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2019年12月25日(水)
きょうの潮流
街は飾られ、人びとも華やぐクリスマスの朝。ひとりの女性が亡くなりました。もう体も心もズタズタ、はたらきたくない、死んでしまいたい―。悲痛な叫びを残して▼電通の新入社員だった高橋まつりさんが命を絶ってから4年を迎えました。社会人としての抱負や夢を抱いていた24歳がなぜ自死するまで追いつめられたのか。そこには、まともな睡眠時間もとれず、パワハラがくり返される地獄の日々がありました▼がんばり屋で明るく闊達(かったつ)だったという娘を失った母の幸美さん。つらく悲しい自責のなかで、いまも声を上げつづけています。大切な人の命や尊厳を奪うような働き方や社会を許してはならない、と▼今年もブラック企業大賞が発表され、三菱電機が2年連続の汚名となりました。同社では8月に20代の男性新入社員が自殺。遺族は上司のパワハラが原因の過労自殺だったとして労災を申請し、会社に対して再発の防止を求めています▼「飛び降りるのにちょうどいい窓あるで」「殺すからな」「自殺しろ」。亡くなる直前に男性が書き残したというメモには心をえぐるののしりの数々が記されていました。三菱電機では長時間労働などによる社員の自殺や心身を害する問題が相次ぎ、企業の責任が厳しく問われています▼働くものが死に追いやられる異常な世界。苦しめられ、孤立させられ、使い捨てにされる。そんな経済や国のあり方を変えたい。遺族をはじめ人間らしい生き方を望む労働者の切なる思い。過労死のない社会を。