2008年秋の金融危機以降、雇用情勢は依然として厳しい傾向...。失業しているときこそ、自分に本当に相応しい仕事は何なのか? を見つめ直す機会という見方もありますが、就職先の選り好みのしすぎが、かえってキャリアを損なうおそれもあるそうです。

米CBS系ビジネスネットワーク「BNET」で、キャリアライターのPenelope Trunk氏は、就職先を選り好みしすぎずに、まずは仕事に就くことが大切だと主張。その理由として、以下の5点を挙げています。

 

1: 日々の体系化こそが成長につながる

日常を体系化することによって、より多くのことを成し遂げることができる。幸福は日々の体系化と自己鍛錬によって生まれるものであって、必ずしも良い仕事によって得られるものではない

2: 就職活動に時間を費やさなくて済む

就職活動は、一日中かけてやるものではないが、短期間で済むとも限らない。たとえば、よりよいキャリアにつなげるためのネットワーキングは、一朝一夕とはいかない。むしろ、次のキャリアのために少しづつ活動する上で、いま職に就いておくことはたいした妨げにはならない。

3: 多くの選択肢はむしろ混乱を招く

良い仕事につかねばならないと思いこむと、たいてい何も得られない。米コロンビア大学のSheena Iyengar教授によると、多くの選択肢がある場合、混乱や失望を招きやすいとか。このような人間の特性ゆえ、まずは行動に移すことも重要。ほかによりよい選択肢があるかもしれないと考えるよりも、いま目の前にあるものをきちんと見つめ、決断することが大切だ。

4: 仕事選びは運や縁

仕事は運や縁のようなもの。実際やってみなければわからないことも多い。飛び込んでみないと、仕事の運をつかむことはできない。

5: 仕事が自分を定義づけするわけではない

ヒトは仕事自体というよりも、実際は、人とのつながりから幸福感を得られるもの。多くの人々は、失業しているうちに、自分は能力を活かしきれていないと感じがちだが、その感情の裏側には、友人や親を感激させる仕事をしなければ、という意識があるのかもしれない。

もちろん、就職は自分の人生で一定期間、多くの時間と努力を捧げるもの。その意思決定においては、慎重な判断も必要ですが、「石橋を叩いて渡る」が行き過ぎ「石橋を叩く」ことが目的化してしまうと、「石橋を渡った」先にある新たな人生を開くことはできないかも...。熟慮と行動のバランスをとることが、よりよいキャリアにつながる一歩といえそうです。

Why Hunting for a Great Job Will Hurt Your Career

[BNET]

Kevin Purdy(原文/訳:松岡由希子)