私にはとうてい信じられないことだが、『ストレンヂア』を、「お話はつまらんけど作画は凄い」と評する声は多い。
とんでもない話である。
『ストレンヂア』は、『ダイ・ハード』に匹敵するくらい緻密に構成された映画だ。建築物のごとく入念に組上げられた段取りあってこそ、クライマックスで炸裂する中村作画が生きるのだ。
その構成の妙をあまさず示したのが下の表である。じっくり味わって頂きたい。
『ストレンヂア』の伏線対応表 | ||||
場面 | 番号 | 出来事 | 関連する出来事 | 解説 |
炎上する寺 | 1 | 仔太郎と飛丸、祥庵が何者かに追われ寺から脱出。 | ||
2 | 祥庵が仔太郎に宝玉を渡す。 「道中、金に困ったら売れ」 |
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3 | 仔太郎の目的地は赤池の国、白戸の万覚寺。 | |||
山道 | 4 | 雨の中、野伏りの見張りがいる。手前にカマキリ。 | カマキリは、待ち伏せの暗示。 ちなみに、このカマキリの動きに動画160枚を使ったとか。作画オーディオコメンタリー(以下作画AC)より。 |
|
5 | 山道を進んでくる人馬。中国語の通訳。赤いマントの一団。牛の背に荷物。 | |||
6 | 不穏な気配に声を上げる、檻の中の鷹。 橋を渡り始めたとき、野伏りの襲撃を受ける。 |
逃げ場のない橋の上で、野伏りは高所を占め、間合いをとって弓矢で攻撃。 絶対に有利なはずだった。 |
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7 | 圧倒的な強さで野伏りを一掃する羅狼。 | 死体を盾に一気に接近し、まず高所の敵を片付ける。 | ||
8 | マントの一団は矢が当たった者もいるが、誰も苦痛を見せない。 | |||
9 | 矢に当たって橋から落ちる牛。 「荷を守れ!」 |
荷が、敵への反撃よりも重要であることを示す。 | ||
10 | 崖から落ちる野伏り。 | 転落したおかげで、2名は羅狼に殺されずにすんだ。 | ||
11 | 羅狼に加勢しようとする木酉を制する風午。 「あの程度の人数、羅狼様一人で十分だ」。 |
風午の、羅狼への心酔を示す。 | ||
12 | 野伏りの頭目との一騎打ちで、真剣白刃取りを見せる羅狼。 | |||
13 | 荷の中身は、時計のようなからくり。 | |||
14 | 頭目を倒し、つまらなげな羅狼。 「この国には、この程度の奴しかおらんのか」。 |
羅狼の動機、「強敵とまみえることへの渇望」を示す。 | ||
赤池の國 漁村 | 15 | 仔太郎、飛丸と連携して民家から食料を失敬。 | ||
16 | 赤マントの一団と武士たち、漁村へ。 | |||
廃寺 | 17 | 仔太郎と名無しの出会い。 | 首のない仏像、柱に刺さったままの矢から、戦で荒れ果てた寺と解る。 | |
18 | 出て行けという仔太郎に問う名無し。 「ここはおまえの、家か?」 |
|||
19 | 名無しの刀は柄に布で封印がしてある。 | |||
20 | 名無しに対しては敵意を示さない飛丸。 | |||
漁村 | 21 | 何かを探している赤マントと武士たち。 | ||
22 | 「唐(もろこし)の使い走り」とぼやく武士。 | 赤マントの一団は明国から渡来したこと、武士たちは赤池の者だが、詳細を知らされておらず不満があることが解る。 | ||
23 | 「獅子音の砦に神棚のお化けのようなものを作っている」 | |||
廃寺 | 24 | 食事の支度をする仔太郎。 | 15 | |
25 | 薪が生乾きで煙が出ることから、仔太郎が廃寺に住み着いてそう長くないことを指摘する名無し。 | 18 | ||
26 | 自分の魚を名無しに渡す飛丸。 | 20 | ||
27 | 飛丸に礼を言う名無し。「犬ころに言ったんだ」 | |||
漁村 | 28 | 武士から質問をされている老人。 「犬を連れた童を探している」 |
21 | 赤マントの目的が判明。 |
29 | 無人のはずの廃寺から炊煙が。 | 25 | ||
廃寺 | 30 | 仔太郎を追って廃寺に現れる武士たち。 | 29 | |
31 | 石つぶてを受けて昏倒する仔太郎。名無しはそれを見てひどく動揺する。 | |||
32 | 剣を抜かずに武士をあしらう名無し。「抜くな」 | 19 | ||
