クラウドソーシングが不可能を可能にする
―小さな力を集めて大きな力に変える科学と方法―
著者 | 森嶋 厚行 著・ 喜連川 優 コーディネーター |
---|---|
分野 |
経済・経営
> 生産・品質管理 > 生産管理・システム 情報・コンピュータ > ネットワーク |
シリーズ |
科学一般
> 共立スマートセレクション 32
|
発売日 | 2020/05/18 |
ISBN | 9784320009325 |
体裁 | B6・200頁 |
定価 | 2,200円 (本体2,000円 + 税10%) |
ビジネス、研究、諦めていた大きな課題を、小さな力を集結させて解決する具体的な方法を解説。
Wikipedia、 Uber、 Airbnb、 Kaggle、 クラウドファンディング、プラットフォームエコノミーを支える科学について、初心者から研究者まで役立つ設計法を網羅する。
「人工知能」「新しい働き方」など、未来の社会に関わる多くのコンセプトを実現する鍵、それが「クラウドソーシング」である。本書は、クラウドソーシングと、それと密接に関連するコンセプトである「ヒューマンコンピュテーション」の科学と方法を体系的に説明した初めての入門書である。
クラウドソーシングについて語られた書籍は他にも出版されているが、本書は、特に
(1) クラウドソーシングを利用して行いたいことがある人に向けて、それを実現するための設計の考え方、選択肢、ポイント、設計技法を説明すること
(2) 特定のトピックに限定せず、クラウドソーシングの設計に関わる問題、技法などの事項を網羅すること
の2点に重きを置いている。この分野に興味を持ち、知識を得たいだけでなく実際にクラウドソーシングサービスを活用して行いたいことがある人、既存のサービスを使ってみたがうまく使いこなせなかった人、もっと色んなことができるのではないかと考えている人、この分野を深く知りたい学生や社会人、そして、これからこの分野の研究を始めたいと思っている研究者、などに役に立つ本となるように執筆している。
「クラウドソーシング」「ヒューマンコンピュテーション」という言葉を聞いたことはあるが、正しく本質を理解したいという人、クラウドソーシングを利用して行いたいことがあるが、その実現にあたってはどういう問題があり、どう解決すればよいのかがわからない人、クラウドソーシング、ヒューマンコンピュテーションに関する研究の最前線に関する情報を知りたい方に最適な一冊である。
1.1 クラウドソーシングとは
1.1.1 あらゆる分野で変革を起こすクラウドソーシング
1.1.2 クラウドソーシングとオープンコール
1.1.3 クラウドソーシングの歴史
1.1.4 クラウドソーシング市場の出現
1.2 クラウドソーシングの強みと注目の理由
1.2.1 人材リーチ,多様性,人海戦術
1.2.2 労働力のロングテール革命
1.3 何をクラウドソースするか
1.3.1 クラウドソーシング事例の分類
1.3.2 クラウドソーシングとヒューマンコンピュテーション
1.4 人とコンピュータによる協働
1.4.1 ヒューマン・イン・ザ・ループ
1.4.2 内容による分担
1.4.3 得意分野による分担
1.4.4 ヒューマン・イン・ザ・ループAI ―融合知能の実現
1.5 クラウドソーシングと社会
1.5.1 社会に与えるインパクト
1.5.2 新たに生じる課題
1.6 クラウドソーシング設計の問題
1.6.1 4つの構成要素
1.6.2 次章以降の流れ
1.6.3 関連する学問領域
2 クラウドソーシング設計の構成要素 ―0を1にする道具
2.1 実行計画と実行可能性
2.1.1 実行計画
2.1.2 実行計画の実行可能性と群衆の性質
2.1.3 実行可能性の高い実行計画をつくる
2.2 タスク分割 ―何をやってもらうか
2.2.1 タスクにおける作業の分類
2.2.2 データ視点と作業視点によるタスク分割
2.2.3 既知のパターンとアルゴリズムの利用
2.2.4 その他のタスク分割
2.3 タスク設計 ―どう指示するか
2.3.1 タスクの形式
2.3.2 指示の文面
2.3.3 指示の文面と選択肢以外の情報
2.3.4 特別な選択肢と作業
2.3.5 複数の作業を含むタスク
2.3.6 タスクのデバッグ
2.4 リクルーティング ―どう集めるか
2.4.1 インセンティブ
2.4.2 Game With A Purpose
2.4.3 紹介型クラウドソーシング
2.4.4 メディアの選択
2.5 ワーカ-タスク割当て ―誰にどのタスクを割り当てるか
2.5.1 プル型とプッシュ型
2.5.2 タスクインスタンスとタスククラス
2.5.3 ワーカタスク-割当てモデル
2.5.4 割当て候補行列の実装
2.5.5 ワーカとタスクの属性
2.5.6 ワーカ属性の入手
2.5.7 より良い割当て
2.5.8 チームで働く
3 クラウドソーシングの全体設計 ―安く,早く,高品質に
3.1 実行計画の全体構造と評価
3.1.1 コスト,品質,時間
3.1.2 実行計画の全体構造
3.1.3 採用コストと人件費を抑えて高品質を目指す
3.2 タスク結果とワーカの品質評価
3.2.1 ゴールドスタンダードデータと能力認定試験
3.2.2 追加の人的コストが必要な手法
3.2.3 追加の人的コストを必ずしも必要としない手法
3.3 採用コストと人件費を下げる戦略
3.3.1 採用活動の自動化・低コスト化を進める
3.3.2 タスクを実行できるワーカを増やす
3.4 高品質とは限らないワーカから高品質な結果を得る戦略
3.4.1 できるだけ高品質な結果を引き出す
3.4.2 低品質の結果をある程度受け入れる
3.4.3 重複タスク結果の集約による高品質な結果の入手
3.4.4 逐次タスクによる品質改善
3.5 コストと時間
3.5.1 コストと時間のトレードオフ
3.5.2 価格の動的な配分変更
3.6 クラウドソーシング市場を超えて
3.6.1 クラウドソーシングシステムの開発とソフトウェア階層
3.6.2 クラウドソーシングの高水準記述
3.6.3 実行計画の自動生成と最適化
参考文献
難しいクラウドソーシングに科学を(コーディネーター 喜連川 優)
索 引