4月15日、欧州委員会は、グーグルが独占禁止法(独禁法)に違反している疑いがあるとして調査を開始したことを発表しました。欧州委員会による調査は、同社の検索サービスとAndroidについて行われるようです。これまでの情報をまとめてみました。
検索サービス
検索サービスのうち、欧州委員会が問題視しているのは、オンラインショッピングの検索結果の表示方法です。欧州委員会いわく、グーグルは競合する他社のサービスより「グーグルショッピング」の情報を優先して表示させていたとのこと。これにより、競争をさまたげて消費者に不利益を与え、イノベーションを阻害したとしています。欧州委員会は、これまでの調査結果を以下の通り公表しています。
- グーグルは自社のショッピングサービスをその価値に関わらず、等しく配置し、表示している。この運用は2008年から始まった。
- グーグルは競合他社に適用している検索結果の表示順を決めるために定義されたパラメーターに基づくペナルティーシステムを、自社のショッピングサービスに対しては適用していない。
- 最初にグーグルが提供した比較ショッピングサービス「Froogle」は、優先的な扱いをしておらず、業績もふるわなかった。
- グーグルの後継ショッピングサービス「グーグルプロダクトサーチ」と「グーグルショッピング」は、システム的に優先扱いすることにより大幅な成長を記録し、競合サービスに損害をもたらした。
Android
今回のもう1つの争点、Androidについては、グーグルマップやChrome、YouTubeといったバンドルされているアプリに関係する3つの分野に対して調査が行われるようです。欧州委員会は、グーグルが以下のような行いで、ライバルとなるモバイルアプリやサービスの開発や市場への参入を阻害していたのではないかと見ています。
- スマートフォンやタブレットメーカーに対し、グーグルのアプリもしくはサービスを独占的にプリインストールすることを要求もしくは動機づけた。
- スマートフォンやタブレットメーカーに対し、競合する可能性があるAndroidのバージョンの開発やマーケティングをさせないようにした。
- Android端末をグーグルのアプリやサービス、自社インターフェイスとバンドルして販売した。
グーグルの反応
欧州委員会の発表に対して、グーグルのAndroid担当バイスプレジデント・Hiroshi Lockheime氏はブログで以下のような主張を繰り広げています。
現在ではスマートフォンを購入補助金や契約期間なしでも、100ドル以下で購入することができます。アプリのエコシステムは急激に拡大し、消費者の選択肢は増えています。(…)Androidはこの競争のキープレイヤーで、価格を下げ、すべての人に選択肢を増やしました(現在では18,000以上の異なる端末が利用できます)。(…)欧州委員会は私たちのパートナーとの合意内容について質問してきました。すべてが任意だということは重要です。人々はグーグルなしのAndroidを使うことができますし、Androidユーザーやデベロッパー、そして幅広いエコシステムに紛れもなく利益を与えているのです。
まとめ
もし、グーグルがEUの独禁法に違反していたとの結論に至った場合、最大で年間売上の10%に相当する罰金が科される可能性があります。同時に、グーグルはポリシーを変えることで、EUと和解しようとするかもしれません。
ワシントンDCの弁護士事務所「Boies, Schiller & Flexner」で独占禁止法を専門としているRobert Cooper氏は「正式な手続き開始は、EU独禁法の取り締まりにおける重大な転機です。こういう言い方はなんですが、うまくいけば、EU当局は多額の罰金を得るだけでなく、グーグルの事業運営の監督もできるようになるでしょう」と話しています。
どのような結果になるかはわかりませんが、欧州委員会の本気度合いは伝わってきました。ブログでの反論だけじゃ解決できないかもですよ、グーグル先生。
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Jamie Condliffe - Gizmodo US[原文]
(conejo)