33 | 鞭と手裏剣で名無しを襲う金亥。 | |||
34 | 名無しをかばった飛丸に手裏剣が当たる。 | 20,26 | ||
35 | 名無し、金亥の腕を折るが、金亥は苦痛を見せない。 | 8 | ||
36 | 剣を抜かないまま金亥を倒す名無し。 | 19 | ||
37 | 手裏剣の毒で倒れる飛丸。 | 34 | ||
38 | 武士の懐から金を取る名無し。 | |||
39 | 飛丸はおまえを助けて傷ついたと責める仔太郎に冷たく言い放つ名無し。 「こっちだっておまえを助けた。おあいこだ」 「突っ張って生きていくつもりなら、他人の力なんて当てにするな」 |
|||
40 | 武士たちの馬を使って町へ運べと言う名無しに、「馬に乗れない」と答える仔太郎。 | |||
41 | 立ち去ろうとする名無しに、宝玉を見せて取引を持ちかける仔太郎。 「10両のお宝だ」 「飛丸を助け、俺たちを白戸の万覚寺まで連れて行け」 |
2,3 | ||
馬上 | 42 | 馬で町へ向かう名無しと仔太郎。 「町は遠いのか」 |
40 | |
43 | 追われる理由を名無しに問われても答えない仔太郎。 | |||
赤池の城 | 44 | 明国が獅子音の砦の工事を急がせていると報告を受ける領主。虎杖将監初登場。 | 22 | 赤池には赤池の思惑があることを示す。 |
路上 | 45 | 仔太郎に対し、鞍を埋めて処分しろ、と指示する名無し。 「変わった形をしているから目立つ」 |
40,42 | 一番いい馬を選んだ、と言う名無しのセリフと合わせ、明国の馬であることが解る。史実として、日本原産の馬は馬体が小さかった。 |
薬師の家 | 46 | 飛丸が薬師の手当を受ける。水を飲ませてやれと言われて、仔太郎は泥に汚れた手を洗ってから水を汲み、口うつしで飲ませてやる。 | 45 | 手が汚れているのは鞍を埋めるのに穴を掘ったため。 |
廃寺 | 47 | 金亥らの死体を発見する一団。 | ||
48 | 金亥の遺髪を切り取る土巳。 | 19 | ||
49 | 何があったか目撃者がいないことを確認してから、示し合わせて土巳を襲う武士たち。 炎上する寺。 |
22,44 | ||
納屋 | 50 | 金を払って、吾平の納屋を借りる名無しと仔太郎。 「もらうもんもらえば」 |
38 | これは倒した武士から取った金。 |
51 | この先に温泉がある、と吾平。 | |||
52 | 徹夜で飛丸を看病する仔太郎。 | |||
53 | 翌朝、鞍を入手するため納屋を出る名無し。 | |||
町 | 54 | 明の一行を噂する町人たち。 | 16,28 | |
55 | 人だかりから離れる僧服の男。 | 2 | おそらく祥庵。 | |
56 | 金髪の男を見世物にすれば一儲けできる、と笑う町人。それを背中で聞いている名無し。 | |||
57 | 鞍を物色する名無し、大渡の紋に注意を引かれる。 「滅びた国の紋はいやかい」 |
|||
路上 | 58 | 案内の武士とともに馬に揺られる羅狼と風午。 | ||
59 | 「あと4日」 「次の満月を逃すと1年後」 「仙薬」 |
44 | 明側の目的と急いでいる理由が明らかに。 | |
60 | 仙薬など信じられない、と語る羅狼。 | |||
61 | 効果のある「薬」をなぜ使わないのかと問う風午に、羅狼「つまらぬからよ」 | 8,11,14,35 | ||
62 | 名無しと行き会う羅狼。すれ違いざま、橋の上の名無しに手裏剣を投げる。名無しは振り向きもせず、肩に背負った鞍で手裏剣を受ける。 | |||
63 | 「遊びたくなった」と剣を抜く羅狼。 | 14 | ||
64 | 橋の上で立ち会う両者。やはり剣を抜かない名無し。 「おまえの刀は飾りか」 |
19,32,36 | ||
65 | 風午のもとに鷹の伝令が届く。 「金亥と土巳が殺されました」 不承不承剣を引く羅狼。 |
6,36,49 | ||
納屋 | 66 | 吾平の納屋に戻る名無しに、自分を売る相手を探していたのかと憎まれ口をたたく仔太郎。これまで取り合わずにいた名無しも、さすがに怒る。 | ||
67 | 口論の間に意識を取り戻す飛丸。喜ぶ仔太郎に、薬師から預かった薬を渡す名無し。 | 46 | ここで、仔太郎が初めて名を名乗る。 | |
