「活字になっているものをすべて信じてはいけない」という言葉が英語にはあるそうです。これは何も印刷物だけのことではなく、インターネットやテレビも含め、メディアというものを信じすぎてはいけないという警鐘です。それにしても、人間はなぜそんなにも簡単に信じてしまうのでしょうか?
心理学者のDouglas LaBier博士は「人間の脳はただ単に怠けているだけだ」と研究の中で指摘しています。
ウソを受け入れようとし、真実を暴いている情報には抵抗しようとする時、人間の頭や心の中では何が起こっているのでしょう? 西オーストラリア大学のStephan Lewandowskyさんの研究で、そのような精神状態について説明がありました。ある情報の妥当性や情報源を計るのは、単にその情報が正しいと信じてしまうよりも難しく、真実を追究するにはさらなるモチベーションや認知力が必要だということがわかりました。
基本的に、ニュースキャスターや政治家の発言に対して、事実確認をその都度すべきか否かという選択肢が提示された場合に、人間の脳はよりラクな方を選択しているというだけです。発言が納得しやすいものであれば、脳はより信じやすくなります。当然ながら、誰にでも先入観や偏見があるため、よりそういった問題が起こりやすくなります。
人間は正しくあろうとし、真実だと思っていることを聞きたがります。社会心理学において確証バイアスと呼ばれている現象です。ブログ「You Are Not So Smart」を運営している、作家のDavid McRaneyさんは、以下のように説明しています。
確証バイアスというのは、フィルタを通して世界を見ることであり、偏って考えることです。確証バイアスが真実を追究しようとする行動を歪める時に、本当の問題が起こり始めます。学者というのは、業界全体が確証バイアスの上に成り立っているようなものです。Rush Limbaugh(米のラジオトークショーのホスト)も、Keith Olbermann(米のニュースキャスター)も、Glenn Beck(米のメディアパーソナリティ)も、Arianna Huffington(米の作家でありニュースサイト「ハフィントン・ポスト」創設者)も、Rachel Maddow(米のテレビショーホスト)も、Ann Coulter(米の弁護士、政治解説者)も、自分の信じているものをより信じやすくするために背中を押すようなものであり、世界観と一致させて世界を見るために事前にフィルタをかけているようなものです。そのような人たちのフィルタと自分のフィルタが似たようなものであれば、その人のことを好きになるでしょうし、そうでなければその人のことが嫌いになります。
では、真実を見極めるためにはどのようなことに気をつければいいのでしょうか? とにかく考えるのをやめないことです(脳にとっては、もっと働かなければならないので、あまりいいニュースとは言えませんが)。最も簡単なのは、誰かの意見やアドバイスに加えて、発言者の視点についても考えることです。少なくとも、これで先入観や偏見について思いを巡らせることができます。さらに、さまざまな角度からの意見に耳を貸すようになるので、多くの視点を持てます。
真実が知りたいと思うのであれば、脳を今よりもう少し働かせなければならないのです。
Why You're Likely To Believe Political Lies! | Psychology Today
Adam Dachis(原文/訳:的野裕子)
Title image by Jonathan Kurten and Brian A Jackson (Shutterstock).