「実はトイレにノートパソコンを持ち込んで、仕事をしたこともあります」忙しい自慢の仕事人間が言いそうな台詞です。ハッキリ言って、そこまでするのは問題です。そんなことをしていると、「トースト肌症候群」になってしまいますよ。
トースト肌症候群というのは、最近になって出てきたものではありません。機関車の石炭を燃やす炉やストープ、オーブンなど、極端に熱いもののそばで働く人たちに、最初に見られた症状でした。また、電気カーペットや電気毛布の上で直接寝てしまうと、この症状が出ることもあります。
確かに、そのような熱い場所で働いたり、熱源に触れたままうっかり長時間寝てしまったりすることと、トイレにノートパソコンを持ち込んで30分やそこら仕事をするのが、同じとは言えません。ですが、科学者の先生曰く、トースト肌症候群になる危険性は、時間と肌質によって変わるのだそうです。
11月5日付けの「Pediatrics(小児科学)」という雑誌の記事で、スイスの研究者がスポンジ状の模様が左太ももに出てしまった、12歳の子ども(左の写真)の症例について語っていました。研究によって、ノートパソコンを膝の上に乗せた状況では、左側の方がより熱を持つということが分かったそうです。ほとんどのノートパソコンでプロセッサは左側にあります。Jeffrey Benabio博士によると、このような肌の状態は専門用語で「erythema ab igne. 」と言うそうです。
トースト肌症候群とは、直接はヤケドしていなくても、長時間熱源にさらされることによって、皮膚に赤や茶色の発疹が出る状態のことです。写真のように、赤味がかった発疹は網目のような独特の模様を形成します。患部の血流の緩徐化や、うっ血が原因のようです。
博士は、この症状のまたの名を「ノートパソコン皮膚疾患」とも呼んでいます。この症状が出ると、肌が一生黒ずんだままになってしまう可能性もありますし、最悪の場合、皮膚ガンを引き起こす恐れもあります。子どもは特に気をつけた方がいいようで、ノートパソコンを使っている期間が比較的短くても、子どもは肌が敏感なので症状が出やすいそうです。
ノートパソコンを膝の上に乗せて作業をしていて、太ももが熱くなった経験は誰もが一度はあるのではないでしょうか。自分は肌が敏感じゃないから大丈夫、なんて油断せずに、ノートパソコンは何かの上に置いて使ってくださいね。
[WebMD and The Derm Blog]
Jesus Diaz(原文/訳:的野裕子)