廃寺 | 68 | 焼死体を検分する羅狼たち。 | 49,65 | |
赤池の城 | 69 | 白鸞に報告する羅狼。 「土巳の右腕には骨に達する古傷がある」 血の固まり具合と死体の偽装から、まず金亥が倒され、遺髪を切った土巳が赤池の武士に拉致された、と正確に推定する羅狼。 「金亥を倒したのはかなりの手練れ」 |
44,48,49,65 | 赤池が裏切っていることを知る明側。 |
70 | 白鸞の手稿には、日付らしき項目に朱で印がしてある。 室内には、からくり時計。 |
13,59 | ||
納屋 | 71 | 食事を作ってきた名無しに、謝る仔太郎。 「おいらは気が短いんだ」 |
66 | |
72 | 悪夢を見る名無し。旗に、大渡の紋が。 | 57 | ||
73 | 飛丸を抱いて寝ている仔太郎。 | |||
赤池の城 | 74 | 鉄砲の試射をする白鸞。 | ||
75 | 琴の準備をしていた萩姫が、銃声を聞く。 「禍々しき匂い」 |
74 | 発砲する瞬間を見せず、銃声だけで表現する演出がテンポの良さを生んでいる。 | |
納屋 | 76 | 馬に鞍をつけている名無し。仔太郎が剣の封印の理由を聞くが、願掛けみたいなものだといなす名無し。 | 72,73 | |
77 | 馬には優しい名無しをからかう仔太郎。名無しは率直に、馬の魅力を語る。 「いい馬を思いきり走らせると、空を飛んでいるような気持ち」 「今いる場所より、ほんの少しだけ自由になれる」 |
名無しが「自由」を口にするとき、小鳥が飛び立つのに注意。 | ||
78 | 興味をひかれて、乗馬を習う仔太郎。 | 40 | ||
79 | 落馬して馬に文句をつける仔太郎。馬が去勢してあることを指摘する名無し。気を取り直して馬に乗る仔太郎を手伝ってやる名無し。 | 45 | 日本には、家畜を去勢する習慣がなかった。ここからも、明の馬であることが解る。なおこの時代の鐙は、江戸期のものと形が違うのを正確に描き分けてある(作画AC)。 | |
赤池の城・地下牢 | 80 | 囚われた土巳が拷問を受けている。視察に来る領主と将監。 | 49,69 | |
81 | 明側が怪しんでいる様子はないと語る領主。 | 44,69 | ||
82 | 焼けた鉄棒を押し当てられても眉一つ動かさない土巳。 | 8,11,14,35,61 | よく見ると、土巳の右腕に古傷がある(作画AC)。 | |
83 | 白鸞らの目的を聞き出し、明国皇帝と直接取引をもくろむ領主。 | 22,44 | ||
納屋 | 84 | 早朝、町へ野菜を売りに行くという吾平。 「こんなもんより金のなる木でも育てたい」 |
50 | 吾平も、暮らし向きは楽ではない。 |
85 | 木の実を煮ている名無し。悪臭に閉口する仔太郎(と飛丸)。 「一服盛ってお宝を盗む算段か」 「悪知恵だけはよく働く奴だ」 |
|||
町 | 86 | 野菜を値切られる吾平。 | ||
87 | 帰り道、高札を見る吾平。吾平は字が読めないが、「領主が、犬を連れた童を探している」と教わる。 | 86 | かごの中の野菜が売れないまま持って帰ってきていることに注意。 | |
赤池の城 | 88 | 案内をつけずに城内を歩く羅狼。 | ||
89 | 道場で立ち会う将監と重郎太。 「弓に比べ剣はまだまだ」 |
|||
90 | 手が滑ったふりをして羅狼を挑発する将監。 挑発に応じ、木刀を構える羅狼。 |
14,63 | ||
納屋 | 91 | 吾平の手引きで、納屋を包囲する武士たち。 | 87 | |
92 | 納屋の中はもぬけの空。 「せわになつた」と板に彫った置き手紙。 |
87 | 裏切った相手に礼を言い、しかもそれが読めないという二重に皮肉なシーン。 | |
山道 | 93 | 馬上の仔太郎は得意げ。 「突っ張って生きるなら、読み書きくらいできなくちゃ」 |
39,78,92 | 礼状を書いたのは仔太郎。なお脚本に、「『なった』ではなく『なつた』」と注意書きがある。 |
赤池の城・将監の屋敷 | 94 | 羅狼との試合で負った傷の手当てを受ける将監。 「あれほどの遣い手を見るのは2人目」 |
90 | |
95 | 「1人目は大渡に仕えていた頃の仲間だが、勝ち戦の後で姿を消した。戦がいやになったらしい」 | 72,73,76 | まだ明示されないが、この「1人目」が名無しであろうとうかがわせる。 | |
