ノスタルジーと未来が交錯する不思議な世界です。
写真家の大塚千野さんは、時空連続体を浮遊するタイムマシンに乗船することなく、あるいはタイムリープを繰り返すわけでもなく、自身が少女だった時代の古い写真に現在の自分を重ねることで、過去の世界に戻る方法を編み出したようです。
Imagine Finding Meというこのフォトシリーズについて、大塚さんは次のように語っています。
「デジタル処理は、かつて自分が属していた場所へ自らを送りだし、また同時に自分自身を歴史の旅人にするような、ほとんどタイムマシンのようなツールになる」
写真の中で、彼女は少女時代の自分を真似してみたり、偶然その場に居合わせただけのフリをしたり、ときには小さな自分を気づかうように佇んでいたりもします。
じつは子供のころの大塚さんが気づかなかっただけで、本当に未来の自分としばらく一緒に過ごしていたんじゃないかと思えてくるような感覚。いかにもSF的なオブジェクトは何ひとつないのに、少し切なくて温かい未来の物語が目に浮かぶような、小説のような作品群をどうぞ。
Rumi(CASEY CHAN 米版)