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Live2Dの祭典「alive 2024」の出展ブースを現地レポート―モーションキャプチャー、AI活用、そして人気VTuberの“配信部屋”も

Live2Dに関する企業・学校・クリエイターが集い、ブース出展やセッションを実施した1Dayイベント「alive 2024」。そのブース出展のもようをお届けします。

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Live2Dの祭典「alive 2024」の出展ブースを現地レポート―モーションキャプチャー、AI活用、そして人気VTuberの“配信部屋”も
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  • (C) 2016 COVER Corp.

2024年12月13日(金)、秋葉原UDXにて、Live2D社が主催する毎年恒例のイベント「alive 2024」が開催されました。

プロ・アマ・学生問わずに参加できる本イベントは、企業も学校も個人クリエイターも垣根なく交流できるまさに祭典。ブース出展に加えてセッションも実施され、会場に集った来場者はじっと耳を傾けていました。

本稿ではそのブース出展に注目。とくにおもしろそうなブースをピックアップして紹介するとともに、出展者からいただいたコメントを紹介したいと思います。

展示ブースのようす。4年ぶりにリアル開催された2023年は、企業・学校系のブースが8、個人クリエイターからは13の出展がありましたが、今年はそのどちらも約2倍の参加数となっていました

Live2D社の主催者ブースには6つの出展が集合

本イベントの主催者であるLive2D社はさまざまなサービスを展開中です。そのためブース出展は大きなくくりではなく、それらサービスが個別に出展する形でテーブルを並べていました。

具体的には以下の6つ。

  • Live2D社の公式オンライン講座「Live2D JUKU」のブース

  • VTuberのモデルやアニメ映像を手がける制作スタジオ「Live2D Creative Studio」のブース

  • Live2Dのデータやイラストをクリエイターが販売・購入できるwebマーケット「nizima」のブース

  • オンライン動画エディター「nizima ACTION!!」のブース

  • トラッキングアプリ「nizima LIVE」のブース

  • AI搭載のLive2Dキャラクターとトークができる「CubismG」の等身大パネル

Live2D社のブース列。手前が「Live2D Creative Studio」、次が「nizima」といった形で奥へと続きます。

主催者ブースなのでどの出展も注目を集めていたのですが、とくにおもしろかったのは「nizima LIVE」のブースです。

「nizima LIVE」とは配信者の動きをLive2Dモデルに反映し、アニメーションさせるトラッキングアプリのこと。現在、ゲーミング家具ブランド「バウヒュッテ」とコラボを実施しており、ブースではバウヒュッテのデスク、チェア、ラックなどを用いてVTuberやストリーマーの配信デスクを再現する展示をおこなっていました。

「nizima LIVE」と「バウヒュッテ」のコラボ展示。VTuberやストリーマーの配信環境をイメージしたもので、デスク、チェア、ラック、モニターアーム、スマートフォン用のアームがコラボ商品となります。

たとえば写真左側のスマートフォンで配信者の表情を読み取りLive2Dのアバターに反映。左側のモニターで「OBS Studio」を起動させつつリスナーからのコメントなどを表示。右側のモニターが配信中の画面という構成です。

※配信用のモニターはリアルタイムの配信画面ではなく、展示用のPVが流れていました。

手元にはキーボードやマウスのほかに、音量などの調整機材や音声エフェクトをかけるための機材もありました。

なお「nizima LIVE」の公式サイトではコラボキャンペーンの特設ページも設置されているので、興味があるかたはぜひチェックしてみてください。

「nizima LIVE」ではそのほか、10月に発表されたばかりのmocopi(モコピ)とLive2Dの連携機能を体験できるスペースを設置。Live2D用のフルトラッキング機能がついに搭載されたとあってクリエイターたちの目を引いていました。

会場で案内をしてくれた「nizima LIVE」の原氏は、実際に新機能を試したクリエイターの皆さんについて以下のようにコメント。その反応を教えてくれました。

Live2Dにおけるフルトラッキング機能が、どれほど需要があるのか正直不安なところもありました。しかし新しい表現を体験してみたいというクリエイターさんがたくさんブースにいらっしゃってくださり大変嬉しく思っています。

「フルトラッキングに対応してくれて嬉しい」とのお声もいただき感謝しています。

Live2Dモデルあってこそのフルトラッキング機能です。ぜひ、これからもクリエイターのみなさんと二人三脚でアップデートできたらと思うので、これからもどうぞよろしくお願いします!

