リーマンと解析学
本書では、リーマンの業績のうちの解析学的側面、特にリーマンの直感ないし、イメージングに発したリーマン面の理論の発展の一つの方向を解説する。
まず、リーマン面の構成について、おおよそのイメージがつかめるように解説する。次に、リーマン面の古典的な理論を解説する。コンパクトリーマン面におけるアーベル微分を導入し、リーマンの周期関係式の詳細を述べ、リーマン-ロッホの定理、アーベルの定理へと至る。最後に、いわゆるリーマン面上の「素数定理」と、最近得られたその進展を解説する。ここでいう「素数定理」とはリーマン面上の双曲計量に関する閉測地線の長さの分布に関する定理であるが、これに関係して、フーバーの定理やミルザハニの結果も紹介する。
本書では、リーマンの時代の論法をベースにした解説を行うように努めている。コンパクトにまとめられていながら、「リーマンの解析学」の雰囲気を感じとれる書となっている。
1.1 序論(雲のじゅうたんの上から)
1.2 解析接続(雲の切れ端をつなぐ)
1.3 解析接続で関数を作る
1.4 解析接続で面を作る
1.5 特異点を解消する
1.6 リーマン面の定義
1.7 リーマン面の例と正則写像
第2章 リーマン面上の解析学(その1)
2.1 リーマン面は曲がっている
2.2 調和関数と特異性
2.3 調和微分,アーベル微分
2.4 有理型関数存在への道のり(リーマンの周期関係式)
第3章 リーマン面上の解析学(その2)
3.1 アーベル微分の空間
3.2 因子
3.3 リーマン・ロッホの定理とその応用
3.4 ワイエルストラシュ点
3.5 アーベルの定理
第4章 リーマン面の素数定理とその進化
4.1 双曲的リーマン面
4.2 測地線
4.3 リーマン面上の測地線
4.4 リーマン面の熱方程式とラプラシアン
4.5 素数定理とその進化
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