一日一杯のコーヒーは、気分をシャキっとさせるのに効果的であるのみならず、肥満や認知症、結腸癌などのリスク軽減にも役立つそう。しかし、胃にはコーヒーがよくないのでは...?というイメージがありますね。こちらでは、最近の研究結果からこのテーマを考察したいと思います。

アメリカ化学会(ACS)の春季会議において、「コーヒー豆には、胃酸の分泌を下げる作用がある」という研究結果が発表されました。一般的に、コーヒーは胃によくないといわれていますが、これを発表したウィーン大学のVeronika Somoza氏によると、「コーヒーが胃酸を増やすという研究結果や人体データは、これまでに確認されていない」とのこと。

 ウィーン大学のこの研究チームでは、胃や胃酸に対するコーヒーの影響について実験を行っています。現時点での結果によると、深煎りコーヒーは、通常の胃のバランスを壊しづらいことがわかったそうです。

市販されているコーヒーから、カフェインや、煎る過程で生成されるNメチルピリジニウムといった成分を抽出したところ、Nメチルピリジニウムを含む胃壁では、胃酸が増えなかったとのこと。さらに、深煎りコーヒーと浅煎りのものを比較してみたところ、深煎りのほうが、1リッターあたりのNメチルピリジニウムが多かったそうです。

これらの結果を踏まえると、Nメチルピリジニウム量を多く含む濃い目のコーヒーは、胃酸の分泌を軽減するということのよう。その分、胃に負担がかかりにくいわけです。ただし、Nメチルピリジニウムが胃酸システムにどのように作用しているか?という点はまだわかっていないとか。今後の研究結果が待たれます。

一見、「加工していない食品のほうが健康によさそう」と思いがちですが、コーヒーに限っては、煎るプロセスを経ることで、より体によいものになるということのようですね。このほか、コーヒーのトリビアとしては、ライフハッカーアーカイブ記事「今日も美味い...けど知ってた? コーヒーに含まれる9つの物質」もご参考までどうぞ。

Why Dark Coffee Is Easier on Your Stomach [Wired]

Jason Fitzpatrick(原文/訳:松岡由希子)

 

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