なおmocopiの新機能については以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひそちらもご覧ください。



AI搭載のLive2Dキャラとおしゃべりを楽しむ

企業ブースで異彩を放っていたのはコンテンツ開発会社の「オフィスムーブ」です。Live2DのオリジナルキャラクターにAIを搭載し、もうひとつのAIと対話させつつ、来場者も交えて3人で会話ができるという出展でした。

オフィスムーブの展示ブース。右側の縦長モニターに映し出されたキャラクター「ジャーニー」と、その会話相手(黄色いフキダシ)がひたすら会話を楽しんでいます。

ほかの企業や個人クリエイターがサービスの売り込みをしているのに対し、オフィスムーブはこのキャラクターのリリースを告知するわけでもなく、どういった意図なのか気になるところ。

開発を手がけたクリエイティブ・ディレクター 村上知範氏にうかがったら意外な答えが返ってきました。

Live2D社さんからalive 2024のお誘いをいただいた際、特に出展するものがなかったので、このイベントのために制作しました。 “外”との接触があまりない環境なので、何かをアピールするというよりは挨拶がわりの意味あいが大きかったですね

オフィスムーブは培った技術力を活かし、コンテンツの企画から制作までをおこなう開発会社です。今回はただLive2Dのキャラクターをアニメーションさせるだけではなく、AIと組み合わせることで来場者を楽しませられないか?といったところからスタートしたと村上さんは笑顔を浮かべて語ってくれました。

しかし「やろう!」と思いついて、すぐにできてしまうものなのでしょうか? それについても村上さんは楽しそうに教えてくれます。

技術で売っている会社ですし、実現までの速さも胸を張れるポイントです。今回は「この技術とこの技術を使えばできる」と思い、無理なく開発できました

音声の生成には「にじボイス」を使用したそうですが、「にじボイス」は本イベント開催の2日前(12月11日)に公開されたばかりのもの。間に合いそうだったため組み込んだとのことですが驚きのスピード感です。

弊社はつねに新しい技術を追いかけ、ニーズがあればすぐに対応できる準備があります。もしも実現したいコンテンツがあれば、遠慮なくお声がけください。

「こういうことを実現したい」というフワッとしたイメージでも結構です。そこから企画・制作まで、技術の提案をさせていただきながら実現のお手伝いができればと思います

ホロライブ「尾丸ポルカ」さんの配信背景も制作

Live2Dのアバターを出展する個人クリエイターが多くいる中で目を引いたのが、VTuberの配信用背景を制作する「唐揚丸」さんのブースです。

唐揚丸さんは「Live2D Creative Awards 2021」でアート賞を受賞、nizima主催「にじコン20」では「nizima LIVE素材賞」を受賞、スコマド主催「スココン」では背景部門優秀賞を受賞したという実力派のクリエイターです。ただ背景イラストを担当するのではなく、Live2Dを使用し「動く背景」を制作しているのが特徴です。

ホロライブ所属のVTuber・尾丸ポルカさんや、同所属の一条莉々華さんの配信用背景も制作しているので、唐揚丸さんの作品を目にした方も多いのではないでしょうか。

唐揚丸さんはインテリアデザイナーのキャリアを活かし、クライアントであるVTuberのキャラクター性に寄り添った背景デザインおよび動くオブジェクトを制作。現在はフリーランスとして繊細なタッチで独特の世界観を表現しています。

モットーは「行ってみたい空間を作る」こと。

たとえば尾丸ポルカさんの場合は、車輪型の照明が揺れていたり、座員さん(ポルカさんのファンネーム)の耳がピクピク動いたりするなど、注目すると楽しい仕掛けが盛り込まれています。

ブースのようす。モニターにはホロライブのVTuber・尾丸ポルカさんの背景が映し出されていました

そんな唐揚丸さんに、コメントと今後の抱負を語っていただきました。

イラストレーター・Live2Dクリエイターの唐揚丸と申します。VTuberさんの個性に合った背景をデザインしつつ、Live2Dを使用した“動く背景”も制作しています。

動くオブジェクトについては、VTuberさんの配信の邪魔にならないよう、でもずっと配信を視聴しているリスナーさんが楽しめるよう、バランスを考えながら提案させていただきました。

今後も多くのVTuberさんの背景を制作したいですし、機会があればゲームの背景も担当してみたいと思っています

今年も個性豊かなクリエイターや、さまざま企業・学校が集った「alive 2024」。専門性が高いイベントではあるものの、未体験の人はぜひ、来年現地で体験してみてはいかがでしょうか。

《気賀沢 昌志》
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