「ひとり出版社をつくった100冊+100冊」フェア
はじめまして。昨年会員となったタバブックスです。2012年版元となり、13年に法人化、今年やっと2冊目の単行本を刊行した歩みののろい出版社ですが、先日初めて版元ドットコムのアクセスランキングに名前が載り、ようやくお仲間入りができたような気持ちでいます。今後ともよろしくお願いします。
さて版元日誌初のご指名のタイミングで、ちょうど小社も参加のフェアがスタートしたのでご案内させてください。
東京堂書店神田神保町店1階で7月22日〜8月20日で開催されている「出版の未来を創る‘ひとり出版社’をつくった100冊+100冊」です。
こちらはひとり出版社の代名詞、ともいえる夏葉社、島田潤一郎さんの初著書『あしたから出版社』刊行にちなんだフェアで、「個人の嗜好(志向)が大きく反映される〈ひとり出版社〉を紹介すべく、11社の協力を得て 自社書籍10冊&好きな書籍を10点ずつ選書」という内容になっています。
参加出版社は、夏葉社・クレイン・インスクリプト・港の人・土曜社・群像社・景文館書店・タバブックス・菊谷文庫・デコ・共和国の11社。すべては存じ上げなかったのですが、専門性が高かったり、長く続けておられていたり、独自の道を確立されているひとり出版社さんがこんなにあるんですね。末席に加えていただき恐縮しているうえに、展示をみたら夏葉社さんの隣…なにか、すみません…
さて、フェアの棚は各社の刊行物と、それぞれが「自らのルーツとなる書籍」として選んだ本10点ずつが並べてあります。11社×10点の選書は見事にバラバラで、文芸書版元なら文学、人文思想系なら傾倒した作者など、それぞれの版元さんの生き方が見えるようです。それぞれに添えられているPOPのコメントも、読ませます。
「あたらしく本が出ることによって作家は何度でも生き返るのだ」
「なかなか売れなくてつらいな、と思うときにも、本を作る仕事ができるなんて幸せなことなんだよ、と言われている気がします」
「創業4年目で早や慢心か(略)いつか振り返ったときに、どれほど懐かしく、取り返しのつかないような気分になるのか」
など感心したり、どきっとしたり、小出版社には身にしみる文章が多々並んでいます。
そんななか、小社の選書は文芸書でも古典でもなくあまり高尚なタイプではないのですが、出版社を始める前後に気になっていた本、という目線で選んでみました。フリーで書籍編集をしながら、どんな本を誰に向かって作るのか、売れる(と言われる)のはどんな本なのか、といった疑問が沸々とわき上がっていた時期、前例がない、常識の枠にとらわれない生き方や活動をする人たちの本を読み、そうか、自分で決めればいいのか、と靄が晴れたような気になったものでした。そもそも出版社勤務時代にもそういった人に惹かれ本を作っていたのだった、ということも思い出され、原点に帰れば?と背中をそっと押してくれた本でもあります。売場でごらんになっていただければ幸甚です。
今回このフェアで他の出版社さんの背景にふれ、また奮い立たされる思いがしました。“個人の志向を反映する”ひとり出版社に “出版の未来を創る”と冠してフェアを企画していただいた東京堂書店さんの心意気に深く感謝しつつ、がんばっていこうと思います。
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