事を仕事に取り入れましょう

仕事に対するやる気を取り戻す素晴らしい方法があります。趣味や大好きなことを仕事に取り入れる方法を見つけるのです。米Lifehackerのアダム・ダチス(Adam Dachis)は以前の職場で、カスタマーサポートの仕事に、自分の大好きな動画制作を取り入れる方法を見つけました(8番目の項目を参照)。

・さっさと帰宅しましょう

会社からちゃんと出るために、勤務終了後にわざわざ何かの予定を入れなければならないとしても、そうすべきです。正気を保つためにも、仕事とそれ以外の活動の間に明確な一線を引きましょう。毎日同じ時刻に帰宅する習慣をつけてください(英文)。

(オプション)ステップ4:仕事を辞めて起業する

直面する問題に解決法がなく、苦しみを軽減してくれるマインドハックも休暇もないとしたら、大きな一歩を踏み出すべき時かもしれません。フルタイムのフリーランスになるか、自分で起業することを考えてみましょう。独力で仕事をするのは勇気のいることですし、経済的な不安定さに耐えなければなりません。もちろん、スキルと、たくさんの幸運も必要です。けれども、今までに経験した仕事がうんざりするものばかりだったら、情熱を傾けられるようなことを自分で仕事にしない限り、満足は決して手に入らないでしょう。

最後に:心身の健康を大切にする

自分を大切にしましょう。自分の健康状態に問題があれば、どんな仕事だってうまくいくはずがありません。例えば、ウツの症状が出ていて、普段だったら楽しいはずの事がつまらなく思えるのなら、必要なのは新しい仕事ではなくて専門家の助けです。十分に眠れなかったり食生活が乱れたりしていれば、職場でも家庭でもうまくやっていけるはずがありません。睡眠や運動、友人や家族と過ごす時間、そして心身の健康に対する気づかいといったものは、仕事を耐えやすくするのに大いに役立ちます。

そのためにも、仕事が本当にイヤになってきたら、心身の健康に真正面から取り組みましょう。仕事に押しつぶされそうな感じがし始めたら、まずは自分を守ることが大切です。憂うつな気分の原因が業務そのものだったり、いつもだったら得意なはずの作業に気が乗らなかったり、あるいは職場のいい面を上回るほどひどくムカついたりするのなら、その会社に別れを告げるべき時なのかもしれません。

ただ、新しい職場でまた同じ事を繰り返さないためにも、今の職場で得た教訓(とこの記事のアドバイス)を心に刻んでください。

Alan Henry(原文/訳:吉武稔夫、合原弘子/ガリレオ)

This post was illustrated by Dominick Rabrun.