固定効果モデル
もっとも重要なパネルデータの分析法である固定効果モデルの入門書。調査データでは、独立変数と相関するその他の変数をすべて統制することが事実上不可能であるため、回帰係数の推定に歪みが生じるおそれがある。この問題を緩和する方法の一つが固定効果モデルであり、時間による変化のない変数は、観測されていないものであっても統制できるという利点がある。
本書は数式の展開は最小限にとどめ、基礎から応用まで、豊富な具体例を示しながらわかりやすく解説している。従属変数のタイプ別にデータの準備の仕方、推定方法、プログラム例、結果の解釈の仕方、どのような場合に推定にバイアスがかかるのか、といった初学者が知りたいポイントが簡潔にまとめてある。
著者は応用統計学・社会学の権威で、本書以外にも評価の高い概説書が多数。
[原著: Fixed Effects Regression Models、 Sage Publications、 Inc.、 2009]
第2章 線形固定効果モデル ――基礎編
2.1 2期の場合
2.2 2期の場合の差分値法の拡張
2.3 1人当たり3期以上の場合の一階差分法
2.4 1人当たり2期以上の場合のダミー変数を用いる方法
2.5 固定効果モデルにおける時間との交互作用
2.6 ランダム効果モデルとの比較
2.7 ハイブリッド法
2.8 要約
第3章 固定効果ロジスティックモデル
3.1 2期の場合
3.2 3期以上の場合
3.3 時間との交互作用
3.4 ハイブリッド法
3.5 応答変数が3カテゴリ以上である場合
3.6 要約
第4章 カウントデータのための固定効果モデル
4.1 1人当たり2期のカウントデータのためのポアソンモデル
4.2 1人当たり3期以上のデータのためのポアソンモデル
4.3 カウントデータのための固定効果負の二項モデル
4.4 ハイブリッド法
4.5 要約
第5章 イベント・ヒストリー・データの固定効果モデル
5.1 Cox回帰分析
5.2 固定効果Cox回帰分析
5.3 いくつかの欠点
5.4 Cox回帰モデルのハイブリッド法
5.5 繰り返しのないイベントに関する固定効果モデル
5.6 要約
第6章 固定効果モデルを含む構造方程式モデル
6.1 潜在変数モデルとしてのランダム効果
6.2 潜在変数モデルとしての固定効果
6.3 固定効果とランダム効果の折衷モデル
6.4 ラグ付き予測変数を伴う双方向効果
6.5 要約
付録A Stataプログラム(第2章~第5章)
付録B Mplusプログラム(第6章)
参考文献
索 引