96 | 「望みの大きさに合わせて身の丈の大きさを変えてやる」 | 子どもをあやしながら、このセリフを言わせるあたりが高山節。 | ||
温泉 | 97 | 湯につかっている2人と1匹。 | 51 | |
98 | 名無しの全身の刀傷に感心する仔太郎。 | |||
99 | どこに仕えていたのか問われ、「もう滅びた国だ」と答える名無し。 | 57,72 | ||
100 | 仔太郎に名を聞かれる。「赤毛、赤鬼、名無し」 | 67 | 仔太郎の方は、一度名乗っている。 | |
101 | 湯で髪を流すと、赤い地毛が現れる。 | |||
102 | 難破船から拾われた、と出生を語る。 | ここでタイトルの「ストレンヂア」=異邦人の意味が明らかになる。 | ||
103 | 木の実から採った染料で、髪を黒く染める名無し。 「このやり方を覚えて、気味悪がられることもなくなった」 |
56,77,85 | 特に56で、名無しが町人の軽口を聞いていたことに注意。かつて名無し自身に投げかけられた言葉である。 | |
山中 | 104 | 湯上がり、たき火を囲む2人。 おとなしくなってしまった仔太郎をからかう名無しに、「異人なんか何度も見た」と言い返す仔太郎。 |
||
105 | 賊の気配を察知する名無しと飛丸。さりげなく座る場所を変え、仔太郎に話し続けるように指示する。 | |||
106 | 「どこで異人を見た」と身の上話を促す。 | |||
107 | かつて明国にいたこと、祥庵とともに日本に帰ってきたこと、寺が何者かに襲われたことを話す仔太郎。 | 1, 43 | 賊を油断させるための意味のない会話を装って、観客に状況を説明する手際の見事さ! | |
108 | 賊をあっさりと退ける名無し。追っ手ではなく盗賊だった。 | 4,10 | アバンの戦いで、崖から落ちたおかげで生き延びた2人。1人は見張り。 | |
109 | 盗賊から金をせしめる名無し。 | 38 | ||
海岸 | 110 | 飛丸を気遣いつつ、馬を思いきり走らせる名無し。 | 77 | 画面左から右へ向かうのに注意。 |
赤池の城 | 111 | 皇帝から命を受けた時を回想する白鸞。 「工事は間に合ったが、予定が狂いっぱなし」 |
44,59 | |
112 | 期日に遅れて子どもを捕まえた場合のことを考えるべき、と意見する羅狼。 | 60 | ||
113 | 皇帝をごまかすのか、と激高する白鸞。 「所詮は西戎」 風午だけが、退室する羅狼を見送る。 |
56, 96, 103 | 羅狼と名無しは同じ身の上。 また、96の将監と白鸞が対比されている。 |
|
白戸の万覚寺 | 114 | 仔太郎を領主に引き渡す、と決定する絶界。 祥庵は反対するが、聞き入れられない。 |
3,55 | 祥庵の髪が伸びているのに注意。 |
赤池の城・地下牢 | 115 | うめき声が外に漏れている。 「一時前から急に」 |
82 | |
畑 | 116 | 野良仕事の休憩中。武士に怒られた、とぼやく吾平。その背後を歩く盗賊たち。 | 91,92,108 | |
117 | 山の様子から、明日は雪になる、と言う吾平。 | |||
赤池の城・地下牢 | 118 | 苦しむ土巳。 | 82, 115 | |
119 | 痛みを消す丸薬の効果を知る将監。 | |||
赤池の城 | 120 | 薬草を煎じている木卯と、ぼんやり外を眺める風午。 | ||
121 | 羅狼が不在で寂しげな風午をからかう木卯。 「夫に先立たれた妻のよう」 |
11,61 | 修正原画には、木卯は「呆れているような、シットしているような、そんな気持ちを悟られまいとするような表情」と指示されている。 | |
122 | 鷹がいないからだ、とごまかす風午。 | 6,65 | ||
赤池の城 | 123 | 土巳から聞き出した情報を領主に報告する将監。 白鸞は、皇帝の命で不老不死の仙薬を探していること。祭壇はそのためのものであること。占いで選ばれた100年に一人の子どもの生き血を定刻に採る必要があり、その子どもが仔太郎であること。 セリフに被せて、鶏の生き血で彩られる祭壇。 |
1,59,111など | 明側の目的と仔太郎が追われる理由が判明。 なお不老不死の仙薬を求めて道士が日本へやってくるというプロットは、徐福伝説を下敷きにしていると思われる。 |
