この夏、新しく生まれ変わるHotmail。すっかりGmailに水を空けられている感もあるHotmailですが、今回は相当気合が入っています。こちらでは、この新型Hotmailを、ウェブメールの雄Gmailと比較してみましょう。
■Hotmailがイケてるところ1. 受信トレイの整理整頓新しいHotmailでは、受信トレイの整理整頓に、特に力を入れています。たとえば、ワンクリックフィルタでは、送信者別に連絡先やソーシャルネットワーク(Twitter・Facebook・LinkedInなど)の更新をみることが可能。また、クイックビューをつかえば、画像・ドキュメントファイルなど、タイプ別にメールを検索することもできますよ。
対話ビュー(スレッドビュー)は、すでにGmailでも導入されていますが、Hotmailでは、この対話ビュー設定の有効・無効を、任意に選ぶことができます。
また、とくに注目すべきなのは、スパムメール分類機能「Sweep」。不要なメールを選び、Sweepボタンをクリックするだけで、その後は、その送信元から受信するメールをすべて自動的にフォルダ移動させ、いずれは削除してくれるというものです。
これらの機能は、いずれも技術上はGmailの検索機能を使えば可能ですが、それぞれのアクションをカンタンに操作できるようにしてくれているのは、Hotmailの魅力でしょう。
2. ファイル添付Hotmailでは、添付処理の新しい方法を提供しています。マイクロソフトの無料オンラインストレージ「SkyDrive」と統合し、メールに最大10ギガバイトまで、ファイル添付できるようになりました。とはいえ、技術上は、1ファイルあたり50MB、1メールあたり200ファイルまで、という制限はあります。また「SkyDrive」には25GBの制限があります。
Hotmailの添付機能は、SkyDriveに移動し、送信先にリンクを送信することになります。Hotmailが添付ファイルの種類を検知し、たとえば画像を送ったら、ギャラリーだけでなく、スライドショーも起動する仕組みになっています。
3. 埋め込みコンテンツHotmailでは、ウェブコンテンツをメールに埋め込む新機能「Active View」が導入されました。 YouTubeのリンクをサムネイルしたり、メールメッセージ内で再生することも可能。Flickrのリンクではフォトギャラリーが現れたり、LinkedInのリクエスト承認も、Hotmail上で操作できるなど、他のソーシャルネットワークとの連携に配慮されています。
また、荷物の追跡ナンバーを認識し、最新の追跡情報をメール内で表示してくれるのは、ユニークな機能といえますね。
4. Microsoft Officeとの統合新しいHotmailでは、Officeドキュメントを開いたり、編集できるだけでなく、バージョンや変更履歴を管理したり、コラボ編集をしたり、ウェブとデスクトップ間のファイル移動を、シームレスにできるようになりました。詳しくは以下の動画で確認してみてくださいね。
HotmailとOfficeの統合は非常によくできていて、GmailとGoogle Docsにも勝りうるものだとか。ちなみに、Office(ウェブ版)とGoogle Docsの比較については、こちらの米Lifehacker記事(英語)もご参照のこと。
■Gmailがイケてるところ
1. スピードHotmailには、メール送信後に「正常にメール送信できました」というメッセージが表示されたり、送信先を連絡先に登録する画面に移るなど、丁寧なようなお節介なようなプロセスがありますが、Gmailにはこのようなプロセスがなく、メール作業をシンプルに、サクっと終わらせてくれます。
2. 検索Googleの検索機能はまだ優位性アリ。Hotmailにも、検索機能は追加されているものの、Googleのものは非常に正確で、融通も効きやすいそうです。Hotmailの検索機能も進歩していますが、Gmailはまだこの分野では勝っているとか。
3. メール整理 Hotmailも魅力的なレイアウトですが、Gmailはフィルタやラベルを使って、メールをより効率的に整理整頓することができます。また、ソート機能を使えば、色・影・ラベルに従って、メールのタイプや状態を、カンタンに区別することができますね。
4. インスタントメッセージ Hotmailは、インスタントメッセージでは遅れをとっており、いまだにMSNメッセンジャーを使う必要があります。Gmailは、音声チャットやビデオチャットでまだ先行しており、AIMにサポートしているのも利点です。
5. モバイル■Hotmail/Gmailの今後の課題は「スパム対策」今回のリニューアルで、Hotmailはモバイルウェブのための、よりよいアプリを導入していますが、まだGmailのモバイルフォンでの操作性に比べると、見劣りが...。また、Gmailはウェブアプリとしてもグッドですが、Androidケイタイとの相性もバッチリです。もちろん、HotmailもWindows Phone 7でうまく機能しますが、まだGmail&Androidコンビほどのものではありません。
「SmartScreen」と呼ばれる、Hotmailのスパムフィルタリングは、この分野で大きな進歩。Hotmailユーザによって処理された、スパムメッセージとスパム送信者を記録し、定期的にレポートされたスパムメッセージを、すべてのユーザの受信トレイから自動的にフィルタするというものです。スパムかどうかを判断するため、メッセージコンテンツをスキャンする、という機能もあります。
ただ、Hotmailがこのようにユーザの交信に一歩踏み込むことには、功罪があります。あるメッセージにおけるユーザ行動を、Hotmailが追跡し、アレコレ口出しするからです。たとえば、同じ送信先からのメールを、未読のまま頻繁に削除していると、Hotmailはそのメーリングリストを登録解除するよう提案したり、Hotmaiがブロック設定するように促します。理論上は、まっとうな機能かもしれないけれど、実際使っていると、うっとうしいかも...。
Gmailの利点は、メールに集中しやすい点。スパムフィルタリングにおいても同様で、メッセージにスパム指定するだけ、というシンプルなものです。一方、Hotmailには、通常のメールとスパムメールの間のビミョウな「グレーメール」を扱うための機能があります。
Gmail好きの米Lifehackerによる比較なので、若干「Gmailびいき」の比較になっているかもしれませんが、「新型Hotmail」も負けず劣らずの仕上がりです。日本でのリリースは、8月頃を予定しているそうですので、お楽しみに!
Adam Dachis(原文/訳・松岡由希子)