宇宙航空研究開発機構

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平成27年12月理事長定例記者会見

理事長定例記者会見

奥村理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします

日時:平成27年12月17日(木) 11:00-11:25

場所:JAXA東京事務所 B1F プレゼンテーションルーム

司会:広報部長 上垣内茂樹

 もうこの1年の年末を迎える時期ですが、JAXAにとっては非常に忙しい1年間だったと総括しています。1月初めに宇宙基本計画が新しく出来、4月には国立研究開発法人という、政策的な仕組みも変化があり、それに対応していきました。プロジェクト関連は、すでにご案内しておりますが、H3ロケットの本格的な開発が始まりました。つい最近ですと商業化に繋がる高度化技術実証など、多々プロジェクトを推進、実行してきましたが、大変幸いなことに、一応の目的を達成することが出来た1年だったと、そういう意味では忙しい1年間ではありましたが、大変充実した年になりました。そういう意味で、プロジェクト関係者のみならず、バックヤードでこれら事業を支えている全職員に私は感謝したいと思っています。

 金星探査機「あかつき」が金星周回軌道に投入することが出来ました。5年間はかかりましたが、今回初めて日本として、惑星の周回軌道に衛星を投入することが出来ました。大変、探査と言う分野にとっても非常に大きな一歩を踏み出した成果ではないかと私は考えています。現在、「あかつき」は観測機器の機能確認を進めています。一つ一つ機能確認を進めており、特に高解像度が得られる機能を持つ4つのカメラは、今のところ健全性が保たれていることを確認しています。ご案内しておりますとおり、今後このようなプロセスを経て、来年4月から本格的な観測を開始する予定になっています。

 小惑星探査機「はやぶさ2」は、ご案内しておりますとおり、所定の軌道でRyuguに順調に向かっています。

 直近の重要なイベントは、ご案内しておりますとおり、油井宇宙飛行士が約5か月間の国際宇宙ステーション(ISS)滞在を終えて、先日地球に戻ってまいりました。現在ヒューストンでリハビリをしています。油井宇宙飛行士は、今回ISSから情報発信を頻繁に行っており、ツイッターを積極的に活用して「宇宙からのリポーター」という役割を果たしてくれたと感じています。来週月曜日にヒューストンとを結んで記者会見を予定していますので、皆様方にも是非ご参加をいただきたいと思います。来年の2月頃には、リハビリ後の帰国を予定していますので、その折に、いくつかの地域でミッションの報告会を開催する計画を現在検討しています。
 油井宇宙飛行士に続き、来年6月頃には大西宇宙飛行士が、再来年11月頃には金井宇宙飛行士が長期滞在のミッションに参加することが決まっていますので、今後、今回の油井宇宙飛行士の実績を基に、後に続く宇宙飛行士にも、さらに大きな成果を上げられるように、努力してまいりたいと考えています。

 12月1日(火)から4日(金)まで、インドネシアでアジア太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF)の22回目が開催されました。これは文部科学省とJAXAがホストを務めて、各国持ち回りで毎年開催している会議です。今回はインドネシアの研究技術・高等教育省と国立航空宇宙研究所と共催により開催しました。28か国・地域、10国際機関から約480名にのぼる方々か参加し、発表及び議論を深めました。今回の会議の一つの目玉は、共催機関であるインドネシアの企画として、宇宙と海洋の問題を取り上げました。インドネシアは非常に大きな海洋大国であり、島々も17,000ぐらいあると聞いています。また島々の海岸線の長さは赤道の2倍余りの8万キロ以上あるといことで、大変な海洋国であることも私共も実は初めて知りましたが、様々な海の回遊、船の航行情報の課題もお持ちのようで、それらに宇宙からの衛星観測が役に立つのではないかとの期待を述べられ、大変ユニークで良い企画であったと私は考えています。もう一つ、今回の会議の特徴は、このAPRSAFにアジア地域以外の地域の方々が沢山参加し、アジアの宇宙開発の動向を調査、活動域の中に取り込んでいるということは、非常に顕著に表れてきています。アジア地域はいろいろな意味で、これから益々宇宙にとっても大変重要な国々であると考えています。我々もこの分野の活動をさらに強化してきたいと考えています。来年はフィリピンで開催する予定になっています。

 H-IIAロケット29号機での商業衛星打上げミッションの成功はご案内のとおりですが、今回の成功によって初めてJAXAの宇宙が科学技術という領域から一歩踏み出して、商業化という領域の支援を行うという分野、領域に立ち入ったと私は理解しています。これまでのJAXAの実績、歴史の中に新しい1ページを加えたという意味で、意義のある実績であると私は感じています。後継のH3ロケットは初めから打上げの商業市場に入ることを目的にしていますが、当然このH3にも今回の高度化技術は使う予定にしています。今後、益々競争が激しくなるであろう打ち上げサービス市場に、JAXAはどのようにさらに貢献していけるのか、我々JAXAにとっても新たなチャレンジになるのではないかとと考えています。

 打上げに関して、次のH-IIAロケット30号機の打上げは2月12日(金)を予定しています。載せる衛星はX線天文衛星「ASTRO-H」です。今のところ順調に準備が進んでいます。

 12月にパリで開かれていた気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において、私どもJAXAと国際協力機構(JICA)で共同の発表をしています。森林変化検出システム構想というもので、前にもブラジルの方で違法伐採の実績があるというお話をしましたが、このような活動を、他の国々、他の地域、特に赤道域にある熱帯雨林を多く持つ国々にも、この活動をJICAと共に進めて行く構想です。森林はCO2の吸収に大きな役割を果たしていると言われている一方、森林がどれだけあり、どれだけ伐採されているのかの全体像を掴むことが難しいという課題もありますので、この課題解決のために、私共の「だいち2号」が貢献できるように方策を進めて行きたいと考えています。

 内閣府男女共同参画局が支援している「輝く女性活躍を加速する男性リーダーの会」があり、その中に行動宣言があります。私もそれを拝見して、主旨に賛同し、行動宣言に同意し、男性リーダーの一員にいれていただきました。特にこの行動宣言の中で示されているキーワードがいくつかありますが、「自ら行動し、発信する」「現状を打破する」「ネットワーキングを進める」、こういった考え方は男性共同参画のみならず、様々な職場の生産性向上、効率化に十分寄与するものであり、その中でより女性が活躍していただきたい、そういう思いもあり、この行動宣言に同意し、メンバーの一員に入れていただきました。

 12月12日(土)に、角田宇宙センターの開設50周年記念式典を開催しました。角田宇宙センターはロケットエンジンの開発には不可欠な研究機能を持っています。これまでも大きな実績を上げてきましたが、現在使っているロケットエンジンの開発には大変大きな貢献をした施設です。また、次のH3ロケット、特にターボポンプについては今後角田宇宙センターで実験していきます。今後も引き続き角田宇宙センターを有効に活用していきたいと思います。角田宇宙センターは大変地元の皆様からご支援をいただき、私共JAXAとしましても、角田の発展を願って連携協力をさらに強めるために、今回この機会を使い連携協定を結ばせて頂きました。なお、今回の記念式典に、ジャック・ドーダン前欧州宇宙機関(ESA)長官にご参加いただきました。30年ほど前に同氏は角田宇宙センターを訪れて、一緒に研究を実施した縁があり、その当時のお話をしていただきました。

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