124 | 仔太郎の顔を知らない自分たちが明側を出し抜けるか危ぶむ将監に、請け負う領主。 「手は打ってある」 「言葉が通じぬではどうにもならん」 |
83 | ||
路上 | 125 | 馬で進む羅狼と木酉。仙薬よりも金亥を倒した男が気になる羅狼を、「おまえらしい」と木酉が笑う。 | 14,69 | ちなみに、作中では一度も言及されないが木酉と木卯は姉妹という設定。 |
赤池の城 | 126 | 将監は仔太郎の捜索を任され、重郎太に、今後は自分の指示で動けと命ずる。 | 89 | |
127 | 琴の音が聞こえる。姫様が弾いているのだろうか、と耳を傾ける重郎太。 | 75 | 重郎太は萩姫に惚れている。 | |
128 | 重郎太を牽制する将監。 「望みは身の丈に合ったものが一番」 |
96 | 万一、重郎太が姫の入り婿になったら将監を飛び越してナンバー2になってしまう。将監はそんな事態を回避するため、自分のことを棚に上げて釘を刺している。 | |
路上 | 129 | 連れションなどしながら街道を行く2人と1匹。 | ||
130 | 馬もいいが剣術も教えてほしいと言う仔太郎。 「剣は頼りになる」 自分もそう思っていた、と名無し。今は違うのかととの問いに答えず、馬の尻をたたく。慌てる馬上の仔太郎を笑って、ふと真顔に戻る。 |
72,95,99 | ||
洞窟 | 131 | 悪夢に、飛び起きる名無し。 仔太郎が、「よくうなされている」と声をかける。 |
72 | |
132 | 悪夢を見ないためには、好きなものを触りながら楽しいことを考えて眠るといい、と仔太郎。 | 73 | ||
133 | 剣の封印がほどけかけている。結び直す名無し。 | 19,32,36,64 | ||
赤池の城 | 134 | 深夜まで起きている白鸞に、風午が声をかける。 | ||
135 | もしかしたら、不老不死を望んでいるのは自分かもしれないと問わず語りに語る白鸞。 | 111 | ほんの端役にも、苦悩や妄執がある。キャラに血肉が通うとはこういうことである。 | |
白戸の万覚寺 | 136 | 無事万覚寺に到着した一行。 | ||
137 | 仔太郎は名無しに宝玉を渡すが、きまり悪げ。 「実は1両程度」 |
41 | ||
138 | 祥庵と再会する仔太郎。 | 2, 114 | 飛丸の方は、祥庵に近づかないのに注意。 | |
139 | 立ち去る名無しに、仔太郎が呼びかける。 「名前が欲しくなったら、立派な名前を考えてやる」 |
100, 102 | ||
140 | 祥庵に連れられて奥へ進む仔太郎と、紐につながれた飛丸。 | |||
141 | 草履の鼻緒が切れて立ち止まる名無し。 | |||
142 | 奥座敷に案内された仔太郎は、肩に置かれた祥庵の手の震えに気づく。 | 114 | ||
143 | 絶界が入ってくるが、その背後に月申の姿。 | |||
144 | 逃げ出そうとした仔太郎は、水辰に捕まる。 | |||
145 | 水辰は、仔太郎を殴りつけた際に中指をかみ切られるが、平然としている。 | 119 | ||
146 | 仔太郎を運び出そうとする明側を、武士の一団が襲う。 | 124 | 領主の打った「手」とはこのこと。 | |
147 | 鷹を伝令に送る。一方、武士側は馬で増援を呼ぶ。 | 6,65,122 | ||
148 | 伝令の馬で、異変に気づく名無し。伝令は怪我をしている。背後に飛び立つ鷹。 | 141, 147 | 「鼻緒が切れる」のは不吉な前兆だが、同時にそれで足止めを食っていたおかげで騒ぎに気づく、という趣向。 | |
149 | 逃げる月申に手裏剣を投げる名無しだが、逆に馬を倒される。飛丸の吠え声を聞いて境内へ。 | 62 | ||
150 | 紐から抜ける飛丸。 | 140 | 元は紐をかみ切るという描写だったが、仔太郎(水辰の指)、名無し(剣の封印)と、かみ切る芝居が多すぎるので変更したとか(作画AC)。 | |
151 | 祥庵を詰問し、今夜仔太郎が血を抜かれることを知る名無し。 | 123 | ||
152 | 仔太郎を売ったのか、と激怒する名無しだが、「あんたなら逆らえるのか、命がけで救えるのか」と反問されて言葉に詰まる。 | 114 | ||
153 | あんたも所詮私と同じだ、と泣き笑いのような表情で名無しに訴える祥庵。 | 絵コンテには、「坊主が許しを請うの図」とある。 | ||
