バイブがある絶滅危惧種を救う

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  • author 中川真知子
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バイブがある絶滅危惧種を救う
Image: Courtesy of Donald McKnight

カメは約2億1000万年前三畳紀後期から存在する生物ですが、淡水に住む約半分の種が絶滅の危機にひんしています。それを喰いとめるにはカメの雌雄の正確な数を知る必要があるのですが、カメの雌雄判別はとても難しいんです。

そこで、人間用大人のおもちゃが大活躍しているんだとか。どうやって使うのか気になりますよね。ええ、まさに人間に使うように患部に当てるんですって。

ちょっと笑ってしまいますが、これは種族維持のための真面目なお話です。

2 バイブがある絶滅危惧種を救う
Image: Courtesy of Donald McKnight
ローターを当てられるカメ

オーストラリアのジェームズ・クック大学で博士論文のためにニシアミメガメの研究をしているドナルド・マックナイトさんらは、カメの雌雄を判別するために、振動で性感を刺激するローターを使っています。

というのも、オスの性器は尻尾の内部にあるため、どうしても雌雄を知りたいなら体にメスを入れて見てみるしかありません。しかしそれではカメは衰弱し、最悪の場合死に至ります。頭を悩ませていた時、2013年に発表された論文に「バイブを使用したカメの精子収集法」を見つけたそうです。

バイブで射精させられるなら、オスのカメの局部を露出させるのにも使えると思いました。これなら、カメの負担を最小限に抑えて雌雄鑑別できるだろうと。(クック談)

チームはオンラインで最安値のバイブを購入し、早速、4種のカメで実験を試みました。その方法とは、カメの斜めに抑え、異なる体の部位にゆっくりとバイブを当てて反応を見ます。種類によって感度が異なり、例えばスッポンは反応が早い一方、ニオイガメは鈍かったとのこと。また同じ種類でも個体によって不快感を示したり、受け入れたりとリスポンスは異なったとのこと。

この実験により、局部がしまわれている尻尾に集中的に刺激を与えるのが最も効果的だが、人間同様、カメにも前戯が必要であり、また新しい電池を入れた高速の動きに最もいい反応を見せることがわかったそうです。

なお、バイブ雌雄鑑別法は他のエコロジストにも好意的に受け入れられており、オーストラリアのチャールズ・スタート大学で教鞭をとるジェームズ・ヴァン・ダイク講師は、「雌雄鑑別は絶滅危惧種の保護活動における第一のハードルです。研究の通りにこの方法が確実かつ効果的ならば、カメの研究や保護に従事する人たちは道具箱の中にバイブを追加するべきでしょう」と話しており、自分でもオーストラリア固有のカメで試してみようと考えているそうです。

カメにバイブというのも面白い発想ですが、スッポンは感度が良い、前戯があるのが好ましい、といった発見も興味深いですね。

Image: Courtesy of Donald McKnight

Reference: Twitter

ANIMAL BEHAVIOR-io9[原文]

中川真知子