1ページでわかる日本型ドロップシッピングとは(ドロップショッピングではありません)

 最近ネットショップ、ウェブショップ、EC(エレクトリックコマース)等々の分野で話題になっているのが「ドロップシッピング」という流通形態だ。これは、特にアフィリエイトとの比較で語られることが多いように思われるが、実際には何がどう違うのか判りづらいという話も多い。

 そこで、初めての人のために、ドロップシッピングとは何かということを1ページにまとめてみた。あわせて、今までのショッピングサイトやアフィリエイトとは何が違うのかも比較している。

2006年11月 2日14:43| 記事内容分類:ウェブマーケティング| by 松永英明
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ドロップシッピングとは何か

 アメリカ等でのもともとのドロップシッピングという言葉とズレが生じてきているようなので、すでに定着しつつある「日本型ドロップシッピング」という言葉でその概念を説明する(アメリカ型については今回は触れない)。

 これを簡単に言えば「ショップが、在庫・仕入れなしで販売する流通スタイル」ということになる。

 ドロップシ「ョ」ッピングではないので注意→[ドロップショッピング - Google 検索]

まず、普通の商品の流れを押さえておこう

dropshipping01.gif

 最初の図は、一般の商品の流れ。メーカーから卸問屋を通じて(あるいはとばして直送で)、販売店(ショップ)は商品を仕入れる。仕入れた商品を店頭に並べて売る。それをお客さんが買うわけである。

 ネットショップでも基本はまったく同じ。仕入れて在庫として持っておいて、それを販売するのが基本形だ。

dropshipping01b.gif

 説明をわかりやすくするために、「メーカー」と「卸問屋」をひとくくりにしてみた。要するに、「商品を作るところ」「商品を売る店」「商品を買う人」の3ジャンルがある。

アフィリエイトは商品流通経路を変えない

dropshipping02.gif

 さて、ネットではすでにおなじみになったアフィリエイト。商品を紹介して、ショップに誘導し、そこでお客さんが何か商品を買ったら、紹介料として報酬をもらう。それがアフィリエイトである。

 つまり、アフィリエイター(アフィリエイトで紹介している人)は、営業マンであり、呼び込みの人なのである。その人自身が何かを販売したり、商品を発送したりするわけではない。あくまでもショップは他にある。だから、商品の流れ自体は、上に記した普通の商品の流れと何ら変わることがない。

ドロップシッピングはショップに該当する

dropshipping03.gif

 ドロップシッピング形式で商品を売るショップをドロップシッパーと呼ぶ。これはショップそのものである。お客さんから注文を受け、代金の支払いも受ける。そして、注文があったらメーカーに連絡し、メーカーから商品を直送してもらう。

 アフィリエイターは営業や訪問販売員に相当したが、ドロップシッパーはまさに小売店、ショップそのものである。「アフィリエイト2.0がドロップシッピング」みたいな宣伝も世の中にはあるようだが、実は性質が全く違うといえる(もちろん、アフィリエイターがドロップシッパーになることは可能だが、これについてはあとで述べる)。

 そして、ドロップシッピングを導入すると、商品の流れの経路が最初の図と違ってきていることがわかると思う。つまり、ドロップシッピングは「流通形態を変えるもの」あるいは「特殊な流通形態」なのだということがわかるだろう。

 なお、最近登場しつつあるドロップシッピングサービスは、「メーカー」と「ドロップシッパー」の間をつなぐ存在だと思えばいいだろう。

ドロップシッピングはすでに使われている

 実は、ドロップシッピングの仕組み自体はすでに使われているし、実際に「その仕組みで買ったよ」という人も多いだろうと思う。

 たとえば、楽天市場の家具屋さん。机や収納棚やベッドなどを楽天市場の家具屋さんのショップで購入する。ところが、家具屋さんはその在庫を持っているわけではない。メーカーに連絡して、メーカーから家具が直送されてくるというシステムのところが大半である。つまり、楽天の家具ショップサイトはドロップシッパーで、メーカーから直送されてくるドロップシッピングの仕組みが採用されているのである。

 Amazonのエレクトロニクスも同様。Amazonで注文すると、メーカーから送られてくる。実はAmazon自体が巨大なドロップシッパーだったのだ(本とかCDとかはちょっと違うけれど)。

 リアルの店舗では、ドンキホーテの一部商品も同じである。店頭で注文すると、後日、メーカーから商品が直送されてくる。ドンキホーテも(一部商品については)ドロップシッパーだったのだ。なお、ドンキホーテの商品をさらにドロップシッピングで販売することもできる。

 店自体は在庫を抱えず、メーカーなどから商品が直送されてくる仕組み――このような流通形態であれば、ドロップシッピングにほかならないのである。

ドロップシッピングとアフィリエイトの共存

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 ドロップシッピングはアフィリエイトに代わるものではなく、むしろショップの可能性を広げるものであると考えた方がいい。だから、ドロップシッパーがアフィリエイターを募集するというパターンもありえるわけである。

ちょっと特殊なドロップシッピングサービス

dropshipping05.gif

 現時点でドロップシッピングがあまり理解されていないのは、各サービスによって違いが大きいからというのもある。ただし、基本としては上記のことを押さえておけば、あとは細かい違いだということもわかるだろう。

 その中で大きく違うのが、リアルマーケット・ドロップシッピング(RM-DS)である。これは、リアルマーケット側で商品を集める倉庫を持ち、そこから商品をまとめて発送することになる。

