多くの読者が、Macでのブラウザスピードテストの結果をもっと知りたいとのことなので、プラットフォームやパフォーマンスの違いなどを、さらに詳細にご紹介します。しかも、まだ他ではテストしているのを見たことがない、Macbook Proでテストしてみました

Windows版でのテストもうまくいったのですが、今回はベータ版とほぼ変わらないと言われている、最新版のFIrefox 4とOpera 10.6も追加しています。多少の例外を除いては、Windows版とほぼ同じ内容のテスト(英文記事)を実施しました。

 

100707_mac_browser_test_02.jpg

「起動時間(電源オフ状態からと再起動)」、「タブの平均ロード時間」のテストをする時は、Windowsであれば、Rob Keirの作ったタイマーを使うことができたのですが、Macには同様のタイマーがなかったので、Richard Hyndman氏作の、Androidアプリ『Ultimate Stopwatch』を使いました。Command+Oでブラウザを起動すると当時に、Nexus Oneのアプリも起動するように、どのブラウザでも、できる限りのベストを尽くしています。

100707_mac_browser_test_03.jpg

テストに使ったMacbook Proのスペックは、上の画像の通りです。買ってきたままの状態で、特に何もしていません。テスト時には、電源コンセントを繋いだ状態にして、LANケーブルを使ってネットに接続しています。

テスト結果の詳細な数値を知りたい方は、Google Docsで共有していますので、こちらをご覧ください(リンク先のスプレッドシートは最初に共有されたものから更新されています)。

では、それぞれのテスト結果についてご紹介しましょう(テスト結果のグラフ画像はクリックすると拡大します)。

■起動時間

 優勝:Safari 5 !

100707_mac_browser_test_04.jpg

SafariはAppleのブラウザですから、Macで起動が速いのは当然の結果と言えるでしょう。それよりも驚いたのは、他のブラウザの起動時間の結果が、Windows版のテスト結果と逆転していることです。Windows版では、FirefoxはChromeよりも速かったのに、Mac版では、Chromeの方がFirefoxよりも速いという結果になっています。

■タブの平均ロード時間

 優勝:Chrome!

100707_mac_browser_test_05.jpg

タブのロード時間についてもMacのテストですから、Safari 5が優位かなと思いきや、Chromeが最も速かったです。Windows版のテストと違ってIE 8が無いので、結果に違和感がある人もいるかもしれません。

■JavaScript

 優勝:Opera 10.6!

100707_mac_browser_test_06.jpg

Opera 10.6がズバ抜けた結果だったのですが、この結果については、まったく信用していません。今回使用したJavascriptパフォーマンステスト「Dromaeo」が問題なのか、OperaのJavascriptコードの問題なのか、もしくはそのどちらなのか、原因は分かりません。ともかく、Mac版のテスト結果に関してだけは、Operaと他のブラウザでは、極端に開きがありました。もちろん、これは一つのベンチマークに過ぎません。ChromeやSafari、Firefoxの結果については、Windowsのテスト結果と似たりよったりでした。

■DOM/CSS

 優勝:鼻差でSafari 5 !

100707_mac_browser_test_07.jpg

Windows版と比べると、Mac版では、SafariとOperaの順位が逆転していて、Chromeは変わらず2位につけています。

■メモリの使用量(アドオン無し)

 優勝:Safari 5 !

100707_mac_browser_test_08.jpg

このテストの結果で注目すべきは、今回マルチプロセスでのメモリ使用量の測定に使用した「about:memory 」ページのバグレポートで、Chromeの開発者は「ブラウザがメモリの使用量を真面目に報告し過ぎる」と言っていることです。ですが、ChromeがSafariよりもはるかに効率が悪いとは思いませんし、おそらく2位のFIrefoxに関しても同様でしょう。

■メモリの使用量(アドオン込み)

 優勝:Firefox 3.6.6 !

100707_mac_browser_test_09.jpg

プレリリースされているFirefox 4だと、テストガイドラインの5つのアドオンのうち、3つでしかテストできませんでした。ですので、5つのアドオンが使える状態で再度テストしたところ、Firefoxでいい結果が出ました。ただし、米LH記事のコメント欄で、FIrefoxは使用済みのメモリを正しく解放していないという指摘が、かなりありました。テストのプロセスについては、かなり公正になるようにしているのですが、いい方法があれば、コメント欄でご提案お待ちしております。

■総合結果

以上、6つのブラウザで上記のテストを行った、総合的な結果をご報告します。科学的な実験ではありませんが、テストは公正に行っています。エンドユーザーにとっては、取るに足らない結果かもしれませんが、参考になさってください。満点は30点です。

  • Chrome 5.0.375.70 (Stable): 23点
  • Safari 5 (6533.16):22点
  • Chrome 6.0.447.0 (Dev):21点
  • Opera 10.6:18点
  • Firefox 4.0b2 (Pre-Beta Candidate):15点
  • Firefox 3.6.6:13点

Windows版の結果と比較してみると、すべてのブラウザが同じように作られている訳ではないのだなということが、何となく分かります。特に、異なるOSで比べるとよく分かります。

こんなことを言うと身も蓋もありませんが、これはあくまでテストの結果を、数値で表したに過ぎません。どのブラウザを使うか、どのブラウザが好きかということは、こういうテストの結果だけでははかれないものがあります。これは、ただブラウザのメーカーが最新版を開発した時に「速くなった」と言っているのが、どれだけ速くなったのかをテストしているだけです。ブラウザを選ぶ際には、あらゆる観点からみて、自分の好きなブラウザを使ってください。このテストも、よかったらブラウザ選びの参考になさってくださいね。

Kevin Purdy(原文/訳:的野裕子)