双子のどっちかが邪悪化するとか。
SFの世界だと、双子の片割れはきっと悪者になります。今度NASAが双子の弟のスコット・ケリーさん(写真左)を国際宇宙ステーション(ISS)に送って1年経過させ、その後地球にいる兄のマーク・ケリーさん(写真右)と比較することになったんですが、それはつまり…宇宙にいる方が悪になるか、地球にいる方が悪になるか、っていう実験なんでしょうか?
でも本当に、NASAがこの実験をするのは遅すぎたくらいです。元海軍のテストパイロットだったケリー兄弟がNASAに入ったのは1996年のことでした。マークさんはスコットさんより6分早く生まれたお兄さんで、2011年に引退するまでの間に4回のスペースシャトルミッションに参加してきました。スコットさんの方も2回のスペースシャトルミッションを経験し、さらに2010年から2011年にかけてはISSで5ヵ月間を過ごしています。
NASAはスコットさんを1年間、ロシアのミカイル・コルニエンコ氏とともにISSに送ることを決めて、そこでいくつかのテストを行うことにしました。そしてその研究トピックをサイエンス・コミュニティから募っています。NASAは応募されたトピックの中から何を選ぶのか1月に判断する予定です。
おそらく、応募される研究トピックの多くは標準的な内容に焦点を当てたものになると思われます。血液とか唾液、便、口腔粘膜を採ったり、それから身体的・心理的実験をしたりになるのでしょう。そして宇宙環境での放射線や無重力が人体における遺伝子の発現や代謝、精神状態に及ぼす影響を観察します。一卵性双生児の研究は、健康や病気に対する影響が遺伝的か環境要因によるものかを検討するための超定番です。双子には同じDNAが備わっているので、彼らの間で違いがあるとすれば、外的な要素にその原因を求められるからです。
宇宙に行くスコットさん、邪悪になったりせず無事に1年間過ごされるといいですね。いや、地球に残るマークさんの方が心配でしょうか? どんな結果が出てくるのか興味深いです。
[Scientific American via Digg]
Robert Sorokanich(原文/miho)