一眼から高級コンパクトの時代がやってきている?

  • 22,628

    • X
    • Facebook
    • LINE
    • はてな
    • クリップボードにコピー
    • ×
    一眼から高級コンパクトの時代がやってきている?

    もう、大きさ=性能の時代ではないんです。

    一眼レフを無理して買うくらいならコンデジの方がいい。今日はそんな話をしようと思います。もしあなたがボーナスで一眼レフを買おうと考えているならば、この記事を最後まで読んだ方が良いかもしれません。

    コンデジが消えていった時代

    一昔前に流行ったコンパクトデジタルカメラ(以下コンデジ)を覚えていますでしょうか。スマートフォンの登場で活躍の場がなくなった方も多いかと思います。

    iPhone 4が発売された2010年頃から、コンデジよりスマートフォンのカメラ機能を使用する人が増えていきました。まだ当時はスマホのカメラがコンデジのクオリティには敵わなかったのですが、素人目にあまり分からない程度の違いであれば、写真を撮ることしかできないコンデジよりもスマートフォンの方が利便性で勝ったのです。

    ですが、近年そのコンデジが再び注目されつつあります。スマートフォンにとって代わるわけではなく、一昔前の様な廃れたものから、新しく生まれ変わっているのです。

    そしてこの約10年で、かつてはプロ専用であった一眼レフも、街の至る所で見かける様になりました。

    この急激な広まりには納得のいく理由があります。一眼レフに内蔵されている大きなAPS-Cサイズのセンサーはコンデジのそれよりも遥かに優秀だったからです。

    しかし、すばらしい画質を誇る一眼レフですが、ミラーレスの技術の進歩に伴い、同じようにきれいな写真が撮れるのであればより小さいミラーレスカメラのレンズキットの方に軍配があがるようになっています。

    そう、今ではカメラのサイズは品質に比例しないのです。

    昔の様にカメラは小さくなるほど低性能になるわけではないのです。だからミラーレスにしよう!と言いたいのではありません。むしろ、もっと小さいコンデジにしよう!という話なのです。

    コンデジの復活劇

    ソニーのRX100が登場した2012年、コンデジは復興の兆しを見せはじめます。

    スマートフォンによって淘汰された当時のコンデジと比べ、このRX100はわずかに大きい程度のものでした。

    ですがよく見ると、RX100のイメージセンサーは旧型のものよりもずっと大きく、1インチもあったのです。当時のCanonの主力コンデジに比べ、RX100がどれくらい大きいセンサーを使用していたか下図をご覧下さい。

    141217-compact2.jpg

    RX100、及びその後継機は大きな成功を収め、他社もこれに続く形となりました。同等品として名があげられるCanonのG7Xも、デザインの点では従来と変わらないまま、1インチのセンサーを採用しズームレンズ付きのコンパクトなものです。

    大型センサー内蔵のコンデジブームを牽引しているのは、この2機種だけではありません。ストリートの写真家の中にはNiconのCoolpix AやRICOHのGRといった、APS-Cセンサーを搭載した小型のレンズ固定式カメラを選ぶ人たちもいます。

    そう、APS-Cはアマチュア写真家たちが10年もの間ぶら下げ続けた一眼レフカメラセンサーと全く同じサイズなのです。

    またパナソニックもこの例に倣い、LXシリーズに大きなセンサーを搭載したLX100を発売しています。LX100のセンサーはマイクロフォーサーズで、オリンパスやパナソニックのレンズ交換式ミラーレスカメラで使われているものと同じサイズです。

    もちろん、スマートフォンやコンデジよりもいい画質の写真を撮りたいたがために一眼レフを持ち歩いてるのであれば、十分理解のできる話です。

    さて、ここで改めて問いましょう。皆さんが欲しいのはどのようなカメラでしょうか?

    スマートフォンや安いコンデジよりもずっといい写真が撮れて、かつ小さくて軽くて実用性の高い、こういった最低限の要素をすべて満たすカメラではないでしょうか。

    勿論、高価なコンデジを買うために一眼レフを捨ててしまえばいいかといえば、そうではありません。

    小型のカメラは一眼レフと比べカスタマイズできる要素が少なくなります。またそれ以上に、一眼レフは交換式レンズを自分好みに付け替えながら使うことができます。例えばストリートショットには50mmの単焦点。スポーツ観戦には300mmの長い望遠レンズといった具合に。シーンに合わせて使い分けられるレンズの方が、万能レンズよりもいいに決まっているのです。

    ですが、現実にはどうでしょう。一眼レフのボディにある粋なボタンたちを上手く活用している人はどれ程いるでしょうか? また、レンズ交換といっても、レンズを揃えるにはお金もかかりますし、そうであれば尚の事、なぜ初めから自分の財布事情に見合ったカメラを買わないのでしょうか

    そして、レンズをたくさん持ち歩くとなれば、多くの人が重要視する利便性からは更に離れていってしまいます。

    一方、この新しいコンデジたちは決して安くはありません。最低でも5万円以上はするでしょう。最近では同じくらいの金額を出せば、一眼レフやミラーレスのレンズキットを買うこともできると思います。ただ、レンズキットを使うだけでは一眼レフの本来の目的には叶っていません。コンデジも一見高く見えるかもしれませんが、実際は一眼レフの方が最終的にずっとお金がかかります。

    単にもっといい写真が撮りたいのであれば、思い切って小さなコンデジにお金を使ってみてはどうでしょう。

    一眼レフが本当に必要ということでなければ、蘇ったコンデジこそが正義かもしれません。

    Image via Michael Hession

    Mario Aguilar - Gizmodo REFRAME[原文

    (小山和之)