大学数学の根幹[原著第2版]
著者 | Ian Stewart 著・ David Tall 著・ 蟹江 幸博 訳 |
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分野 |
数学
> 代数学 数学 > 整数論 数学 > 集合 > 集合と論理 |
発売日 | 2024/02/28 |
ISBN | 9784320115590 |
体裁 | A5・508頁 |
定価 | 5,500円 (本体5,000円 + 税10%) |
大学で数学の学習を始めると、初めに「数」や「集合」などといった、一見すると当たり前に思える概念があらためて広く扱われる。しかしこれらは、その先の大学数学でより高度な概念を学習していくための基盤ともなる大切な概念であり、理解が曖昧なままでは、その後いくら学習を積み重ねても「砂上の楼閣」の如くひどく頼りないものになってしまうだろう。
本書では、上記の数・集合の概念の他に、数理論理・証明・関係(順序体や同値性)・無限とその濃度・置換と群論などといった、数学における基礎的ながらも軽視されがちな概念全般を徹底的に追究していく。こうして、地中に広く深く理解の「根」を張り巡らせることで、その後に難解な数学概念に出会っても動じない「幹」の太い喬木となり、理解の枝葉を大きく茂らせることができるのである。
大学数学やその先の研究活動にも通用する、強固な「数学の根幹」をもたらすべく、詳しく解説する。
[原著: The Foundations of Mathematics, 2nd Edition, Oxford University Press , 2015]
初版への序
第I部 直観的背景
第1章 数学的思考
1.1 概念形成
1.2 スキーマ
1.3 例
1.4 自然数学と形式数学
1.5 人間の経験に基づいた形式的アイデアを構築すること
1.6 形式体系と構造定理
1.7 形式数学をより柔軟に使用する
第2章 数の体系
2.1 自然数
2.2 分数
2.3 整数
2.4 有理数
2.5 実数
2.6 実際の描画における不正確な算術
2.7 実数の理論的モデル
2.8 異なる数に対する異なる小数展開
2.9 有理数と無理数
2.10 実数の必要性
2.11 小数の算術
2.12 数列
2.13 順序の性質と絶対値
2.14 収束
2.15 完備性
2.16 減少列
2.17 同じ実数に対する異なる小数展開
2.18 有界集合
第II部 形式化の始まり
第3章 集合
3.1 要素
3.2 部分集合
3.3 宇宙はあるか?
3.4 和集合と共通部分
3.5 補集合
3.6 集合の集合
第4章 関係
4.1 順序対
4.2 数学的な精度と人間の洞察力
4.3 順序対を概念化する代わりの方法
4.4 関係
4.5 同値関係
4.6 例.nを法とする算術
4.7 同値関係の微妙な側面
4.8 順序関係
第5章 関数
5.1 いくつかの伝統的な関数
5.2 一般の関数概念
5.3 関数の一般的性質
5.4 関数のグラフ
5.5 関数の合成
5.6 逆関数
5.7 制限
5.8 数列とn組
5.9 多変数関数
5.10 2項演算
5.11 添字つきの集合族
第6章 数学的論理
6.1 言明
6.2 述語
6.3 「すべて」と「ある」
6.4 量化子が2つ以上
6.5 否定
6.6 論理文法:連言子
6.7 集合論との関係
6.8 複合言明に対する公式
6.9 論理的演繹
6.10 証明
第7章 数学的証明
7.1 公理系
7.2 証明理解と自己説明
7.3 試験での問題
第III部 公理系の展開
第8章 自然数と帰納法による証明
8.1 自然数
8.2 帰納法による定義
8.3 算術の法則
8.4 自然数の順序付け
8.5 N0の一意性
8.6 数え上げ
8.7 フォン・ノイマンのひらめき
8.8 別の形の帰納法
8.9 除法
8.10 因数分解
8.11 ユークリッドの互除法
8.12 反省
第9章 実数
9.1 予備的な算術的演繹
9.2 順序についての予備的な演繹
9.3 整数の構成
9.4 有理数の構成
9.5 実数の構成
9.6 有理数列
9.7 R上の順序付け
9.8 Rの完備性
第10章 完備な順序体としての実数
10.1 環と体の例
10.2 順序環と順序体の例
10.3 同型ふたたび
10.4 幾つかの特徴づけ
10.5 直観との関係
第11章 複素数とその先
11.1 歴史的背景
11.2 複素数の構成
11.3 複素共役
11.4 絶対値
11.5 指数関数へのオイラーのアプローチ
11.6 余弦と正弦に対する加法公式
11.7 複素指数関数
11.8 四元数
11.9 形式数学へのアプローチの変化
第IV部 公理系を使って
第12章 公理系,構造定理,柔軟な思考
12.1 構造定理
12.2 数学的思考への異なるアプローチの心理的様相
12.3 形式理論の構築
12.3.1 半群と群
12.3.2 環と体
12.3.3 ベクトル空間
12.4 今後の方向性
第13章 置換と群
13.1 置換
13.2 巡回置換
13.3 置換に対する群性質
13.4 群の公理
13.5 部分群
13.6 同型と準同型
13.7 群を分割して商群を得る
13.8 群の中の要素の数と部分群
13.9 群構造を定義する分割
13.10 群準同型の構造
13.11 群の構造
13.12 数学全体での群論の主要な寄与
13.13 今後の方向性
第14章 濃度
14.1 カントールの濃度
14.2 シュレーダー・ベルンシュタインの定理
14.3 濃度の算術
14.4 濃度の順序関係
第15章 無限小
15.1 実数より大きい順序体
15.2 超順序体
15.3 超順序体の構造定理
15.4 無限小を幾何的な数直線上に視覚化すること
15.5 高次元における拡大
15.6 無限小を使う計算法
15.7 超準解析
15.8 超準解析の目覚ましい可能性
第V部 基礎の強化
第16章 集合論の公理
16.1 いくつかの困難
16.2 集合とクラス
16.3 公理自身
16.4 選択公理
16.5 無矛盾性
付録 証明の読み方:「自己説明」戦略
A.1 自己説明の方法
A.2 自己説明の例
A.3 他の解説と比較しての自己説明
A.3.1 言い換え
A.3.2 モニタリング
A.4 練習.証明1
A.5 練習.証明2
A.6 覚えていて. . .
参考文献とこの先によむもの
索引
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