たぶんそれ、涼しい…にはならないよね。
もうなんとなく麻痺してきましたけど、2023年~24年の暑さは文字どおり過去に例を見ないレベルでした。昨年始まったエルニーニョ現象も5月に終わって、ゆっくりとラニーニャ現象へと移行しているので、普通なら2025年はグンと涼しくなるはず。
イギリス気象庁も、来年は世界平均気温が下がると見ているようです。
2025年は観測史上3番目に暑い年に
イギリス気象庁が12日に発表した見通しによると、2025年の世界平均気温は、最も暑くなるのが確実な今年と、最も暑い年だった昨年を下回って、観測史上3番目の高さになるそうです。ぶっちぎりだった2年に続く、ぶっちぎりの3番目…。
早い話、観測史上最も暑い年の1位から3位が、2023年~25年の3年間に集中するというわけです。
2023年の世界平均気温は、産業革命前比(1850~1900年)で+1.45度でした。今年は、観測史上初めて、年世界平均気温が産業革命前比で+1.5度を超えるのは間違いないと予測されています。
イギリス気象庁は、2025年の世界平均気温が産業革命前よりも1.41度(1.29度から~1.53度の範囲)高くなるとしています。ラニーニャ現象が始めるとしたら、2023年を0.04度しか下回らないというのは、思ったよりも気温が下がらないな、という印象。
2025年の気温予測に参加したAdam Scaife氏は、次のように述べています。
「興味深いことに、熱帯太平洋がラニーニャ現象へと向かっている影響でやや涼しい気候をもたらしているにもかかわらず、2025年の予測気温は高くなっています。エルニーニョ現象による温暖化の影響が顕著ではない2025年のような年は、通常より涼しくなるはずなんです。」
また、世界平均気温が産業革命前に比べて1度以上高くなるのは、今年で12年連続になる見込みです。これは、ここ12年間が、1850年以降で最も暑かった年の上位12年になることを意味します。
史上最強クラスのエルニーニョ現象の影響を受けた2016年の世界平均気温(当時観測史上最高)を、エルニーニョの影響を受けない、むしろ通常よりも涼しくなる年が軽く上回るのは、これぞ「ザ・温暖化」といえます。
1.5度を超える意味
イギリス気象庁と欧州連合(EU)の気象機関コペルニクス気候サービス(C3S)は、今年の世界平均気温が初めて1.5度上昇の壁を破ると予測していますが、決してそれが「パリ協定の目標終わった」「もう無理」というわけじゃないことは、しっかりと認識しておく必要があります。
気温予測を率いたイギリス気象庁のNick Dunstone氏は、年世界平均気温が初めて1.5度を超えるのは大きな節目であるとしつつも、オーバーリアクションに注意を促します。
「1.5度の一時的な超過は、パリ協定の不履行を意味しないと認識することが重要です。」
コペルニクス気候サービスのSamantha Burgess氏も同じ見解を示しています。
「(1.5度超えは)パリ協定が終わったという意味ではありませんが、これまで以上の野心的な気候変動対策が急務であることは確かです。」
さらに、世界気象機関(WMO)のCeleste Saulo氏も、次のように声をそろえます。
「月間および年間平均気温が一時的に1.5度を上回ったとしても、それが『世界平均気温の上昇を産業革命前から2度を十分に下回る水準に抑える』『気温上昇を1.5度に抑える努力を追求する』という、パリ協定が掲げる目標の達成に失敗したわけではないと強調する必要があります。」
1.5度を超えてもあきらめず、1.5度を切っても安心せず、次の0.1度、次の0.01度の気温上昇を防ぐための対策を実施していくことが、今後ますます重要になります。
Source: Met Office
Reference: EU Copernicus, WMO