有坂汀さん
レビュアー:
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本書は作家で元外務省主任分析官である佐藤優氏が語ったキリスト教神学の講義録です。「現代の難問の根底にはすべて宗教がある。」とのことで世界宗教の在り様を学び、21世紀と正しく向き合うために贈られた一冊。
僕自身もキリスト者ではないにせよ、佐藤優氏の著作『国家の罠』(新潮文庫)を呼んで以来ずっと、佐藤氏の著作を読み漁る日々が続き、すっかり「佐藤神学」に見せ得られていることに加え、近年では佐藤氏の後輩であり、教え子でもある同志社大学神学部の学生や院生とメッセージのやり取りをするようにまでなりました。
この本は「新潮講座」の一つである「一からわかる宗教」第一期(2015年1月~3月)の講義をもとに、加筆修正を加えたうえで書籍化したものであり、日々の仕事に追われて
「生きているのが苦しい…。」
とあえいでいたり、あるいはルサンチマンから
「そんな世界にしたのは誰だ?」
と天を仰ぐ人生に迷えるビジネスパーソンに贈る一冊であります。
佐藤氏の本を読んでいると21世紀のキーワードは「宗教」と「民族」であることを日々のニュースを見ることで痛感させられ、(おもにプロテスタント神学の観点から)現在の世相。 弱者必衰の新自由主義、打つ手なしの格差社会、過激さを増す民族運動…etcを解説していきます。
さらに本書の中では佐藤氏のもう一つの『軸』である
「宗教は民衆のアヘンである」
と喝破したマルクスの著作『ヘーゲル法哲学批判序説』(本書の中にも「附録」として収録されている)を通じて「世の中」の仕組みそのものを見つめなおしており、さらに講義形式でつづられているので、難しい作品が多い佐藤氏の著作の中でも、(比較的)読みやすいものとなっております。
そして、本書の中、後半部にはチェコの神学者であるカール・バルトの『ローマ書講解』(平凡社ライブラリーほか)についての講義が収録されており、これはぜひ「原典」にも目をを通しておかないとと、決意を新たにしたのでした。
佐藤氏の本は新書から重厚な本に至るまで、どれも知的刺激に満ち満ちているのですが、今回も面白く、またためにもなり、僕同様、暗闇を進む人間にとっての「福音」となりうることでしょう。
この本は「新潮講座」の一つである「一からわかる宗教」第一期(2015年1月~3月)の講義をもとに、加筆修正を加えたうえで書籍化したものであり、日々の仕事に追われて
「生きているのが苦しい…。」
とあえいでいたり、あるいはルサンチマンから
「そんな世界にしたのは誰だ?」
と天を仰ぐ人生に迷えるビジネスパーソンに贈る一冊であります。
佐藤氏の本を読んでいると21世紀のキーワードは「宗教」と「民族」であることを日々のニュースを見ることで痛感させられ、(おもにプロテスタント神学の観点から)現在の世相。 弱者必衰の新自由主義、打つ手なしの格差社会、過激さを増す民族運動…etcを解説していきます。
さらに本書の中では佐藤氏のもう一つの『軸』である
「宗教は民衆のアヘンである」
と喝破したマルクスの著作『ヘーゲル法哲学批判序説』(本書の中にも「附録」として収録されている)を通じて「世の中」の仕組みそのものを見つめなおしており、さらに講義形式でつづられているので、難しい作品が多い佐藤氏の著作の中でも、(比較的)読みやすいものとなっております。
そして、本書の中、後半部にはチェコの神学者であるカール・バルトの『ローマ書講解』(平凡社ライブラリーほか)についての講義が収録されており、これはぜひ「原典」にも目をを通しておかないとと、決意を新たにしたのでした。
佐藤氏の本は新書から重厚な本に至るまで、どれも知的刺激に満ち満ちているのですが、今回も面白く、またためにもなり、僕同様、暗闇を進む人間にとっての「福音」となりうることでしょう。
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有坂汀です。偶然立ち寄ったので始めてみることにしました。ここでは私が現在メインで運営しているブログ『誇りを失った豚は、喰われるしかない。』であげた書評をさらにアレンジしてアップしております。
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- 出版社:新潮社
- ページ数:203
- ISBN:9784104752119
- 発売日:2016年10月31日
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