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 本書は、「どのような方法を用いれば、ナノ粒子を正しく測れるか」を、原理から応用にわたって説明しています。ナノ粒子を計測することに関心が高まっていることには、二つの背景があります。一つは産業のナノテクノロジー化が進展し、様々なナノ素材の利用が進んでいることです。もう一つは、生態系への影響が十分に見通せないナノ粒子に対して、予防原則の観点から、欧米で規制が始まっていることです。これらの産業応用や規制に向けて、ナノ粒子がどのような形態や特性を持ち、どのようなサイズ(分布)をしているかを知らなければなりません。
 本書は7章で構成され、ナノテクノロジーとナノ粒子の産業応用に関する概観(第1章)を踏まえて、ナノ粒子の計測法の原理と計測のための試料調整法が詳しく説明されています(第2、3章)。その上で代表的な手法での計測例を詳述し(第4~6章)、規制にも関係するナノテクノロジーの国際標準化の現状も紹介しています(第7章)。
 本書は、計測装置開発の最前線にいる研究者が記述しています。分析化学実技シリーズが狙いとする若い分析化学研究者や技術者の方々にとって、まさに「分かりやすい」、「役に立つ」内容になっています。是非ご一読ください。
Chapter 1 ナノテクノロジーとナノ粒子
1.1 ナノテクノロジーとは
1.2 ナノテクノロジーの進展
1.3 ナノ素材(粒子)の産業応用
1.4 ナノ粒子の産業利用の現状
1.5 今後の応用研究

Chapter 2 ナノ粒子の計測原理
2.1 ナノ粒子概観
2.2 計測装置の分類
2.3 画像解析を利用する計測法
2.4 回折・散乱を利用する計測法
2.5 質量・密度を利用する計測法
2.6 その他の方法

Chapter 3 試料の調整方法
3.1 分級の意義,必要性
3.2 液相分級法
3.3 気相分級法

Point ナノ粒子の計測にあたって

Chapter 4 画像解析を利用したナノ粒子の計測例
4.1 画像解析法の利点と欠点
4.2 試料調整
4.3 TEM, SEM, AFM の特徴比較
4.4 TEM, SEM による計測例
4.5 AFM による計測例

Chapter 5 回折・散乱を利用したナノ粒子の計測例
5.1 X 線回折法(XRD)による結晶子サイズ分布評価法
5.2 小角X 線散乱法(SAXS)による粒子径解析法
5.3 光による計測法
5.4 動的光散乱法
5.5 光子相関法

Chapter 6 質量分析を利用したナノ粒子の計測例
6.1 質量分析法によるナノ粒子計測
6.2 ICP-MS 概要
6.3 粒子分級法とICP-MS の組み合わせ方法
6.4 sp ICP-MS
6.5 粒子分級法などとsp ICP-MS の組み合わせ

Chapter 7 ナノ粒子計測法の国際標準化
7.1 標準と国際標準化
7.2 ナノテクノロジーとナノ物質計測法の国際標準化
7.3 ナノ物質:規制の動きと認証の動き
7.4 国際標準化機関の活動状況

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