チョウの生態「学」始末

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 過去50年の間で、生態学の概念には革命が起こった。地球上に存在する生き物は、種のためではなく、自分自身(≒自己の遺伝子)のために生きているという考え方への変換である。その結果、動物たちの振る舞いについて「利己的遺伝子」という考え方を基礎として全てが論理的に説明できるようになった。学問のこのようなダイナミックな発展は、チョウの生態学研究の歴史においても辿られた。むしろ、チョウの生態学が、このダイナミックな発展を促す一助になったと言っても過言ではない。

 本書では、一見のどかに見えるチョウの生活史の記載から、吸蜜における花との駆け引きを通じて、成虫の振る舞いの目的が自己の子孫の増加であることを示す。雌雄の最終目標である交尾の成功へ向けた雌雄の手練手管は如何に? その解明に向かっての一歩一歩を追体験する。
1 はじめに
1.1 パラダイム
1.2 「利己的遺伝子」の興隆
1.3 日本の特殊事情
1.4 この本の狙い

2 アゲハ類の生活史
2.1 チョウの個体群動態の研究
2.2 卵・幼虫期の生命表
2.3 寄主植物との相互関係
2.4 成虫期の生存曲線と分散
2.5 蜜源植物の動態と分布
2.6 メタ個体群と景観

3 成虫の訪花行動の意義
3.1 エネルギー源としての花蜜
3.2 雌の蔵卵数
3.3 摂取糖量と雌の卵生産能力
3.4 雄の生殖器官
3.5 摂取糖量と雄の精包生産能力

4 新しい解釈の始まり
4.1 「繁殖成功度」の概念の深化
4.2 交尾前の行動
4.3 交尾中の振る舞い
4.4 交尾後の行動

5 雌の立場と多回交尾
5.1 生涯交尾回数
5.2 多回交尾と卵生産
5.3 モンキチョウに発現する雌の2型
5.4 キタキチョウの成虫越冬
5.5 単婚性のベニシジミ
5.6 雌にとっての望ましさ

6 交尾と産卵にかかわる雄の様々な戦略
6.1 雌に対抗する雄
6.2 行動的雄間競争
6.3 有核精子と無核精子
6.4 代理闘争
6.5 無核精子の役割についての様々な仮説
6.6 再び雌へ:将来

7 研究室の学生たち~あとがきにかえて~
7.1 学生気質
7.2 チョウの飼育
7.3 野外調査
7.4 謝辞

引用文献

交尾をめぐる雄と雌の駆け引き(コーディネーター 巌佐 庸)

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