154 | 名無しが手の剣を一閃! 祥庵の袈裟を斬り落とす。 「犬畜生にも劣る奴に、坊主の袈裟は要らんだろう」 |
実は本作のドラマ上のクライマックスは、この場面である。脚本では、ここで刀の封印を切っている。 | ||
155 | 雪が降り始める。祥庵を残し、飛丸の先導で後を追う名無し。 | 117, 149 | 祥庵は失禁しているのだが、絵コンテには指示がない。作画のアドリブと思われる。 | |
路上 | 156 | 報告を聞いて、万覚寺へ急行する将監と重郎太。領主の勝手な行動に怒り。 「うぬらの指揮を執っているのはわしだぞ!」 |
126, 147 | |
山中 | 157 | 足跡を追う飛丸と名無し。 | ||
赤池の城 | 158 | 白鸞のもとへ鷹の伝令着。黄色の布は仔太郎を捕らえた知らせ。赤い布は裏切りの知らせ。 | 147 | |
159 | 領主を訪れる白鸞と羅狼。 「やはり泣きついてきたか」 |
124 | ||
160 | 厩舎に入る木卯。 | 120 | ||
獅子音の砦 | 161 | 仔太郎を連れて砦に到着する月申と水辰。 門衛の武士たちが倒されている。 |
150 | |
山中 | 162 | 走る名無し。 | ||
白戸の万覚寺 | 163 | 絶界を捕らえ、事態を掌握する将監。 | 縛られた絶界の頭と肩に雪が積もっており、かなり長時間放置されていたことが解る。 | |
164 | 祥庵は首をくくって自害している。 | 154 | ||
165 | 伝令が到着する。 | |||
山中 | 166 | 砦へ向かう明国一行。 | すべてのアクターが砦へ動き出す。 | |
白戸の万覚寺 | 167 | 伝令は、領主が誘拐され重臣たちは殺されたとの知らせ。 | 159 | |
168 | 馬は毒を盛られ、追う術がない。 | 120, 160 | 120で木卯が煎じていたのが、馬に盛った毒薬。 | |
169 | 渡沖と川下の隊が砦へ急行中。 | |||
170 | 素早く考えを巡らせ、将監と重郎太のみ戦装束で砦へ。 | 96, 128 | ||
獅子音の砦 | 171 | 作業の合間に丸薬を飲む一行。 縛られて転がされている仔太郎。 |
||
172 | 開封した箱の中に爆薬。 「やっと国へ帰れる」と木卯。その視線の先に風午。 |
121 | ||
173 | 鷹に餌をやる風午。 | 122 | ||
174 | 羅狼に手裏剣を投げる月申。 「お前のだろ」 |
62, 150 | 万覚寺で名無しが放った手裏剣は、もともと62で羅狼が投げたもの。なおこのアイデアは、脚本の高山ではなく安藤監督自身の発案(DVD解説)。 | |
175 | お前の手に負えないはず、と羅狼。 気を悪くした月申は、自分が殺したと言う。 |
64 | ||
山中 | 176 | 雪で足跡が消え始める。三叉路の一方を選ぶ名無し。 | ||
獅子音の砦 | 177 | 仔太郎を祭壇に運び上げながら、羅狼が話しかける。「人間の仲間などいない」と 中国語で答える仔太郎に、「万覚寺でお前を救おうとした男は、仲間が殺した」と告げる羅狼。 |
107, 175 | |
山中 | 178 | 走る名無し。 | ||
山中 | 179 | 馬で砦へ向かう将監と重郎太。重郎太の案内で間道に入る。 | 156, 170 | |
山中 | 180 | 走る名無し。小川を渡る。 | ||
獅子音の砦 | 181 | 刻限に近づく、からくり時計の針。 あれが天を指したときに血を抜く、と白鸞。 |
111, 123 | |
赤池の城 | 182 | 将監の忠義を信じて待て、と侍女を励ます萩姫。 | ||
山中 | 183 | 重郎太の意思を確認する将監。 | 128 | |
184 | 渡沖と川下の隊は将監の子飼い。重臣は殺され、兵を動かせるのは自分だけ。絶好の機会。 | 96, 169 | 156で、領主に全権を任されたはずが、ないがしろにされていたのが裏切りの遠因でもある。 | |
185 | 部隊と合流する将監ら。 | 179 | 絵コンテでは、将監はここで土巳から奪った丸薬を飲んでいる。 | |
獅子音の砦 | 186 | 領主を盾に、時間を稼ごうとする白鸞。 | 159, 180 | |
