最近鉛筆を使っていますか?
日本の鉛筆の生産量は年々低下し、四十年前の三分の一になりました。
文字を書かない時代に入り、もっともっと自分の手で文字を書いてほしい...。
そんな思いから、鉛筆屋による「大人の鉛筆」を考え、販売することになりました。
この文章は、東京都葛飾区にある老舗の文房具メーカー・北星鉛筆が昨年、創業60周年の記念文具として発売した「大人の鉛筆」のパッケージに書かれていたもの。おっしゃるとおり、手で文字を書く機会って、すっかり減ってしまいましたよね。
鉛筆の書き心地が好きだった僕は、前述のコンセプトとリアル鉛筆を彷彿させるミニマルなデザインに惹かれ、さっそく1本購入。実際に使ってみて、"鉛筆屋"のなせる業に驚きました。ペキペキ折れてしまうシャープペンシルの0.5mm芯にそこはかとないストレスを感じていた僕にとって、柔らかいのにしっかりしているこの2mm芯の書き心地は、限りなくベストに近いもの。そして、書いているとほんのり漂ってくる、ノスタルジックな鉛筆の匂い。昔は筆箱を開けると、この匂いが鼻を突いたっけ...。
ボディとノック部分の間に隙間があり、振るとカタカタと音がするのが少しだけ気になりますが、書いている最中はほとんど気にならないのでご安心を。HB・B・2Bと赤色の芯があるうえ(最初にセットされているのはB芯です)、2mm芯なら他社のものも使えるそうなので、硬さがしっくりこない方はいろいろと試してみるのもいいかもしれません。
ちなみに、北星鉛筆さんには1つの家訓(社訓?)があるそうです。
鉛筆は我が身を削って人の為になる立派な仕事。
利益などは考えず、家業として続けるように。
いやはや、頭が下がりますね。利益のこともチョットだけ考えながら、これからも使い心地の良い文房具をつくり続けてほしいものです。
(奥洋介)