一般的に「高血圧」に比べて「低血圧」は、体調不良の要因として軽視されがちです。なぜなら、低血圧は「血圧が低い健康な人」だから。ですが、低血圧になると、めまい、頭痛、倦怠感など、日常生活で起こるさまざまな体調不良が引き起こされます。周囲の人からは少し理解されにくい低血圧の症状と原因を理解して、対処法を心得ておきましょう。
一般的に、「高血圧」はさまざまな病気を招く原因として危険視され、治療や予防に積極的に取り組まれています。一方、「低血圧」はというと、むしろ健康体として扱われています。もちろん、「低血圧」であることは何ら悪いことでも、重篤な病気を招くわけでもありません。
ですが、低血圧によって、体がだるく、倦怠感が取れない、気力がわかない、食が細く十分な栄養が摂取できないなど、日常生活をおくる上では、それなりの悪影響があるのも事実です。ところが、「私、低血圧なので、どうしても疲れが取れなくて…」と言うのに対し、「怠け者」扱いされてしまうこともしばしば。なかなかそのツラさが理解されないのも低血圧ならではのことでしょう。
しかしながら、低血圧そのものは「血圧が低い健康な人」であり、病気ではない。上手に付きあっていけば、低血圧が原因で起こる不快な症状は軽減することができるのです。
低血圧がどのようなものかきちんと理解し、少しでも日々、健やかに過ごせるようにしましょう。
高血圧には世界的な判断基準があるのに、低血圧の判断基準は、それぞれの医師や研究者によって意見が違います。それは、高血圧は放置すると、脳血管障害や心臓病を起こしますが、低血圧症は基本的には生命への影響が少ないため。どんなに血圧が低くても、めまいやだるさなどの症状が無ければ、低血圧と診断しないという医師もいるようです。
一般的な低血圧の基準は、安静にして血圧を測ったときの最大(収縮期)血圧が100~110mmHg以下の場合です。最小(拡張期)血圧については、60mmHg以下とするものが多いようですが、高血圧と違って最小(拡張期)血圧についてはあまり重点が置かれていません。また、医師によっては最大(収縮期)血圧が85~110mmHgである状態を低血圧と判断する場合もあるようです。
「本態性」とは原因が明らかでないということ。特別な原因がなく、血圧だけが常に低い状態が「本態性低血圧」です。いわゆる「低血圧体質」のこと。産まれつきのもので、遺伝性があると考えられています。
何らかの症状がある場合、めまい、立ちくらみ、頭痛、頭重感、耳鳴り、肩こり、不眠、倦怠感、疲れやすい、寝起きが悪い、動悸、便秘、食欲不振、下痢、胃もたれ、胸やけなどさまざまな不快症状を訴えることがあります。
横になった状態から急に立ち上がったり、長時間立ち続けているときに血圧が下がって立ちくらみやめまいなどを起こすもの。体位性低血圧とも言います。普段、血圧が低くない場合でも、起き上がったときに、最大血圧が20 mmHg以上下がるのが起立性低血圧の特徴です。
血圧を調節する自律神経のはたらきがアンバランスになるために起こるとされています。起立性低血圧は、気を失いやすいほか、暑さに弱い、下痢をしやすいなどの症状もみられます。
低血圧を招く何らかの病気があるもの。原因がはっきりしているのが特徴です。
血圧が低くなる病気は、循環器や内分泌の病気など、さまざまです。急激に低血圧になるものと、慢性的に低血圧が続くものがあります。
検査をして、低血圧以外に特別な異常がなければ、不快症状を取り除く治療をするだけで、そのほかの特別な治療は行われないケースが多いようです。それでも、不快症状に悩まされるときには血圧を上げる薬を使うこともありますが、必ずしも不快症状が改善されるとは限りません。
また、原因がはっきりとわかっている場合は、その原因を取り除く治療が行われます。
低血圧と貧血は、立ちくらみやめまいなどの症状が似ているので混同されがちですが、実は別の病気です。
低血圧とは、血液循環が円滑に行われず、脳や体の末端への血流が悪くなった結果、めまいや立ちくらみを起こします。
一方、貧血とは、ある一定量の血液中に含まれる赤血球、またはヘモグロビンが正常値以下(男性1dl中12g以下、女性10g以下)に減少した状態のことです。その原因は主に、鉄が不足したために、ヘモグロビンができず、赤血球が赤血球としての役割を果たせなくなった結果、めまいや立ちくらみを起こします。
違いを調べるには血液検査をすれば一目瞭然。それぞれ対処法が違いますので、もし、まぎらわしいと感じる症状があるのなら、血液検査を受けてみましょう。