187 | 将監の合図で、領主を射殺する重郎太。 | 89, 182 | ||
188 | 驚く兵らに、自分につくか領主につくか決断を迫る将監。 | 96, 183 | ||
189 | いち早く旗幟を鮮明にする重郎太につられ、こぞって将監を支持する。 | |||
190 | 予想外の展開に動揺する白鸞と、楽しげな羅狼。 「もののふの世か」 |
96, 113 | 皇帝と領主の立場の違いに気づかなかったのが、白鸞の誤算。 | |
191 | 火矢で攻撃を開始する兵たち。 | |||
山中 | 192 | 積雪で足跡を見失う名無し。ふと、音に気づく。 | ||
193 | 尾根に出ると、火が見える。 | |||
獅子音の砦 | 194 | 破城槌で城門を破ろうとする兵。 | 192 | |
山中 | 195 | 砦に向け走る名無し。 | ||
獅子音の砦 | 196 | 門を破り突入する兵。斧で斬り込む木酉と、弓で援護する木卯。 | ||
197 | 望みがある、という重郎太に答える将監。 「姫ならもうお前のものだ」 |
127, 128, 183 | このときの重郎太、絵コンテには「すぐ死んじゃうんだけど」、原画には「最初で最後のイイ顔で」と書き込みが。 不憫な奴。 |
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198 | 重郎太が木卯を射殺するが、直後に木酉の斧で頭を割られ絶命。 | |||
199 | 馬上から槍で木酉を突く将監。 | 木酉が、槍を避けて空中で攻撃に転じようとした瞬間、将監は槍を反転させて胴を叩いている。 | ||
200 | 腹部を突き通されても抵抗する木酉。兵の弓の斉射でようやく絶命する。 | |||
山中 | 201 | 走る名無し。谷を飛び越える。 | ||
獅子音の砦 | 202 | 爆薬で迎え撃つ明側。 | 172 | |
山中 | 203 | 走る名無し。 | ||
獅子音の砦 | 204 | 刻限を待つ仔太郎。放心している。 | ||
205 | 明側の手で次々に倒されていく雑兵。 | |||
206 | 砦に到着する名無し。祭壇の仔太郎を発見する。 | |||
207 | 爆発で櫓が倒れ、下敷きになる名無し。 | 202 | ||
208 | 羅狼と対戦する将監。 「わしはもとより槍の遣い手」 |
90, 94, 199 | ||
回想 | 209 | 崩れた櫓の下で、大渡に仕えていた頃を思い出す名無し。 | 57, 72, 99 | |
210 | 馬の世話をしつつ、城主の子らが木馬で遊ぶのを見守る。 | 77, 78 | ||
211 | 「おぬしの陰働きで城主を討った」 | 130 | ||
212 | 城主の子の兄妹を斬首する名無し。隊列に将監の姿。 | 95, 131, 152 | ||
213 | 斬った兄の髪を束ねる布に、血が染みていく。 | 76, 133 | これが、刀の封印の布。 | |
獅子音の砦 | 214 | 意識を取り戻す名無し。剣をつかむ。 | 封印をよく見ると、血が染みた痕がまだらになっている。BDを持っている人は確認して欲しい。 | |
215 | 祭壇へ向けて走る。「仔太郎!」 | 67 | ここで、初めて名を呼ぶ。 | |
216 | 炎を飛び越え、封印をかみ切る! | 133, 154, 213等 | ||
217 | 月申を一撃で倒し、今まさに仔太郎に手を下そうとしていた火丑に向け剣を投げる!首に直撃して祭壇から落ちる火丑。 | |||
218 | 羅狼と渡り合う将監。甲冑のない膝の裏、首筋に負傷しながら戦うが、白鸞の鉄砲に倒れる。 | 74, 208 | ||
219 | 将監の懐から丸薬が。 | 14, 119 | ||
220 | 火丑の死体に刺さった剣に目をとめる羅狼。 | 217 | ||
221 | 仔太郎と再会する名無し。遅い、と泣き笑いの仔太郎。 | 71 | ||
222 | 行くぞ、と名無し。「飛丸に言ったんだ」 | 27 | 飛丸の名を呼ぶのもこれが初めて。 | |
223 | 風午、水辰と戦闘になる名無し。丸腰なので鞘でいなし、風午の剣で水辰を倒す。 | 217 | ||
224 | 水辰の返り血で目をふさがれる。 | とどめは頭部に刺しているが、この血は腕の切断面から。絵コンテに「ただでは死なない」と書き込み。 | ||
