ビジネス専用とか拷問試験とか宇宙仕様だとか様々な評価と称号を得ているThinkPad。そんな業界屈指の頑強さを誇りながら、一方でものすごく世の中に対してチャレンジングで変態チック(いい意味でね)なノートパソコンを生み出してきたことでも特徴的です。
そんな過去の真面目な挑戦を顧みてみると、ネタなのかと思いながらもこうしたチャレンジ精神が世界を引っ張っていくのだと考えさせられます。
ThinkPad W700ds
便利そうなんだけど、果たしてその必要があるのか? とやっぱり突っ込みたくなってしまう、ディスプレイからサブディスプレイが引き出せる1.5画面型のThinkPad。表示領域を広げましょう、デュアルディスプレイを持ち運びましょう、というコンセプトに目を輝かせたのを覚えていますが、使っている人を見たことがありません。
ThinkPad 550BJ
要るのか? と自然に疑問が生じるような、まさかのプリンター内臓ノートPC。一面で報道した新聞もあったのですが、あっという間に歴史の舞台から消えてしまいました。
ThinkPad 570
今でもそのコンセプトが生き続け、プロダクトとしてしっかりと受け継がれている、脱着式のウルトラベースを標準に備えた初のThinkPadがこれ。CD-ROM、DVD-ROMなど、ドッキングベースに合体させればオールインワンPCとして立派なデスクトップ仕様になる、というものです。
ThinkPad 701c
本体がコンパクトであるほどキーボードのサイズは小さくなりますが、表示エリア比率が4:3の画面が主流だったころ、「バタフライ・キーボード」として名を馳せたのが、階段上に分断されてスライドし、見事に4:3の画面サイズに納まってしまうという荒業をやってのけたこちらのThinkPad。16:9や16:10が標準になるとともに消えてしまうのは必然だったのでしょう。
ThinkPad TransNote
もはやノートパソコンとしてのモバイル性とか、紙をPCに置き換えましょうとかいう時代と逆流するかの如く、パソコンとノートパッドを一体化したThinkPad。左側がPC、右側がアナログのノートパッドで、書いたものはデジタル処理で取り込めるというのが特徴です。が、これも別に「一体型」でなくてもいいのでは?
とても興味深い製品群が「イノベーション」という名のもとに開発され、その多くが舞台から消えていったのですが、しかしチャレンジャーだからこそ、こうした世界をリードする製品を生み出せるのだ、ということなのですね。
PC世界No1シェアのLenovoが作っているThinkPad。近年ではマスユーザー層向けにEdgeシリーズやタブレット端末など手堅く開発していますが、今後、どんな製品が発表されるのか楽しみです。
(櫛田直也)