細胞は、遺伝情報を担うDNAを正確に複製・分配することを周期的にくり返すことにより、その数を増やす。この周期が細胞周期であり、生命現象の基本システムのひとつである。細胞周期は発生において重要な役割をはたしており、増殖の開始と停止、増殖と分化の相関、形態形成、細胞の老化などにおける鍵である。本書では、ここ10年余りのあいだに爆発的に発展してきた細胞周期の制御システムの研究について概観するとともに、発生現象における細胞周期研究の意義と課題を紹介する。
(「蛋白質 核酸 酵素」臨時増刊を単行本に改装発行)
I.細胞周期制御の概要
II.細胞周期研究をささえる革新的な技術
III.細胞分裂期の制御機構
IV.チェックポイント制御
V.生殖細胞の増殖制御
VI.初期胚発生の増殖制御
VII.細胞分化と増殖制御
VIII.まとめと展望