機能性材料科学入門
「材料科学」はその活用範囲の広がりに伴って、学問としても非常に広範囲に亙るものとなった。各産業分野ごとの材料科学を論じる書籍も多数刊行がされているが、本書は逆に全般的な「材料科学」の機能性などから各産業分野での利活用について俯瞰し、将来に向けて網羅的に学習することを目的とした書籍である。
まず材料に関する根幹的な部分を学んだのち、金属材料・非金属材料・無機材料・有機材料・電気磁気材料・光学材料の視点から、材料の作製と加工、物理的性質と機能について学んでいく。現代に留まらず、将来の新材料・新技術の開発・研究に向けて今後も欠かすことのできない材料科学について、多角的視点で詳しく解説した。
1.1 材料とは何か
1.2 材料研究の歴史
1.3 将来の材料
第2章 機能性先端材料科学の基礎
2.1 物質の分類と構造
2.1.1 物質の状態
2.1.2 固体の分類(1)相による分類~純物質と混合物
2.1.3 固体の分類(2)元素の種類による分類~単体と化合物
2.1.4 固体の分類(3)原子の配置による分類~結晶と非結晶
2.1.5 固体の分類(4)性質による分類~有機物,無機物
2.1.6 固体の分類(5)形状,組織による分類
2.2 原子・分子
2.2.1 原子と原子軌道および周期表
第3章 材料の構造
3.1 結晶構造
3.1.1 最密充填構造(面心立方構造と六方最密構造)
3.1.2 体心立方構造
3.1.3 単純立方構造
3.1.4 NaCl型構造とCsCl型構造
3.1.5 蛍石型構造
3.1.6 セン亜鉛鉱型構造とウルツ鉱型構造
3.1.7 ダイヤモンド型構造
3.2 配位構造
3.3 電子構造
3.3.1 電子軌道~原子核を周回する電子たち
3.3.2 周期表と電子配置
3.3.3 遍歴する自由電子,結合に寄与する電子
第4章 材料の組織と相
4.1 代表的な金属の結晶構造
4.1.1 代表的な3つの結晶構造
4.1.2 同素変態
4.2 欠陥の種類と性質
4.2.1 点欠陥
4.2.2 結晶におけるすべり変形
4.2.3 転位
4.2.4 面欠陥
4.2.5 体欠陥
4.2.6 転位論的強化機構
4.3 平衡状態図
4.3.1 成分と相
4.3.2 合金の状態図と組成表示
4.4 代表的な金属組織
第5章 材料の作製と加工 (1)物理的
5.1 製錬(鉄鋼材料を中心として)
5.2 塑性加工
5.2.1 圧延加工
5.2.2 押出し加工・引抜き加工
5.2.3 鍛造加工
5.3 無機材料粉末の合成
5.3.1 気相法
5.3.2 液相法
5.3.3 固相法
5.4 無機材料の焼結
5.4.1 焼結過程
5.4.2 焼結の種類と方法
5.5 単結晶の作製法
5.5.1 液相からの成長
5.5.2 気相からの成長
5.6 薄膜の作製法
5.6.1 大気プロセス
5.6.2 真空プロセス
5.6.3 液相プロセス
第6章 材料の作製と加工 (2)化学的
6.1 有機化合物の合成反応
6.1.1 反応のカテゴリー
6.1.2 反応の熱力学と活性種
6.1.3 合成反応の実例(総論・道具・精製法)
6.1.4 エステル合成
6.1.5 エーテル合成
6.1.6 グリニャール合成
6.1.7 ハロゲン化物の合成
6.1.8 工業化学プロセス
6.2 高分子材料の合成
6.2.1 付加重合
6.2.2 縮合重合(重縮合)
6.2.3 配位重合
6.3 高分子材料の加工
6.3.1 射出成形
6.3.2 押出し成形
6.3.3 ブロー成形
第7章 材料の力学的性質と機能 (1)金属
7.1 鉄鋼材料
7.1.1 Fe-C系の状態図
7.1.2 鉄鋼材料の熱処理と力学的性質
7.2 アルミニウムとその合金
7.3 銅とその合金
7.4 チタンとその合金
7.5 ニッケルとその合金
7.6 マグネシウムとその合金
7.7 形状記憶合金
第8章 材料の力学的性質と機能 (2)セラミックスと高分子
8.1 セラミックスの弾性率と硬度
8.1.1 セラミックスの弾性率
8.1.2 セラミックスの硬度
8.2 破壊強度
