日本では、いよいよ本格的な受験シーズンに突入。日本の大学でも、社会人入学を受け入れるところは増えてきましたが、米国では、社会人経験を経て、大学や大学院に戻った学生さんが、数多くいます。そこで、このテーマでお悩み中の米Lifehacker読者さんから、こんなお便りをいただきました。
ライフハッカー編集部の皆さまへ
私はいま、仕事を持っていますが、自分にとってけしてキャリアとは呼べないもので、人生をかけてやりたいことではありません。労働市場が改善するまで、いまのままとどまるべきでしょうか? それとも、学校に戻るべきでしょうか?
PN: Dead End Aheadより
■プログラム選び 学校に戻るということは、必ずしも、寮暮らしのフルタイムの学生になることではありません。多くの場合、フルタイムかパートタイムかを選べますし、従来型の教室授業だけでなく、好きなときに学べる遠隔地プログラムもあります。学校やコースを選ぶ前に、どのような環境で勉強したいか? を考えましょう。もし、通学しながら仕事も続けたいのなら、遠隔地プログラム、もしくは夜間や週末の教室授業とオンライン学習との、ハイブリット型プログラムが適しているかもしれません。Dead End Aheadさんへ
給料はもらえるけど、満足感や充実感の得られない仕事にとどまるべきなのかどうか? 多くの人々が、同じ問題で悩んでいます。基本的に生涯教育や自己研鑽にはおおいに賛成ですが、何がしたいのかをきちんと考えられていなかったり、うまくいく気がしない場合は、人生を大きく転換させるべきではないかもしれません。端的にいうと、いまの仕事にとどまるべきか、進学すべきかは、アナタの個人的な状況次第です。現在の仕事がどれくらいイヤなのか? 進学資金があるのか? 学位を取得することが自分のキャリアに役立つのか? などによります。学校に戻るのは、安いことではありませんが、長期でみれば、もちろん、回収できます。そこで、意思を決めるにあたり、次の3点を考えてみてください。
たとえば、米メリーランド大学の「University of Maryland, University College(UMUC)」は、遠隔地教育プログラムや衛星キャンパスを有する、米国最大の非営利スクールです。ほとんどの学位プログラムでは、学生それぞれに合った学習方法を選べます。このほか、オンラインの学位プログラムがある、「University of Phoenix(フェニックス大学)」も広く知られています。ただし、どの学校を選ぶにしろ、認定機関であることを確認しましょう。
日本の大学でも、募集数は多くないものの、社会人入試を実施している学校は多いです。また、通信制の大学・大学院という選択肢もあります。勉強したい分野が定まっているなら、思い切って会社を辞める前に、希望の学校・学部で通信制を実施しているかチェックしておきましょう。
■進学資金の工面 多くの人々にとって、一番の壁はお金。「仕事を辞めるべきか?」という点だけでなく、「授業料をどうやって払うのか?」という問題にも直面します。アメリカの大学であれば、まずは、「Free Application for Federal Student Aid(FAFSA)」で必要事項を記入してみましょう。これは、奨学金やその他の基金に応募する資格があるかどうか、授業料や費用をカバーするための学生ローンを受けられるかを判断する際、政府が使っているドキュメントです。どのような学校・プログラムの、どの年齢の受験生でも、無料で利用できます。最悪の場合、何の経済的援助も受ける資格がないと判断されるかもしれませんが、ほとんどの人は、低金利の学生ローンなら受けることが可能です。また、これらの学生ローンは、卒業してから返済義務が発生する仕組みになっています。行きたい学校があるなら、直接、大学の「financial aid」課に問い合わせましょう。とくに成人教育に力を入れている学校では、生涯教育のための部門や、仕事と学業を両立したい学生のための特別プログラムが設けられています。
日本では、社会人向けの奨学金プログラムや教育ローンがあります。主なところでは、国民生活金融公庫、日本学生支援機構、第一勧業信用組合、西武信用金庫の「法科大学院専用ローン」など。前述のように、学校独自の奨学金制度を設けている大学もありますので、活用できるものがあるかどうかチェックしましょう。
■仕事の継続Photo by Wesley Fryer.
家賃がかからないとか、収入がなくてもやっていけるというわけでなければ、仕事を辞めてフルタイムで学校に戻るのは、現実的には不可能。学校に戻るにしても、最低限の生活をキープし、授業料などを支払うための仕事は必要です。
会社に授業料の返還制度があるかどうか、人事部門に確認しましょう。多くの企業では、現職に関連する分野について学校で勉強したい従業員のために、授業料の全部、もしくは一部を返還する制度を設けています。現職に関連のない分野でも、これが認められるケースもあります。授業料の一部をサポートしてもらえるだけでも、ある程度助けにはなります。ただし、これらの制度の多くは、単位を取得できなければ、授業料を返還してもらえないルールになっているので、しっかりと勉学に勤しんでください。また、長期の視点で、学位プログラムが回収できるかどうか? 改めて考えましょう。学生ローンを組む場合は特にです。自分が好きなことを勉強してはいけない、ということではありませんが、学生ローンを返済する日が来たときに、どうやって支払うのか? を考えておくことは必要です。今の仕事がイヤでイヤで仕方ないのなら、現職にとどまれ、というのは無理な話かもしれませんが、学生ローンや教科書の購入費用といった諸々の費用に、無策のまま溺れるのは避けましょう。
仕事と学業の両立は、実際は大変でしょうが、生活基盤を大きく変えずに、勉強したい人には、よい選択肢だと思います。大学の多くは、仕事と学業の両立の大変さを理解していますし、これが実現できるよう、フレキシブルなプログラムを設けています。
お役に立てれば、幸いです。
ライフハッカーより、愛をこめて
Alan Henry(原文/訳:松岡由希子)