スマホユーザーの7割超が「公衆無線LANを利用していない」――ICT総研調べ:調査リポート
モバイルネットワークのオフロード対策として注目を集める公衆無線LANサービス。しかし、ICT総研の調査によれば、スマホユーザーの7割超が公衆無線LANサービスを利用していないという。
スマートフォンの急増に伴うトラフィック対策として注目を集める公衆無線LANサービス。モバイルネットワークにかかる付加を軽減できることから、携帯通信事業者各社はサービスを実質無料で提供し、利用の拡大を目指している。しかし、ICT総研の調査で、スマートフォン利用者の7割が「公衆無線LANを利用していない」と回答していることが分かった。
「公衆無線LANを利用していない」――スマホユーザーの7割超に
調査によると、2011年度末(2012年3月末)時点の公衆無線LANサービスの利用者は808万人で、個人利用者が675万人、ビジネス利用者が133万人。ICT総研では、2012年度末には58%増の1274万人に急拡大すると予測する。その後も利用者は年間400万人以上のペースで伸び続け、2015年度末には2011年度末の約3倍にあたる2568万人に達するとみる。
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルといった携帯電話事業者が実質無料の公衆無線LANサービスの提供を開始し、端末の設定も容易になるなど、利用のハードルが下がってきている公衆無線LANだが、スマートフォンユーザーの利用はまだ少ないようだ。
ICT総研が実施したアンケート調査では、調査対象の2万1724人のうち、公衆無線LANサービスを利用していると回答したのは10.8%(2328人)にとどまった。利用者の大半がスマートフォンユーザーであるなど、スマートフォンと公衆無線LANが密接に結びついていることがうかがえるが、一方でスマートフォンを保有していながら公衆無線LANを利用しないという回答者が、スマートフォンユーザーの75%を占めるなど、利用が進んでいないことが分かる。
公衆無線LANを利用しない理由としては、バッテリーが減少することへの懸念や電波の切り替えが面倒といった点が挙がっている。こうした点については、携帯事業者各社も改善を進めており、それをいかにユーザーに訴求するかが課題になりそうだ。
サービスの満足度が高いのはauとソフトバンク
公衆無線LANサービスの満足度については、Wi-Fiスポットの設置数が多いKDDI(9月時点で20万カ所)とソフトバンクモバイル(7月時点で27万カ所)が高く、ともに62%でトップとなった。NTTドコモ(2012年度中に15万スポット予定)はスポット数が少ないことなどが影響し、5位にとどまっている。
無線LAN対応のモバイル情報端末の出荷台数も増加傾向にあり、2012年度には4000万台を突破する見込み。2015年度には5000万台弱(4954万台)に達すると予想される。
この調査は公衆無線LANサービス事業者、関連企業への取材結果と、インターネットユーザー2万1724人へのWebアンケート調査の結果をまとめて分析したものとなっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
いち早く112.5MbpsのLTEを提供、トラフィック対策も強化――ドコモの岩崎氏
2010年末からLTEを開始したNTTドコモが、いち早く下り最大112.5Mbpsの高速通信を提供すると宣言。開始当初のエリアを明らかにした。トラフィック対策も強化し、高速で安定したネットワークの構築を目指す。トラフィック対策のWi-Fiオフロード、今後は“質の時代”に――KDDIの岩男氏
スマホの急増に伴うトラフィック対策として注目を集めるWi-Fiオフロード。KDDIの岩男氏は、今後は“使いやすさ”や“つながりやすさ”が重視されるといい、それに向けた取り組みを説明した。5GHz帯対応も進めているという。