8.2.1 理想強度
8.2.2 セラミックスのエネルギー解放率と強度
8.3 セラミックスの靱性
8.3.1 き裂先端近傍の応力場
8.3.2 応力拡大係数と破壊靱性
8.3.3 エネルギー解放率と応力拡大係数
8.4 高分子材料の力学的性質
8.4.1 弾性率と結晶弾性率
8.4.2 引張り強度
8.4.3 粘弾性
8.4.4 ゴム弾性
第9章 材料の熱的性質と機能
9.1 耐熱性
9.1.1 高温強度と弾性率
9.1.2 耐熱衝撃性
9.1.3 クリープ
9.2 熱膨張
9.3 熱伝導
9.3.1 自由電子による熱伝導
9.3.2 フォノンによる熱伝導
第10章 材料の電磁気的性質と機能 (1)導体,誘電体・磁性体
10.1 電気伝導の種類
10.1.1 導体金属の電気伝導と自由電子
10.1.2 半導体における電気伝導
10.1.3 その他の電気伝導モデル
10.2 導体材料
10.2.1 導線材料
10.2.2 抵抗材料
10.2.3 接点材料
10.2.4 超伝導材料
10.3 誘電体材料
10.3.1 分極と誘電率
10.3.2 強誘電体
10.3.3 誘電体材料の種類と応用
10.4 磁性材料
10.4.1 磁性の起源
10.4.2 磁性体の分類
10.4.3 磁気ヒステリシス曲線
10.4.4 磁性体の応用
第11章 材料の電磁気的性質と機能(2)半導体
11.1 半導体の種類
11.1.1 真性半導体(固有半導体)
11.1.2 不純物半導体
11.1.3 元素半導体(IV族半導体)
11.1.4 III-V族(化合物)半導体
11.1.5 II-VI族(化合物)半導体
11.1.6 アモルファス半導体
11.2 電子デバイス
11.2.1 ホール素子
11.2.2 PN 接合(ダイオード)
11.2.3 トランジスタ
11.2.4 集積回路(IC)
11.3 熱電材料
11.3.1 熱電変換の基本原理
11.3.2 熱電変換の効率と性能指数
第12章 材料の光学的性質と機能
12.1 光とは何か
12.2 光の伝搬
12.3 干渉と回折
12.4 偏光
12.5 光の吸収
12.5.1 ベールの法則
12.5.2 複素屈折率と吸収スペクトル
12.5.3 光吸収の応用
12.6 光の放出
12.6.1 自然放出
12.6.2 誘導放出
12.6.3 レーザー
12.7 光触媒
12.7.1 光触媒の原理
12.7.2 光触媒の反応
12.7.3 光触媒材料の実用化
12.7.4 光触媒材料の設計
12.8 光学測定技術
12.8.1 分光測定
12.8.2 非線形光学測定
12.8.3 時間分解測定
12.8.4 光電子分光
第13章 材料の化学的性質と機能
13.1 酸化と還元
13.2 酸化剤と還元剤
13.3 化学反応と触媒
13.3.1 自然界における触媒反応
13.3.2 均一系触媒と不均一系触媒
13.3.3 酸触媒と塩基触媒
13.3.4 ハーバー・ボッシュ法によるアンモニア合成
13.3.5 石油化学とエチレンプラント
13.3.6 Ziegler-Natta触媒による高分子合成
13.3.7 カップリング反応による精密有機合成
13.4 電気化学反応
13.4.1 標準酸化還元電位
13.4.2 ネルンストの式
13.5 電池
13.5.1 一次電池と二次電池
13.5.2 マンガン乾電池
13.5.3 アルカリマンガン乾電池
13.5.4 鉛蓄電池
13.5.5 リチウムイオン二次電池
13.5.6 燃料電池
第14章 材料の生物学的性質と機能
14.1 材料の生体適合性
14.1.1 免疫,補体,炎症の役割
14.1.2 生体内での酵素と材料への応用
14.1.3 血液凝固作用と材料
14.1.4 アレルギー反応と材料
14.1.5 材料と生体の接触による生体の変化
14.1.6 偽内膜形成と抗凝固薬
14.2 主な医用材料とその特徴
14.2.1 金属材料
14.2.2 非金属無機材料
14.2.3 高分子材料
14.2.4 生体由来材料
14.3 ティッシュエンジニアリング