岩波ブックレット<br> 「私物化」される国公立大学

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岩波ブックレット
「私物化」される国公立大学

  • 著者名:駒込武
  • 価格 ¥726(本体¥660)
  • 岩波書店(2021/10発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784002710525

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内容説明

近年加速する大学の「ガバナンス改革」.学長を中心としたトップダウン型経営は,教育現場に果てしない混乱をもたらしている.教育・研究の実態からかけ離れた独善的な改革が推し進められ,果ては学内制度や人事までが一部の人間の意のままに改められてしまう――.変わりゆく国公立大学のいまを,七つの大学の現場から報告する.

目次

はじめに(駒込武)┴第1章 大学が「私物化」されるとはどういうことか 下関市立大学(下関市立大学の私物化を許さない教員有志)┴第2章 自由の風が止むとき 京都大学(駒込武)┴第3章 政治に従属する大学へ 筑波大学(佐藤嘉幸)┴第4章 歯止めなき介入、変貌する大学 大分大学(大分大学のガバナンスを考える市民の会)┴第5章 放逐される総長 北海道大学(山形定)┴第6章 教育界に逆行する教員養成「改革」 福岡教育大学(江頭理江・喜多加実代)┴第7章 権威主義化する大学「経営」イデオロギー 東京大学(田中純)┴おわりに(光本滋)┴参考リンク集

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

110
昨年、母校の総長選考に少し関わることがあり、従来とは様変わりした選考プロセスに驚愕した。小泉改革によって、国立大学に経営重視の観点が持ち込まれ、学長や部局長の選考から学内自治が排除された結果、「私物化」と受け取られかねない学長独裁を招いている現状が紹介される。大学には「大学の自治」「学問・研究の自由」が何より大切だという考えは古いんだろうか。大学には、経営重視の「企業体」というより、社会の「コモンズ」であってほしいと願う自分の考えは間違っているのだろうか。知れば知るほど、暗澹たる気持ちにさせられる。2021/11/04

zoe

15
2021年。大学運営が一部の人間に独断で進められてしまっているという本。大学運営の民主主義がなくなるという角度からのファクトと主張。学問の自由や教育が経営的な切り口で疎かになるという。でも、大学の研究力は低下しているものの、教育に対する評価は上がってきたという話も聞いた気がしますし、この本で取り上げられた東大債の金額も、東大や地方大学への交付金学などと並べたり、装備庁からの研究資金についても、自分で少し掘り下げてみれば、印象が変わるのではないでしょうか。問題のベクトルは自分で認識すべきかと。2024/12/01

Yappy!

10
岩波ブックレットってこんなチャレンジングなというか過激な内容のものも取り扱うんだというちょっとした驚き。 全国ニュースになった北海道大学や旭川医科大学は少しは見聞きしたけれど、ある程度まとまった経緯を読むのは初めて。地区が遠いと全然情報が流れないことを実感したのは、大分大学や福岡教育大学、下関市立大学の惨状。京大や東大はいろいろあるのでどちらかというと地方国公立の悲惨な現状は想定以上というか、あそこだけじゃなくてそちらもかという感想。ある程度の規模がない大学の経営は多分大小関わらずダークサイドに入っている2021/09/27

寿児郎

9
数々の国公立大学が、新自由主義的な改革によってその民主制が骨抜きにされズタズタに蹂躙されている実態を知った。 学長選考は恣意的なものにされ、明らかにおかしいのにその声が届かない、是正する術もなく改悪されてゆく経過を見ていることしかできない絶望的な無力感を感じた。 大学というものは偏差値や特色など受験に直接的に関わる部分だけ注目されるが、このようなガバナンスは人々の目に触れにくいので、非常に意義深い書籍である。 今もまだ大学の崩壊は現在進行形で続いているので、注視していきたい。2023/12/09

とろりんとう

7
お気に入りの方が読んだ本。国主導で進められている国公立大学のガバナンス改革だが、学長選出の不透明さ、学長の独断専行、そして全般的な説明不足。今、千葉大でも起こっている。国公立大学は国の施策に左右される面はやむを得ないが、近年の政権から続く説明不足と独断専行に似て、とても憤りを感じる。一方で、大学の授業でも昔ながらの内容を続けているケースは残っていると思うし、現代に合わせた教育システムへの改変が必要な時期でもある。既存教育者達がその抵抗勢力の可能性もある。だからこそ、両者で期限を決めて徹底的に話し合うべき。2024/02/12

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