 たとえば、ドロップシッパーがいくつかのメーカーの商品を同じショップサイトで販売していたとしよう。すると、発送元はそれぞれのメーカーバラバラということになる。だから、商品は(当然ながら)バラバラで届く。

 しかし、RM-DSでは倉庫があるから、そこでまとめて発送し、経費を抑えることができる、と提供側は考えている。他のサービスでは、サービス側が倉庫を持たない方が経費を抑えられると考えているが、結論はまだ出ていない。

ドロップシッピングのメリットとデメリット

 特にアフィリエイトと比較してみる。

メリット

  • 仕入れ・在庫が必要ないので、開店時の仕入れのための資金なしでショップを開ける
  • アフィリエイトと違って、商品の販売価格を自分で設定できる
  • 注文を受けて製造するような商品(たとえばオリジナルデザインTシャツ)などには特に有利
  • メーカーは、発送以外の販売部門をドロップシッピングに任せることができる
  • メーカーから提供される商品の卸値と販売価格の差がすべて利益になるので、通常、アフィリエイトよりも利幅が大きい
  • 顧客リストが手に入る(アフィリエイトでは自分の顧客にはならない)
  • メーカー側としては、販売店を多く獲得でき、販路を広げられる

デメリット

  • 顧客対応をしなければならない(アフィリエイトではショップ任せ)
  • 代金の回収も自分でしなければならない
  • 過大広告、薬事法や健康食品関連の表示については、責任をすべて負わなければならない
  • メーカー側としては、販売店が多くなると価格競争が起こる可能性がある(実際には、価格を決定するのは、ドロップシッパーというより市場ではあるが)
  • 希望小売価格を守ってほしいメーカーにとっては現時点では使いづらい
  • ブランディング効果が弱まる可能性がある
  • 直販のみに絞りたいメーカーにとっては、利用する意味がない

サービスによって違う部分

  • 特定商取引法に基づく個人情報の表示については、必要なサービスと、サービス側の情報を書いておけばいいところがある。本来のドロップシッピングはショップなのだから、自分の店の情報を書かなければならないというのが原則。
  • その他、アフィリエイトとドロップシッピングのあいだの境界的なサービスやプランも提供されているので、実際の線引きはかなり難しくなりつつある。

ドロップシッピングに向いている人、向いていない人

  • アフィリエイトで儲からない人は、ドロップシッピングでも儲からない。
  • しっかりとショッピングサイトを運営してみたいと思っている人は向いている。顧客対応をしっかりしていれば、仕入れ・在庫を抱えなくてよいというのは極めて大きなメリットである。
  • アフィリエイターの中でも、ショッピングサイト的なデザインでやっている人は、そのままドロップシッピングに移行できる。もしもドロップシッピングの実藤社長も、自分自身で運営していたアフィリエイト・ショッピングサイトをドロップシッピングに移行させた。こういうアフィリエイターはドロップシッパーにすぐになれる。むしろ、利ざやが大きくなって有利。
  • あまり手間をかけず、お気軽にリンクだけ貼っていたアフィリエイターにはおすすめできない。ドロップシッピングは、ショップ経営そのものとなるから、あまりにも手間が増えすぎる。もちろん、アフィリエイト感覚で使えるドロップシッピングサービスもあるから、それは可能だが、その先の本格的ドロップシッピングショップサイトへ移行するのは難しいだろう。
  • つまり、「商品販売」ということを本腰を入れてやりたい人はドロップシッピング向き。
  • 何かの片手間にちょっと収入があればいい、という人はアフィリエイト向き。
  • 簡単にウハウハ儲かるというものではない。しかし、商品販売ということに興味を持っている人にとっては、ショップ開店へのハードルを下げる仕組みである。
  • ドロップシッピングで儲かっている人は、決して他と比べて価格が安いわけではない。サイトの内容やサービスで勝負している。

下世話なたとえ

 風俗店のシステムにたとえてみるとわかりやすい、という人がいたので、あえて書いてみる。

 アフィリエイトは、「風俗店紹介所」あるいは「客引き」である。お客さんをつかまえて、どういう店がいいですか、と要望を聞きながら、自分の契約している店に連れて行く。こうしてお客さんを連れて行くと、店から紹介料が支払われる。

 ドロップシッピングは、「デリバリーヘルスの受付窓口」である。窓口に行って「この子がいい」と申し込みをして代金を支払い、ホテルで待っていると、指定された女の子がやってくる。この場合、女の子が自宅待機していて指名がかかったら出てくるという方法をとっていれば、まさに「メーカー直送」というわけで、ドロップシッピングに似ている(そのままではないけれども)。

 いずれにしても、アフィリエイトとドロップシッピングはだいぶ違うよ、という話。

ドロップシッピングサービス一覧

総合ドロップシッピングサービス

メーカー/ショップによる個別ドロップシッピングサービス

情報

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2006年11月 2日14:43| 記事内容分類:ウェブマーケティング| by 松永英明
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コメント(4)

非常に参考になりました。
ドロップシッピングについて頭の中を
整理したくなったときにまた来ます。

ヒメコさんのページからこちらに参りました。
ドロップシッピングについてよく分からなかったので、
とても役立ちました。

まだ作成中商品ができたら のせr予定

大変わかりやすくためになりました。

このブログ記事について

このページは、松永英明が2006年11月 2日 14:43に書いたブログ記事です。
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