「JCPA農薬工業会」は、
「クロップライフジャパン」に名称を変更しました。
更新情報は、トップページのTOPICS一覧からご覧ください。
2024年9月頃、新サイトについてご案内します。
サイト切替までは変わらず本サイトをご利用いただけます。
日本の農薬の使用量は欧米に比べてどうなのでしょうか。日本の使用量は少ないのですか多いのですか。
気候条件や栽培する作物によって病害虫の発生傾向と必要な農薬量は異なります。
農薬使用量の大小だけで国ごとの農薬使用傾向を単純比較することはできません。
農薬の使用量には様々な要素が影響しています。例えば作物による違いが挙げられます。大豆やトウモロコシ、麦などは水稲やばれいしょよりも比較的病害虫雑草による被害の程度が小さく、反対に果樹類は被害が大きくなるため必要な農薬の量が増えることになります。作物の栽培比率は国によって異なりますので、根本的に使用する農薬の量にも違いが生じることになります。
また、病害虫雑草の発生傾向は気候の影響を大いに受けますので、同じ作物であっても国によって必要な農薬の量が大きく異なってきます。
2020年の統計を見てみましょう。農地面積当たりの農薬使用量(図1)に注目すると、日本や韓国をはじめとするアジア諸国の占める比率が欧州よりも確かに高くなっています。これは、アジア特有の高温多湿なモンスーン気候により病害虫雑草が欧州よりも発生しやすく、農薬による防除の重要性が高いためです。
一方で、国あたりの総農薬使用量(表グラフ2)ではどうでしょう。アメリカや中国といった国土の大きい国は勿論、上位10か国の大半は欧米が占める結果となっています。こうした国々では国全体の総農薬使用量は多い一方、気候や主要作物の違い等により病害虫雑草の影響が比較的低い傾向にあるため、農地面積当たりの平均使用量は少なくなります。
この2つの表の違いが示す通り、国ごとで栽培環境や農薬の必要性に違いがある以上、農薬の使用傾向を「使っている量」だけで単純比較することはできません。
いずれの国においても、作目・気象条件の違いに応じて必要な量の農薬を適正に使用することが基本ですので、「農薬使用量が多いこと」がすなわち「農薬を使いすぎていること」では無い、ということをご理解ください。
(2023年2月)