各社、LTEで鍔迫り合い
iPhone 5sではauやソフトバンクに加え、ドコモが取り扱いを開始することが決まりました。これにより、大手3キャリア全てがiPhoneを販売することになります。
そのため、今後は各キャリアがいかに特色あるサービスを提供し、また電波のサービスエリアをどれだけ拡充できるかが重要視されるようになるでしょう。そこで、この記事では各キャリアのLTEの整備状況とiPhone 5sへの対応について整理していきたいと思います。
iPhone 5sが対応する各キャリアのLTE周波数帯
まず、iPhone 5sは対応する周波数帯が異なるA1530・A1457・A1453・A1533の4つのモデルがあり、日本に投入されるiPhone 5sはA1453、iPhone 5cはA1456です(中国向けにさらなる新モデルが投入されるという話もあります)。このA1453とA1456が対応するLTEの周波数帯で、日本のキャリアに関係があるものは以下の通りになります。
2.1GHz帯(バンド1):ドコモ、au、ソフトバンク
1.7GHz帯(バンド3):ドコモ(2013年10月以降)、ソフトバンク(イーモバイル)
900MHz帯(バンド8):ソフトバンク(2014年4月以降)
800MHz帯(バンド18):au
800MHz帯(バンド19):ドコモ
次に、各キャリアの周波数帯におけるLTE基地局数のグラフと一覧が以下の通りです。
au:2.1GHz帯(2.4万局)、800MHz帯(3.1万局)
ドコモ:2.1GHz帯(3.2万局)、1.7GHz帯(-)、800MHz帯(0.2万局)
ソフトバンク:2.1GHz帯(2.9万局)、1.7GHz帯(0.9万局)、900MHz帯(-)
データは2013年8月3日現在、(-)はサービス開始前auは800MHz帯対応で有利なスタート
グラフから分かるように、auはiPhone 5sで利用できるLTE基地局数で他キャリアを一歩リードしていることがわかります。さらに、電波が建物内やビル影、山間部へと届きやすいプラチナバンド(700MHz帯~900MHz帯)の800MHz帯の基地局を、他キャリアを圧倒する3.1万ヶ所も整備しているのが強みです。
さらに、KDDIの田中社長は自社の取り扱うiPhone 5sについて「通信エリアの広さやつながりやすさで3社の中でKDDIが圧倒的に1位だ」と太鼓判を押したように、現時点でもっとも期待値が高いのはauなのかもしれません。
ドコモは1.7GHz帯のLTEサービスに期待
次に、ドコモは2.1GHz帯の基地局は3.2万ヶ所整備しているものの、2.1GHz帯では37.5Mbpsのエリアと75Mbpsのエリア混在しており、徐々に75Mbpsエリアを拡大している最中です。
しかし、同社は今年10月より1.7GHz帯において、下り最大150Mbpsの高速サービスを開始する予定です(iPhone 5s/5c はカテゴリー3端末なので、利用できるのは最大100Mbpsまで)。この1.7GHz帯でのLTEサービスについては「10月以降、一気にLTE化を進める」というドコモ担当者の心強い発言もあり、ドコモのLTEもなかなか侮れないといった印象です。
ソフトバンクの勝負は来年4月から?
最後に、ソフトバンクはすでにiPhone 5で利用している2.1GHzと1.7GHzの基地局をiPhone 5sでも継続して利用することになります。新しく利用できる周波数帯が増えるわけではないので、iPhone 5s発売当初はiPhone 5からそれほど電波状況は変わらないことが予想されます。
しかし、同社は本日900MHz帯におけるLTEサービスの開始を4月に前倒しすることを発表しました。ソフトバンクはすでに「プラチナLTE」という商標を出願しており、この900MHz帯におけるLTEサービスが始まってからが勝負、といったところではないでしょうか。
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(塚本直樹)