225 | 風午の攻撃を、とっさに木の実をまいてかわし、組み付いて転落。 | 85, 103 | このときの風午は、倒れる水辰の陰から接近している。 | |
226 | 風午とともに落下しながら、剣を奪う。 | |||
227 | 起き上がった風午、左腕が折れている。首筋に剣。 | |||
228 | 羅狼にすがろうとする風午だが、羅狼は半身になってそれを躱す。 「風午と水辰を倒すとは、大した奴だ」 |
11,14,121,125, 220 | 羅狼は、風午を一顧だにしない。また、利き手を懐に入れているのに注意。 | |
229 | 白鸞、名無しを鉄砲で狙う。 | 74, 218 | ||
230 | それを腕ごと切断する羅狼。 | |||
231 | 呆然の白鸞に礼を言う。 「連れてきて頂いて、感謝しております」 |
14, 218 | 名無しが砦へ走る描写が非常に多いが、「道を選ぶ」「川を渡る」「谷を越える」と、障害を乗り越える描写が再三あることに注意。「連れてこられた」だけの羅狼と、「自ら死地に赴いた」名無しでは、自ずと覚悟が違うのである。 | |
232 | 最期まで羅狼の心中を理解できず、見当違いな非難をする白鸞に、手裏剣でとどめ。 「もう十分生きただろう」 |
よく見ると、白鸞の左目の義眼が飛び出している。 絵コンテに、嘆息する羅狼のそばに「見苦しいのは嫌いです」と書き込みが。 白鸞の隣に切断された腕が2本転がっている凄惨な図に、監督は、「映倫の審査の時あの腕だけでも消したかった」とか(作画AC)。 |
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233 | 火丑の死体から名無しの剣を抜き、構える仔太郎。 | 217, 220 | 剣を抜くとき、仔太郎はしばし躊躇する。監督によると、「戦国時代の子どもだから死体くらい見慣れていると思うが、ここは現代人の感覚を優先した」とのこと(作画AC)。 | |
234 | 雪で目をぬぐう名無し。仔太郎から状況を聞く。 | 224 | ||
235 | 死屍累々の砦。 | 218 | 俯瞰ショットの際、よく見ると将監の死体が。 | |
236 | 仔太郎から剣を取り、羅狼に対峙する名無し。 「前に会ったな」 |
64 | ||
237 | 片言の日本語で丸薬を勧める羅狼。 | |||
238 | 断る名無し。 「痛みがある方が、生きている気がする」 |
61 | 絵コンテに、「ヒトゴロシの眼」と書き込み。 | |
239 | 言葉は通じなくともその意を知る羅狼。 「ますますお前が好きになった」 丸薬を捨て、踏みにじる。 |
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240 | さりげなく位置を変え、剣を持つ手を火にかざす名無し。 | 228, 234 | 雪で凍えた手を温めている。一方の羅狼は懐手だったのでその必要がなく、名無しがコンディションを整えるのを待っていてやるという描写。 | |
241 | 決戦! | 絵コンテに、「どの一太刀が致命傷になってもおかしくない激しい戦い」とある。 | ||
242 | 戦いのさなか、真剣白刃取りを繰り出す羅狼。 | 12 | ||
243 | 互いの武器を持ち替え、渾身の突きを繰り出す両者。 | |||
244 | 名無しの懐から、宝玉が落ちる。 逆に胴鎧の隙間から致命傷を受けている羅狼。 |
137 | ||
路上 | 245 | 上空を鷹が舞う。 | 173, 228 | 脚本に、「主を失った鷹」と明記。 |
246 | 仔太郎の駆る馬が走る。後ろに明のマントを羽織った名無し。 「雲の上を歩いている気分」 |
77, 110 | 将監の馬と、羅狼のマントである(作画AC)。 馬の走る向きが右から左で、110と逆なのに注意。 |
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247 | 「町は見えてきたか」 | 42 | 初めての馬の旅を、立場を変えて反復している。 | |
248 | これからのことを語る仔太郎の背で、ゆっくりと目を閉じる名無し。 | 132 | ようやく、悪夢のない眠りが訪れる。 | |
249 | りりしい表情で馬を走らせる仔太郎。雪上に血痕を残しながら駆け去る。 | 77 |