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孝経 儒教の歴史二千年の旅

東アジアで『論語』とならび親しまれてきた『孝経』は、儒教の長い歩みを映し出す鏡のような存在だ。スリリングな古典への案内。

孝経 儒教の歴史二千年の旅
著者 橋本 秀美
通し番号 新赤版 2050
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 哲学・思想
日本十進分類 > 哲学・心理学・宗教 > 哲学
刊行日 2025/01/17
ISBN 9784004320500
Cコード 0210
体裁 新書 ・ 244頁
定価 1,056円
在庫 未刊・予約受付中
東アジアで『論語』とならび親しまれてきた『孝経』は、儒教の長い歩みを映し出す鏡のような存在だ。古代における経典の誕生と体系化、解釈学の興亡と皇帝によるテキスト編纂、失われた書物をめぐる日中の学問交流、そして「孝」の教えをめぐるせめぎ合い――小さな古典から、儒教の大いなる流れをスリリングに案内する。
序 章 『孝経』が映しだす儒教の歴史
 前近代東アジア共通の「教科書」
 日本における受容は奈良時代にさかのぼる
 儒教の歴史を映しだす「鏡」
 『孝経』は親孝行を説く経典?――なぜ読まれつづけたのか
 書物の交流史として
 「忠孝」の理想とそのジレンマ

第一章 書物の誕生と鄭玄による体系化――漢代まで
 儒教経典はどうかたちづくられたか――孔子とその弟子、曾子との問答
 「仁」と「順」と「孝」
 四書五経と『孝経』
 漢代の学術と儒学
 皇帝の学び・官吏の学び
 『漢書』「藝文志」から分かること
 孔子の旧宅から見つかった『古文孝経』
 「古文vs今文」――儒学史の幻想
 『今文孝経』と『古文孝経』は章構成が異なる
 鄭玄による儒学の体系化、テキストと注の一体化
 鄭玄の『孝経』注釈が成し遂げたこと
 鄭注の普及
 テキストは変化する
 日本で再発見された鄭注――『群書治要』という書物

第二章 『古文孝経』と孔安国伝の謎――魏晋南北朝時代
 反「鄭学」の台頭――漢代以後の儒学史の流れ
 「経学」と「実学」の並立体制
 孔安国による『古文尚書』『古文孝経』注釈――孔伝
 魏晋南北朝期の朝廷と『孝経』
 貴族たちの祈り
 孔伝の再出現
 隋の文帝と蘇威
 絶好の資料――劉炫『孝経述議』
 日本で流行する孔伝
 太宰春台の校定本が中国に逆輸入される
 孔伝と『管子』
 相互性の重視と人間の自然的感情
 孔伝と『孝経述議』は何をもたらしたか

第三章 テキストが確定される――唐、玄宗御注の成立
 石台孝経と開成石経
 今日まで伝わるテキストの確立
 唐代の儒・仏・道三教並存体制――『孝経』『金剛般若経』『老子』
 『五経正義』――標準テキスト編纂の意味
 「革新」と「伝統」のせめぎあい
 劉知幾vs司馬貞
 玄宗皇帝自身による注釈
 開元と天宝、二度のプロジェクト――激動の玄宗朝
 『孝経注疏』――玄宗御注と元行沖疏
 経典と『経典釈文』の印刷――北宋の整理(一)
 邢昺疏――北宋の整理(二)
 開元本は日本にのみ遺る――文献伝承における「累積」と「上書き」
 鄭注・孔伝から御注へ

第四章 使われる経典に――宋から明清へ
 古文の復活
 古文の分章・章順序
 注から評へ
 鄭注と孔伝の散逸
 朱子の『孝経刊誤』
 『孝経刊誤』の余波
 董鼎・呉澄
 民間への応用
 明清皇帝の聖諭
 明末の『孝経』復興運動
 黄道周
 清代の議論と研究
 江戸時代の『孝経』研究
 鍬形蕙斎と葛飾北斎
 鈴木順亭と林秀一

第五章 『孝経』を読んでみよう

 主要参考文献
 図版出典一覧
 あとがき
橋本秀美(はしもと・ひでみ)
1966年,福島県生まれ.東京大学文学部中国哲学専攻卒,北京大学古典文献専攻博士.東京大学東洋文化研究所助教授,北京大学歴史学系教授,青山学院大学教授を経て,
現在―二松学舎大学教授
著書―『『論語』――心の鏡』(岩波書店)
   『義疏学衰亡史論』(白峰社)
   『文献学読書記』(共著,三聯書店)
   『学術史読書記』(共著,三聯書店)
   『朱門礼書考』(共著,すずさわ書店)

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